テスト返却
出席番号でいえば私は最後だ。
テストは出席番号ごとに返される。最初は阿久津だから月乃。で、順々に行って、球磨川……つまり白露だ。
「阿久津」
「はい」
月乃は答案を返されると、ため息をついた。あまりよくなかったんだろうな。
まぁ、赤点ではないんだろう。補習はなさそうだ。で、問題の白露。白露はゆっくりと先生の元に行く。この学校は珍しくというか、面倒なのか一気に五教科返されて順位も一緒にわかるのだ。
白露。大丈夫か?
「球磨川。……頑張りたまえ」
「うぐっ……」
あ、崩れ落ちた。
全部赤点だっていうことは確定した。が、0点はない……? ちらっと見えたが、数学が3点となっている。珍しい。
全教科0点は避けられたな。
で、今度は私が呼ばれる。
「夢野」
「はーい」
私は先生の元に行くと、先生が息を吐いた。
「珍しいな。ケアレスミスで一問間違えてる」
「うそっ!?」
「ほら、ここだ」
と、示したのは数学の答案。
うっわ、ほんとだ。確認してなかった。この一問間違えてるってことは解説が間違っているってことだ。つまり、白露これを解いたんだな……。
それにしても、ケアレスミスで三点減点ってだっせえことしたな。
「だが、学年一位ではある。それ以外は満点だ」
「……ミスなんてだっせえ」
確認していたらきっと大丈夫だった。
テストの時は白露が心配だったし、眠かったのもあり素早く解いてぐっすりねむらせてもらったのがいけなかったんだろう。合計点は497点。1年生175名のトップには立ってるがいつも満点を取っていた身にしては誠に遺憾な結果となった。
「というわけで、私一問間違えました」
私は少し気落ちしていた。
「ケアレスミスってあんたねえ。それなら普通に間違えていたほうがまだマシだったわよ」
「そうだよな……そうなんだよな……」
「だがそのミスのおかげで私は全部0点は阻止された! ふはははは! 全教科合わせて3点だ!」
「……それも誇れる点数じゃないわよ」
なんでミスってしまったんだ……。あんな簡単な問題で……。はぁ。
ため息をつきたい。
「そういう月乃はどうなんだ?」
「私? 国語49の数学89、理科78の社会71、英語98の合計385点ね」
「パン子より百点低いじゃねえか!」
「仕方ないじゃない。パン子が異常なのよ。ほとんど満点だったでしょうが」
「国語苦手なの?」
「どうも作者の心情を答えよとかいうのは苦手なのよ。書いてるときにラーメン食べたいとか考えていたかもしれないじゃない」
「それ言ったらおしまいだよ」
誰も心のうちは読めるわけないんだから……。
「わかるぞ。私もそれが苦手だ。あと漢字と説明しろというものとか」
「あんた全部苦手でしょ」
「……まあそうだが」




