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寝たきりからの創造転生  作者: 3匹の子猫
第2章 新たなる世界へ
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第5話 才能の化け物

創造神メイティブとの会話の後、俺は転生に挑戦させてもらった。


転生の魔法陣が発動し、転生の光が現れているわずかな時間に自身の能力、スキル、各種適正等あらゆる能力の具体的イメージを構成させ確定させていくのだ。



これらの作業は通常であれば1つ1つとんでもなく時間がかかる作業なのだ。


なぜなら、例えば力というステータス1つをイメージするとして、大きな岩を持ち上げるイメージをするとしよう。


ただその姿をイメージするのはただの張りぼてなイメージである。


自身が何割の力で持ち上げているのか、その岩はどのくらいの質量があるのか、どのような形でどのような材質のものなのかその質感はどのようなものなのか重心はどこにあるのか…


そのイメージの固定が弱ければもちろんそのイメージによって得られる素質は中途半端なものになる。


そのイメージが鮮明になればなるほどにそのときにイメージした現象を実現することが可能となる素質をそのまま得ることができるのだ。



これだけのことを転生の光が現れているわずか3分ほどの間に行う、普通の人間ではおそらく、


張りぼてなイメージを2~5つ…

多いもので10こといったところだろう。


細かいイメージに拘るタイプの人間の場合は、1つのイメージを細かく設定しているあいだに時間切れとなることだろう。



それだけ普通の人間には明確なイメージをするということは難しく時間がかかることなのだ。



羽山大地の場合、それらのイメージは既に15年に及ぶ想像の世界での現実逃避による冒険の中で全て構築され尽くされているものであり、ただの確認作業でしかない。


イメージの明確さも現実の世界としか思えないほど明細なものを瞬時にイメージできるのだ。その創造力の実力は全て結果として現れるのだ。


わずか3分の間に明確に構築できたイメージの数【84こ】。この時に得たその類い稀な素質をどのように育て、どのように使うのかはこれからの彼次第…



しかし、まさに 【才能の化け物】 と呼ぶべき存在であろう。



創造神メイティブはその結果を見届けながら、1人楽しんでいた…


歓喜に満ち溢れた悪魔のような、

まさに狂気に充ち溢れた凶悪な笑みを……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(目も空かないし何も聞こえないけど、なんとなく暖かくて気持ちいいな♪


ここは母親のお腹の中か!?


15年ぶりに動けるようになったと思ったらまたすぐに動けない体とはな…


なんだか笑える。


でも、すぐに自由に動けるようになることが約束されている不自由な時間なんてもはや天国以外の何物でもない。



確か人間って10か月くらい、お腹の中にいるんだっけか?


その間どうするかな…


あの頃のように想像の世界で時間を潰すのは簡単だが、今回は他にできることもありそうだし産まれる前に色々と予習させてもらうかな♪)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(おっ!周りがだいぶ騒がしくなってきたぞ。もうすぐ産まれるのかな?)


お腹の中でこの10ヵ月近くひたすら磨いてきた、転生の際にイメージした創造の1つ 【気配感知】 の技術により、お腹の中にいながら自身から半径3メートルほどにいる者の気配をある程度感じられるようになっていた。


周りの人たちが忙しく動き回っている。


(うーん…

やっぱりまだこの世界の言葉はほとんど理解できないな)



お腹の中に入って半年もする頃には耳が聴こえるようになり、周りの人間が会話をしているのが聞こえるようになった。


そこで転生の際にイメージした創造の1つ 【言語理解】 により簡単にマスターできるのかと思ったのだが、能力を得たのではなく、素質を得ただけなので全くちんぷんかんぷんであった。


4ヵ月の研究と努力の甲斐あって、一応よく使われる挨拶のみニュアンスで理解したのだが、外を見ることはできないので固有名詞は何1つ分からないのだ。


それでも産まれる前の赤ん坊が『こんにちは』『さようなら』を理解しているのは異常ともいえるだろう。


まあそれを異常というならば、赤ん坊の中身は 【事故前19年+寝たきり15年+お腹の中1年】 の約35歳のおっさんである。


そう考えると、何も悪いことしたわけでもないのに、新しい世界の両親になんだか申し訳ない気分にさせられる。



なんてことを考えていると、とうとうその時がやってきたようだ…


体が徐々にどこかに運ばれていく。



(狭い!あいたたた…)


頭を柔らかいもので強くアイアンクローされるような痛みに襲われている。


出産の際に母体が痛いってのは知っていたが、赤ちゃんにもそれなりに負担あったんだな~


いやー勉強になった!!


