ゲームがほしい!
無茶なことと実感した翌日。
武宮君が私に話しかけてきた。いや、たまに話しかけてくるんだけどいつも彼氏いるのかとかそんなお母さんみたいなこと言ってくる。
結構世話焼きだから心の中ではたまにお母さんって呼んでるけど。
「頼む! 阿久津に言って俺の分のゲームないか聞いてくれないか!」
「いや、自分で行けよ……」
「俺はどうも阿久津に嫌われてるらしくてな……」
「主人公っぽいからな」
月乃が嫌ってる理由は多分主人公っぽいからだ。イケメンで、性格よくて、友達も多い。そんな世界の主人公ですって感じの人は月乃そんな好まない。
逆にどんな手を使っても私の事を落としてこようとする人が好みとか言ってたな。白露は私より強い人っていうから白露はなかなか厳しいと思うな。
「だから頼む! 俺はパン子さんと一緒にゲームやりたいんだ」
「私と? なんで?」
「そ、そりゃあ……」
「いや、別にいいけど。ま、聞いてみるだけだよ。なかったら諦めてね」
「うん。無理な相談したことはわかってるし無かったら諦めるよ」
「あと、私への頼み事の代償は高くつくからね?」
「覚悟してる」
「冗談だけど」
私は武宮くんに笑って去る。
そして、月乃のとこまでいって聞いてみることにした。
「ねえ、ソフト一個余ってない? 取りおいておいたとか」
「何よ突然。うーん、幸運なことに一個だけ余ってるのよ。なに? プレゼントしたい相手でもいるの?」
「武宮君」
「あの主人公か。気に食わないわね」
爪を少し噛んでいた。
「好みから違うだけで気に食わないって相当理不尽だなぁ」
「理不尽なのが、世の中よ。まあいいわ。なぜか知らないけど一個余ったから武宮に買ってもらうといっておいてくれる?」
「主人公は幸運スキルでも持ってるのか?」
「ありえるわね」
「私も欲しい。勝負には運も必要だからな」
バトル脳の白露。
白露は私を見て、ああと言って何かを切り出してきた。
「パン子。今日柔道の相手してくれ」
「え、えぇ……」
「なんか今日はパン子を投げたくなった」
「なんでだよ……。私めっちゃ運動出来ないから多分一方的な暴力になるけど」
「ハンデとして一分間なにもしないでやる。もちろん抵抗もしない」
「なに? 私をなめてるの? それなら余裕ですよ」
私はない力こぶを作ってみせた。
そりゃ、無抵抗なほど勝ちやすい試合はありませんよ。ね?
結果なんだけど無様に負けました。ちくせう。
パン子「でやああああ!」コケッ
白露「何もないところで転ぶな」




