いきなりエンカウント:死したはずの遊戯の神 ①
公爵領の栄えている都市についた。
馬車から降り、護衛料をもらう。
「さて、ここからどうするか」
王都が海に面している。そこを目指すんだけど……。ここから歩いていくのが時間がかかる。まずは手っ取り早く王都に向かう馬車を探して乗り込みたいが……。そんな長い旅路を走る馬車はないだろう。
あと、急ぐことでもないし……。
「レブルたちはやりたいことある?」
「私は……食べ物のことを知りたいです!」
「私は教会巡りをしたい、です。主に祈りをささげること、大事です」
「じゃ、教会にいって食べ歩きするか」
そういうことで教会にやってきた。
アヴァロン教とかの教会とは違い、なんていうか、ものすごく豪華だった。たぶん空飛べる。
「ここは天空神様を讃える大陸です。メルセウス様とは神が違いますが、神に祈ることが大事なのです……」
「そ、そう」
私たちは祈りを捧げていた。
すると、私は突然知らないところに転移させられていたのだった。
「なんか懐かしい感じがあったから呼び寄せたけどメルセウスの娘だったか」
「……あれ、ここは? ってかあなたは?」
私の目の前には緑色の髪をした女性が寝そべっている。
「状況から察するにマリアウス様?」
「ははは、ご名答。天空神マリアウス様だよー」
随分とぐうたらな神だな。
すると、その上から突然水が降ってくる。
「ぐうたらしない」
「げ、メルセウス!」
「メルセウス……?」
水色の髪をしてちょっと釣り目が特徴の可愛い人はメルセウスというらしい。つまり、海王神ということだ。なんでここにいるの?
「直接会うのは初めてだね。私はメルセウス。で、こっちのぐうたらがマリアウス」
「痛い、痛いって。耳引っぱらないで」
「ならシャキッとしなさい。仮にも私の眷属の前でぐうたらするってのはいい度胸だ」
「いいじゃん! 取り繕ったっていずれバレるんだから! 付け焼き刃なんていずれはがれるしメッキもいずれはがれるんだよ!?」
「それはそうだけど……」
「ね? なら最初からありのままの姿見せたほうがいいよね?」
そういうわけじゃないと思うけど……。
「仮にもお客様の前は少しきちっとしたほうがいいんじゃ」
「その通り。あとでお説教な。あと、なんで呼び寄せたんだ」
「え、なんとなく……。神の血を感じたから?」
「そういったことで呼び寄せるな……。居場所は私にもわかるんだから変に勘ぐってしまうわ」
「え、なんで勘繰るの?」
「まあ、話してもいいか。嫌な気配を感じる。ローキッスの気配が」
「え、死んだんじゃないの?」
「死んだ……はずなんだがな。どうにも、奴の気配を感じてならない」
「……私も対策したほうがいい?」
「当たり前。ローキッスは特にやばい奴なんだから」
「そっかぁ。しょうがない、なら……?」
マリアウス様は私のほうを向いた。
「どうした?」
「教会にローキッスの気配があった……。訪れている」
うええ!?
「生きているんだなやっぱり……」
「戦う?」
「早く摘むにこしたことはないよ。こっちに強引に呼び寄せて」
「はいさっ」
あ、戦闘になる感じですか。そうですか。
ラスボスとまではいかないけど次やばいボスです。




