???竜マリアベル
魔の森で謎の物体を探すことにした。
「主よ……。どうか我らを救いたまえ……」
と、マリアベルが何かを祈っている。
森の中で一人、何を祈っているんだろうか。
「何祈ってるの?」
「あ、魔王様……。いえ、あちらに黒いものが飛来して……きっとこれは神の……って、なんですか? 従えたんですかその魔獣……」
従えたって……。
従ってる私も私だしあまりいえないんだけど。
「黒いもの? どこに落ちたかわかる?」
「え、ええ。好奇心で探したら見つかりましたがあんな危ないもの……すぐに……」
「案内して」
「え……ま、魔王様正気ですか?」
「正気も正気よ」
マリアベルはどうやら知っているらしい。
マリアベルがわかりましたといって私の背にのっかってくる。そして、あちらですと弱い声で行き先を指示するので私はそれに従っていく。
そして、まっすぐ木を避けながらいくと、黒い物体が地面にめり込んでいた。それも三つ。
「三つあるわね……」
「私はもういいからなぁ……」
「ふむ。なら私が一つもらって二つはワグマにやろう」
「わ、私も二つは多いわよ」
三人は私の背から降りる。
そして、各々が選んだものの近くに行くと、黒い触手が現れ、ワグマ、ビャクロ、そしてマリアベルに触れた。マリアベル!?
「マリアベル!?」
「きゃっ……放してください……。主よ、どうか我を許したまえ……」
「なんで近づいてんの!?」
「えっと……気になりまして……」
好奇心が勝っちゃったかあ……。
すると、三人が三人とも触手を取り込んだ。マリアベルは吸収されず、黒い触手を取り込み平然としている。NPC全員が取り込まれるわけじゃないことは理解したけど……。まじかよ。
すると、 マリアベルの体がどんどんと膨らんでいく。他の三人の体も大きくなっていく。魔獣……になるわけじゃない。
すると、マリアベルの背に翼が生え、体が変化していく。その姿は……。
「ドラゴン!?」
「……ドラゴン?」
ワグマは、ただでかくなり、空中に浮いている。
なんだこれ。
「魔神らしいわ。すっごい力ね」
「ええ……」
で、一方のビャクロはというと。
大きな鳥に変化していた。ええ……。とても神々しいです。ええ。
「ふむ、私もどうやら魔獣化らしい」
魔獣、魔神、ドラゴン。
ええ……。
というか、みんな今でかくなりすぎて私見上げてるんですよね。どうにかしてください。私も魔獣化すればいいと思うけど私までしたらまともな人いなくなるじゃん?
というか、マリアベルがドラゴン化を得てしまったこと、どうアヴェールに報告しよう……。
「マリアベル、平気?」
「……主よ。こんな事態になっても興奮してしまう私をどうかお許しください……」
「平気そうだな。取り敢えず元に戻れ」
「そういってもどうやって……」
「元に戻れって念ずればできるよ」
すると、マリアベルの体が元に戻る。
「なるときはまたドラゴンにとか念ずればいいはずだから……。今、念ずるなよ」
「はい。兄さまに見せるときにしますね」
「……見せるなよとは言いづらい」
さて、アヴェールにどう言い訳しよう。




