バウンティハンター ②
結局お茶を一緒にすることになった。
近くのカフェで私はコーヒーを頼む。
「その、すいませんでした。私ったら昔の情報を信じて……」
「その情報どこから仕入れたの?」
「結構前にアクアマリン大陸にいったんです。その時に……」
「なるほど、その時は多分かけられていたときだったな」
というか懸けられてたんだ。
私はコーヒーを飲みながらちょっと笑う。
「にがっ」
「レブル、砂糖入れなよ」
「うう、師匠みたいにブラックで飲めません……。まだまだ子供ですね私……」
ブラックで飲める人って大人でもあまりいないと思うけど。
砂糖入れてもいいんだよ。私はブラックのほうが好みってだけだしね。この苦さがちょっと好きなんだ。
「ローキッスを見習いなよ。あれは入れすぎだけど」
「俺苦いの無理なんよ。大の甘党なんや」
ローキッスは砂糖を匙にして28杯くらいいれていた。砂糖が溶けてねえよ。それコーヒーというより砂糖を飲んでるようなもんじゃねえか。体にめっちゃくちゃ悪そうだな。
アンジュは砂糖を二杯くらいいれて飲んでいた。
「それであなたの名前は?」
「私ですか? 私はバウンティハンターのユウナっていいます」
「ユウナちゃんね、覚えたよ」
私はコーヒーを飲み干した。
「ユウナちゃん。魔王軍に入るつもりはない?」
「師匠!? この子いれるんですか!?」
「戦える人は大歓迎。強そうだしね」
「魔王軍に……?」
突然のスカウトに困っている彼女。
まあダメもとだから断ってくれても別に構わないんだけどね。彼女自身強いからどうかなーって思っただけで。
「衣食住は保証するよ。金ならあるからさ。バウンティハンターっていう不安定な職より食べてはいけるよ」
「入ります」
「即答!?」
「住む家があるというのがすばらしいです。ここのところ家賃滞納してて追い出されたんです」
ええ……。
まあそれはそうだろう。彼女一人がバウンティハンターというわけではないだろうし、懸賞金かけられてる悪人だってそこまでいないし滅茶苦茶不安定ではある。
衣食住保証があるだけいいのだろうか。
「貴方を攻撃してしまった不束者ですが末永くよろしくお願いします」
「なにそれ結婚?」
「なっ……! け、結婚とはハレンチな! そ、そそ、そういうのは異性の間でやるものでだって私たち同性ですから結婚は無理です!」
「意外と初心。それに同性愛否定派かー」
「ひ、否定的ではありませんが理解できません。たしかに同じ女性に可愛いと思うことはありますが好きになる気持ちが分かりません」
憧れはあるが恋愛感情はないんだな。
「わかったよ。ま、よろしくね。その分働きはしてもらうから」
「はい。覚悟してます」
「ま、そんな堅いことじゃないから別に覚悟はしなくてもいいよ」
私たち魔王軍はホワイトな環境ですから。




