白露の気落ち
テストの日がやってきた。
テスト間近ということでみんなゲームにほぼほぼログインしていなかったらしい。今回赤点取ったらゲーム禁止になっちゃうっていって私に泣きついてきた人もいた。
で、それなんだけど……。
「今回のテスト、ちょっと難しかったな」
私がそういうと、クラスの雰囲気がよどむ。
「そうだよな。たしかにすっごい自信ねえんだもん。パン子が難しいっていうんならもう……」
「うわああん! もうおしまいだああああ!」
「なにもそこまで……」
応用問題が多すぎたのと、ちょっとやらしい問題も何個かあった。一応できてはいるが、すらすら解けてはいない。
高校生にこういうような問題出すなよって言いたい問題もあったなぁ。
「正直私も自信ないわよ。半分取れたらいいところじゃない?」
「私また赤点だ……」
クラスの雰囲気めっちゃ暗い。前のテストの時は『うまくできた』とか一喜一憂だったのに今は一憂しかないぐらいだ。ホント大丈夫か。
慰めとか……いる?
「しょうがない。じゃ、私が今回の問題の解説でもしようか?」
「頼む!」
「出来てる自信ねえ! 答え合わせだ!」
問題用紙は手元に残っているので、私は黒板を借りることにした。
それにしても、まずコツとか教えたほうがいいだろうか。国語に関しては滅茶苦茶コツあるし、それさえつかめれば簡単だからさ。
……まぁ、それはおいておいて解説でもしようか。
「この問題は…」
全教科一通り解説をし、帰るのが七時くらいとなった。
自己採点をして一喜一憂してる人が多数いるのが驚いたよ。ギリ赤点回避だの。
「で、白露は自己採点の結果、全部丸が付いたと」
「その言葉だけ聞くと百点取ったみたいに聞こえるわよね」
「……全部間違えてる。あああああ、赤点! 今度こそはと思っていたんだがっ……!」
丸、といっても0の丸だ。要するに0点。それもすべて。うん、頭悪い。難しい問題ばかりとはいえ簡単なものもあったし、0点はむしろ珍しいと思うが。
自己採点が間違っている、と願うしかないのか? 私の答えが本当にあってるかわからないし私が間違えてることに賭けるしかないか。
「スポーツ推薦で来たとはいえこの点数だとまずいっ……! どうしようパン子!? 0点とったこと親に知られたら怒られる……!」
「それ私にどうこうできるわけじゃないからなぁ」
親のことはどうにもできません。
これも普段からやっておかないからだよ。トレーニングも大事だけど勉強もきちんとしなくちゃね。こういったように泣きを見る目になる。
……ま、慰めくらいはしてやろう。
「今日ぐらいは月乃が奢ってやるから食べろ」
「なんで私なのよ……。まあいいわよ。ほら、何食べたいの?」
「……寿司」
「これでもかというほど高いところいくわね……。まあいいわよ」
「ごちになりまーす」
「あ、パン子は自分で払いなさいよ?」
「……やっぱ私はお一人で帰りまーす」
「冗談よ。パン子にそんなお金ないわよね」
そらそうだ。
回らない寿司に行けるほどのお金持ってると思うなよ。お前とは違うんだぞ。
「二人の分払うわよ。今日は慰め会としようじゃない」
「んじゃ、いきますか」
「……神よ、どうか私をお助けください」




