つくづく無茶なことと実感してしまう
私は、二人に切り出すことにした。
「ちょっとやることあるから、二人はレベル上げしてて。ミノタウロス貸すから」
そういって私は二人と別行動とることにした。
私が来たのはやはり街。そして、目的地はやはり図書館だ。昨日は閉館間近だったのでそこまで本を漁ることができなかったが、今日はたっぷり時間がある。
今日で押さえておくべき情報を押えるつもりだ。
「さすがにこの国の名前とか知らないとまずいよなぁ」
手に取ったのは建国の歴史の現在の最終巻と一番初めの巻。まずは一番初めの巻を読むことにした。
『勇者が魔王領を乗っ取りこの国を豊かにした。
勇者ユウジ=タナカの善政により、魔族は虐げられ、人間の力が増した』
……まさかの日本人。
なるほど。日本語で書かれてる理由が分かった。日本人が建てたから日本語が公用語なんだ。だとすると納得がいく。
そして、転生者、という設定もあるらしいな。
『そして、ユウジ=タナカはこの国を日本と名付けた』
……どんだけ日本に未練があったんだよ。
なんてつっこみたくなるけれど、我慢する。
っとまぁ、これくらいでいいだろう。この建国の歴史の一巻は。
最終巻を手に取った。
『隣国との戦争が勃発。日本の人も戦争に駆り出された。屈強な日本兵は隣国を蹂躙し、見事降伏を勝ち取った。が、死者も多く、遺族の悲しみが、怒りが、憎しみが。湧いた』
『隣国との大規模な戦争はこちらにも深い禍根をのこした。なぜ戦争したのかと民衆は王を責め、王は自責の念に駆られ玉座を下りた』
へぇ。
戦争が起きたんだ。この情報が使えるかどうかはしらないけど、覚えておいても損はなさそうだ。
「個人的に今の王に会ってみたいけど」
私の興味は今のこの国の……日本国の国王に移ったのだった。
きっと血筋が続いているんならユウジ=タナカの子孫だろう。ユウジ=タナカはどんな人物か。その人物によってはきっと……。
悪い人物であればいいな、って思うのはきっとこの国を落とす理由がほしいだけだ。
「いかんな。ワグマの望むことじゃない」
私は、国を落とすことに躊躇いはない。
だけれど、ワグマ、ビャクロはそれを望まない。真面目に、一から国づくりをしようとしている。バカだと嘲笑う。だけれど、そこか友人たちの美しいところであり、いいところでもある。
「私だけでいいんだよ。黒いことをしるのは。黒いことをするのは」
汚れ役は全部私に来るべきだと思う。けど、ワグマたちに嫌われてまで汚れ役をやりたいなんて思うわけがない。
「ただ、このままじゃ国づくりは到底不可能なんだよな。一から国づくりというのは無理難題が多すぎる。勝手が違うもんなぁ」
まず居住者の問題、土地の問題、資金の問題、生活の問題など問題が山積みだ。これをクリアしていくのは時間的余裕で考えてもそれほどないだろう。
そんな急ピッチで国づくりなんてまず不可能だ。
「はぁ。ワグマも無茶なことするなぁ」
私はつくづくそう思うのだった。




