いきなりエンカウント:死したはずの遊戯の神 ④
ローキッスは逃げていった。
「助かったよ、パンドラ。流石は私の眷属だね」
「あはは。運がよかっただけですよ」
「そう? 運が一番いいのはローキッスだよ」
「え?」
「あいつ自身ものすごく幸運なんだよね~。幸運スキル持ってるからさ~。あれのせいで倒すの苦労したんだけど~」
「生きていた……。嘘が得意なアイツだからな」
幸運スキルか羨ましい。
どちらにせよ疲れた。そういったスキルがあって勝つことに執着されていたら勝てなかったよ。運が絡んでくると状況が変わりやすいからな。
一発目でキングの4カードが出たというのも幸運スキルだろうか。
「ローキッスはもう悪いことはしないんでしょ?」
「多分……。だからお願いがある」
「お願い?」
「地上でローキッスを監視していて欲しいんだ」
「はあ」
「いくらあいつ自身が言ったとはいえ所詮は口約束だ。守るかどうかが怪しいからな」
「それはいいんですけど私? もっと強い実力者に頼めばいいのでは?」
「パンドラには私の血が流れている。神の干渉がききづらいんだよ」
精神攻撃でもしてくるのかよ。
ま、監視、ねぇ。どこにいるかわからないけどさ。
「ローキッスはまだ教会にいる。もう転送するからさ」
「頼んだよー」
と、目の前の光景が移り変わった。
私の隣には眠っているレブルとアンジュ。そして目の前にはニヤニヤ笑うローキッスがいた。
「なんだよローキッス」
「その……頼みごとに」
「頼み事?」
「あなたにはいずれバレるでしょうから不安を話しておこうとおもてな」
「不安?」
こっちで話しましょうとまた転移させられるのだった。
ルーレットやダーツなどの器具などが並ぶ部屋だった。いかにも遊戯神っぽい部屋とでもいうべきか。おもちゃなどもそこら辺に転がっている。
「俺の不安はただ一つ。メルトウスは知っとるな?」
「ああ、風雷神の」
「あいつが復活しようとしてる。人間に転生して……」
「ああ、だから人を殺していたっていうのは」
「あいつの転生体が俺の大陸にいることを感じ取った。が、神の力が弱いのか誰が転生体かわからんくてむやみやたらに殺していっただけ。悪いとは思うが世界のためなんや」
「それを言えばよかったのに」
「もちろん言おうとした……。が、ただ感じ取っただけで確証はない、その確証ないことの為にたくさんの人を殺した……その罪は咎められるべきなんや」
そらそうか。
いい神だとは思っていたがこういうことか。だが何の不安があるんだろう。メルトウスがまだどこかで生きている……とか?
「そして殺される一歩手前……その時、俺はメルトウスを見つけた。だから死んだふりして死んだことにしたんや」
「で、殺せたの?」
「もちろん。転生もさせないようにしたで。それで一つの不安を取り除いた」
「……もしかして君の不安って」
「相も変わらず察するの早いなあ。せや、俺の不安はただ一つ。メルトウスみたいな野望を持った神がいないかが心配なんや」
どうにもあの時に言ってることは適当だったというか中身がなかったと感じたというか。こういう理由だったんだ。
ローキッスは誰も信じられていないからこそ、勝負という形で挑もうとしたのだろう。信じるために。勝って命令をしたかった、が、メルセウス様たちには罪悪感もあり今更命令というのも…という葛藤で迷っていたんだと思う。
「パンドラ。俺はあんたが怖い。これは変わらん」
「うん」
「だからこそ、近くで監視をしたい。もしも世界を壊したいというならば俺はあんたを殺す。それだけや」
「そっか。わかったよ」
私はローキッスに笑ってあげる。
「私は世界を壊すつもりはないよ。そんな大それたことできないよ。国潰すくらいなら簡単だけど……」
「……国潰すだけでも結構な問題なんやけど」
「それぐらいは許してよ。潰すって言っても本気で敵対してきた国に対してだから。正当防衛正当防衛」
「なんでも正当防衛といえば許してもらえると思うなや……」
ローキッスはため息をついた。
「私もメルセウス様たちから監視を頼まれてるんだ。だからさ、ここは魔王軍に入らない?」
「どういう理屈なんや…」
「お互い仲間同士なら監視もしやすいでしょ? というのは方便で神が一人いたら結構な戦力アップだからね」
「……ま、ええわ。つまらなくはなさそうやしな」
「契約完了ね」
私たちは握手を交わした。
戦力アップ。神を一人手に入れた。魔王軍強化プログラムでも開始しようかしら。
いきなりエンカウント系は大体仲間一人手に入れる感じになってるぜ…




