文化祭当日 朝
アレは! 大怪獣ツキノゴン! やめろ! 街を破壊するな!
「やめろ大怪獣ツキノゴン~~~~!」
ツキノゴンは私に向かってそのデカい手を振り下ろしてきたのだった。
目が覚めた。
「なんて夢見とんじゃおどれは」
「夢か……」
私は体を起こすと、他のみんなはもう起きていたらしい。
みんなくすくすと笑って私を見ている。いやー、ごめんね? 寝坊助さんで。あー、よく寝たー。でも大怪獣ツキノゴンか。ツキノゴン……。月乃……。
「大怪獣ツキノゴンだ!」
「誰が怪獣じゃ」
二発目のチョップが私を襲った。
「早く起きろ。もう八時だ」
「うそ、まじで?」
「早くシャワー浴びてこい」
「そうする」
私は制服を手に持ち、急いでかけていく。今は確か男子のシャワー時間だったような……。でもまあいい。女子のシャワー時間が早いのがいけないんだ。
私は急いでかけていくのだった。
シャワー室につくと男子がたくさん並んでいた。
「うわ、入り損ねた」
「あれ、パン子さんどうしたの?」
武宮君が私にそう聞いてくる。
いや、寝坊して入ってないんです。男子に混ざって入れないかね? 別に私は下着見られても構わないからさ……。
あ、モラル的にダメ?
「シャワー入り損ねただけ……」
「そっかぁ、今男子の時間だからもう入ること無理だと思うけど」
「女子か!? 入りたいならいいぞいいぞ! その裸体を……」
「セクハラすんな。ごめんな」
「入っていいなら入るけどいいの?」
「逆にいいのかよ!?」
私、そういうの気にしないので。
別に男性のもの見たってなんとも思わないしな。きゃーとか黄色い悲鳴上げる柄じゃない。ビッチというわけじゃないが、そういうのはもっと純情な乙女にいうものだ。
汚れつちまつた悲しみに・・・
いや、中原中也関係ないけど。
「じゃ、じゃあどうぞ!」
「ありがたく」
「いいわけないでしょ」
と、三度目のチョップが私の頭を襲った。
月乃が私をずるずると引っ張っていく。
「ごめんね~。ほら、寝ぼけてないで……」
「い、今の寝ぼけてただけなのか……」
失礼な。私は寝ぼけてなんかないぞ!
だがしかし、シャワー入りたいな。いつもなら朝起きてシャワー入って学校に行くのが私なのだ。こう、寝てるときにかいた汗の不快感がすごい。
あー、もうなんで今日に限って寝坊するかね。
「これも大怪獣ツキノゴンのせいだな」
「なんですって?」
「あ、いや、なんでもない……」
口に出てたあっぶねえ!




