第4話 創造神メイティブ
目を覚ますと、そこはただただ真っ白な光に包まれた空間であった。
『ここは?…そうか俺は死んだのか?ここは死後の世界ってやつなのか?』
『母さん…』
自分を愛情を込めて殺してしまった母を思い複雑な気分になる。
俺にはなんの恨みもない。感謝と謝罪しかない。
しかし、世間は違う反応をするだろう。
余命宣告によって、自暴自棄になり、植物状態の息子と無理心中!などと週刊誌やワイドショーで取り上げられそうだ。
あの後、母がすぐ自殺してたとしても、自首してたとしても、息子を自らの手で殺してしまった事実が、母を苦しめ、決して救われた気持ちで最後を迎えることになるとは思えない。
そうさせてしまった責任は全て俺にある。
母は15年という長い年月、俺の覚醒を信じ、その命そのものを賭けて、看病してくれていた。
俺は実際には、意識もあり、瞬きくらいしかできないが、それでも伝える手段は0ではなかったのだ。
しかし、気づいてもらえないと数ヶ月で早々に諦め、想像の世界で現実逃避をして過ごしてきたのだった。
頑張ってるのに伝わらない現実が辛いから…頑張らなければ、諦めてしまっていればこれ以上傷付かなくていいから…
俺の心が弱いから…
『母さん!母さん!かあ…さん……』
後悔からなのか自分への嫌悪感から来るものなのか涙が止まらない。
どのくらいの時間が経っただろうか…
ふいに我に返った俺は、
(ん!?そういえば、今さら気づいたがしゃべれてる!?
死んで肉体がないから身体の障害は関係なくなったのかな?
身体も動いてるよな?
お~動く!動かせられる!!
15年ぶりの感覚か。)
『落ち着いたか!?』
突然聞き覚えのない、威厳のある落ち着いた声が、頭に直接響き渡る。
慌てて周りを見渡すが誰もいない…
先ほどと同じただただ真っ白な光に包まれた空間のみであった。
『誰だ!?閻魔様か』
『我は創造神メイティブだ。創造力豊かなる者よ。汝の魂を呼び寄せたのは我だ。』
『創造神!?どこにいるんだ?何も見えないぞ?』
『我の姿は我のことを意識することにより、創造するものによって異なる姿へと変化させる。創造力が乏しいものには、声すら認識できぬがな』
(つまりは創造神をイメージすればいいのか…?
それなら、今まで散々やってきたことだ)
言われた通りイメージに意識を持っていくと、目の前には身長2mを越えるはち切れんばかりの筋肉を備えた大男が突然現れた。
その顔は人間のものではなく、どこか羊のような輪郭をしており、頭にはモンスター○ンターのディアブロスをイメージさせる大きな角が2本生えていた。
その瞳は燃えるように真っ赤に染まっており、体には左肩から腰まで斜めに布が下ろされ、そのまま腰に巻き付けられていた。まるでギリシャ神話で出てくる法衣のようだ。その手には、その大きな身長をも越える黄金に輝く錫杖を持っていた。
『ほう、流石だ!この一瞬で、これほどはっきりとした姿で顕現させるとは!!』
『ひぃ…』
見るからに普通でない存在の出現に、恐れ戦いていると…
『何を恐れている?
この姿はたった今汝自身が創造したものではないか…』
言われてみればその通りなんだが、怖いものは怖いのだ。
『創造の世界ではとても勇敢だったが、現実ではその勇猛さは発揮できぬか?』
(えっ?何を言っている?
創造の世界では?
まさか…俺の現実逃避の想像の冒険を知っている?まさかな…)
『正解だ!話が早いな。我はずっと汝の創造の世界を見ていたのだ!
正確には汝のみではなく、世界中の創造力豊かなる者たちの彩る創造の世界を見ているのだ…』
(心を読まれている!?
本人も神様だと言ってるしそれくらいできてもおかしくないのか!?ヤバい!心の中で敬語で考えるなんて器用なまねできないぞ…)
『敬語など必要ない。汝の思うがまま語ればよいのだ。我は面白い創造を見れればそれで満足なのだ。誰かに敬われたいわけではない。』
『なるほど…それではなぜ俺をここへ?』
(とはいえ、この流れはラノベなんかである、チートな特殊なスキルや武具を与えるから、どこか異世界へ転移や転生なりして魔王や邪神を倒せとかいう流れか?)
『ほう。やはり察しがいいな!
しかし、半分正解半分外れだ。
確かに我は汝の創造する世界を楽しませてもらったお礼と、その創造するものをこれからも、見続けたいという願いを叶えるために、記憶を保持したまま異世界へ転生させようとしている。
だが、そこで何を成そうとするも汝の創造次第だ。我から何か強制して汝の創造力を害するわけにはいかん。
スキルや武具に関しても我で用意すると創造のイメージへ方向性を持たせることになるので用意できない。』
(ということは異世界をノーチートでただ思うがままに楽しめということか。)
『それはそれで面白いのを見れるかもしれぬが、我は創造神メイティブ。
我が転生の魔法陣を発動し、転生の光が出ているわずかな時間に汝が具体的なイメージを明確に持てたものが、ステータスやスキル取得への素質の開眼となる。
ただし、転生してすぐに創造を成功したステータスやスキルを発揮できるわけではない。
あくまでも素質を得ることができるだけであり、新たな世界でそれを実現するためにどうすればよいのかを創造し、行動しなければならない。』
最初からもらえるのはチートではなく素質のみ。
さらにその素質もわずかな時間に、イメージを明確に持てたものしか得られない。
普通の人にとってはそれほど魅力に感じられないものだろう。しかし、こと羽山大地という人間にとって明確にイメージをすることは息をするよりも簡単なことだった。
『面白いですね?是非挑戦させて下さい!』
5話以降を落ち着いたら書き直してまた掲載します。
暫くアルファポリスさんで掲載している、真面目に生きたいのにジョブ遊び人って…ホンマもんの遊び人やん!に集中しようと思っております。そちらの話でも、この物語の主人公リアムが出てきますので、是非応援して貰えると嬉しいです。