…なんてバカなこと考えてる暇はないらしい。あっという間に外に追い出された。


これは安産ってやつか?産道を通る際に肺に溜まってた羊水を押し出され、16年ぶりの自発呼吸をする。


『おぎゃー!おぎゃー!』


(お~♪意識もせずに勝手に声がでる。

これが産声ってやつか?


この声は男の子だよな?心は男のままだから、女の子に生まれ変わるのは勘弁したいぞ…)


産婆さんらしき人が、俺の体をお湯で濡らした布で拭きながら、母親らしき人へ何か言っている。


もちろん何を言ってるかは分からないが、どうやら初めての食事の時間らしい…


つまりは、あれである。


まだ目が開けられないのが残念……いや救いなのだが、その大きな膨らみの先にある小さな突起物を口に入れられる。


今回の世界の母親のものとは理解してるのだが、前の人生でもゲーム三昧のオタク人生。


異性との関わりが皆無の女性免疫0野郎である俺には意識をしないではいられなかった。



(せっかく苦労して産んでくれたのに、産まれたばかりで母さん相手に盛ってる変態野郎ですいません!)


母親にこの微妙な男心を伝えるわけにも、伝わってもらうわけにもいかないが、無駄に謝り続ける俺だった…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



どうやら俺は 【リアム】 と名付けられたらしい。


長年ぶら下げてきた男についてないとならないものが、確認できた時には心から安堵した。今さら男性を愛するなんて不可能だしね…


危なく百合物語が始まるところだったよ…


ということで改めてリアムです。よろしくね!


産まれてからの俺は、最大の目標をこちらの言葉をマスターすることと設定し、近くに人がいる際には必ずその言葉に耳を傾けた。


また、1人になるときは、お腹の中では母体への負担を考えて自重していた訓練も、色々と解禁した。


首が据わるまでは軽めにだが体を実際に動かしながらどこまでできるのかの確認作業。


この世界に 【魔法】 や 【気】 という概念があるのかはわからないがその確認にも、転生の際にイメージした創造の2つ 【魔力操作】 【気力操作】 の訓練だ。


もし存在するのであれば必ず体内にあるはずの 【魔力】 や 【気力】 の流れを探し、その流れに働きかけ自由に操れる能力である。



まず言葉の壁であるが、生後3ヵ月が経とうとしているが、難しいの一言だ。


それでも、お腹の中も含め、半年以上聞くことを意識していた効果なのか、イントネーションやいくつかの単語や言い回しは理解できるようになった。


日本でも、流行っていた、某音楽のように聞き流すだけの英会話もあながち嘘ではないようだ。


このままいけばそのうちマスターできるだろう。


そして体の成長も順調と言ってよいだろう。


産まれた直後から鍛えられることは少なかったが、幸い転生の際にイメージした創造の1つに 【握力】 があった。


この才能を伸ばすことを中心に暇さえあればひたすら握って、疲れたら別の訓練を行った。


普通ならかなり辛いことなんだが、長い間体の自由が無かった俺にはきついことすら楽しくてしょうがなかったのだ。



別の訓練である魔力操作と気力操作だが、残念ながら糸口すら掴めていないのが本音である。


元の世界では、気に関しては、一部武道や治療などで扱われることはあったが、それ以外は、ほとんどがマンガなど架空の物語で出てくるだけの存在でしかない。


寝たきり時代の創造の世界では、完璧に扱えていたのだが、あくまで自身にとって都合のいいイメージができる世界でしかないため、新しい世界では扱いきれてないのだ。


ひたすら瞑想をして、体内に流れる未知の力を感じる努力をするのみである。



うまくいかないことを工夫し、出来るよう試行錯誤するのも、なんだか生きてることを実感できるよね?


生きてるって、それだけで楽しいことだったんだね!?


当たり前にしてたことが出来ることって、それだけでものすごい幸せなことだったんだね!?



二度目の人生で初めて気づける幸せだった。




考えたら4話までではリアムの名前も出てなかったので、5話までは書き直しました。


真面目に生きたいのにジョブ遊び人って…ホンマもんの遊び人やん!を書き上げたら、こちらも書き上げようと思ってます。そちらで、リアムの話も少しネタばらししちゃってますが…下にリンクも張ってるので良かったら読んでみて下さい。

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