友達になりたい女の子
肝試しを終えて部屋に戻るとダリアが電話をしていた。
「パパ、ママ、同じ部屋の子が戻ってきたから今日はもう切るね。うん、おやすみ」
どうやら家に電話していたらしい。
私はベッドに座り、持ってきた小説を読むことにした。夜の十時近くでもう少しで就寝時間となる。私はベッドに入り、目を閉じた。
「もう寝るの? 電気消すわね」
「ありがと」
明かりが消える。
「……ねえ、パン子さん」
「なに?」
「私とさ、友達になってくれない?」
「突然だね」
私はふああとあくびを一つした。
「実は私友達いないんだよ」
「多そうなイメージあったけど」
「うん……。どうもこの銀髪でクラスで浮いてるんだ。他みんな黒髪なのにね」
「でも三組って派手な人いるっしょ。金髪に染めてる子」
「あれはモデルやってるからってことで許されてるんだよ」
ふぅん。
私は茶髪だしな。銀髪になって浮いてるってことはいまいちわからないしむしろ羨ましいし。
「でも本当にいないの? 自分が気付いてないだけだったり」
「いないよ。一人だけ図々しく話しかけてくる金髪の子がいるけど」
「それ、友達になりたいんじゃないの」
「いや、あっちは利用しようと考えてるだけだと思う。可愛い女にはろくなのいないから」
「私可愛くないんだ」
「い、いや、可愛いよ」
お世辞だなぁ。
まあ別に可愛くなくてもいいんだけどね。可愛くて性格ブスになるぐらいなら見た目ブスで性格可愛いほうがいいし。見た目ブスで性格もブスなら救いようがない。
「ま、なんにせよその金髪モデルと話したらいいじゃん」
「……なんていうか、話しづらい」
「モデルなんてしてるから?」
「それもある」
と、誰かが私の布団に入ってくるのがわかった。
横を見るとダリアが私の布団に入ってきて私に抱きついてくる。
「寂しいよ……。一人は嫌だよ……」
「……はぁ」
寝ているのか。
アレは寝言だったんだろうか。と、横を見ると、今度は金髪の子が入ってきていた。おい、いま寝る時間だろ。見つかったら……。
女の子はしーっと口に指を当てる。
「あはは。ダリアちゃんやっぱり話しづらかったんだ」
「……たしかに話しづらいわ」
「私が美少女だから?」
「性格残念そうだけど」
「そんな! 照れるよー」
「褒めてないけどね」
性格が残念そうなのはあってた。
「で、友達になりたいの?」
「ダリアちゃんと? それはうんって答えるよ」
「それまたどうして?」
「可愛い子は可愛いことつるむものです」
「可愛い子は自分を引き立たせるためにブスと付き合うのが定石でしょ。適当にブスの子をかわいいーとか押し上げてさ」
「夢野さん性格悪すぎ……」
「そう? これが女子じゃない?」
女子って何かと陰険とか陰湿とかそういうイメージがある。
力で男に敵わない分評判などで攻めてくるイメージ。敵に回すと超コワイ。
「夢野さん。お願い」
「友達にならせてとかいうんでしょ」
「うん。だめ?」
「お互いがお互い近いのに遠いなぁ」
ダリアはきっと悪くは思ってない。けど、自分なんかがとか卑屈になってるイメージがある。
「ま、いいよ。今日は見つからないうちに……」
その時だった。
「寝ているかーい」
広瀬先生が見回りに来たのだった。
思わず金髪の子は私たちの寝ている布団に潜り込む。三人もぎゅうぎゅう詰めで眠れないって。狭いって。
ドアが閉まった。
広瀬先生が去っていって金髪の子を帰そうとすると。
スースー眠っていた。
おい。




