第1話 羽山大地
初投稿です。よろしくお願いしましす。
目を覚ますと、そこは…
ただただ真っ白な光に包まれた空間であった。
『ここは?…そうか俺は死んだのか?ここは死後の世界ってやつなのか?』
『母さん…』
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『大地!朝からなんて顔してんのよ?あんたまた徹夜でゲームしてたわね!?』
俺の名前は羽山大地。
絶賛大学の長期休暇を満喫中だ!
趣味はゲーム。RPGを中心にあらゆるゲームを愛している。今は大学に入ってから出逢った超本格派VRMMO【神々の使徒~アナザーラグナログ】に嵌まっている。
自分の仕える神を決め、その使徒となり、魔法や武具を使って魔物や敵対する神々の使徒たちと戦っていくゲームである。
このゲームの一番の特徴が神の力により鳥のように自由に空を飛び回れることである。
ただ空を飛ぶだけなら今までも様々なゲームで実現していたのだが、訓練は必要になるが、慣れると空中での戦闘が地上とほぼ変わらない感覚でできるほど緻密なコントロールを実現したのがこのゲームの最大の売りである。
説明が長くなったが俺はこのゲームに出逢ってから生活のほとんどをゲームの中で過ごしている。所謂廃人と呼ばれるそれである。
『今から少し寝るよ。その前に何か食べるものある?』
『あんたねー夏休みだからってあまり乱れた生活してたら、休み明け困るのは自分だからね!』
そう言いつつも朝食を用意してくれるのはありがたい。トーストとベーコンエッグを食べていると
『じゃー仕事行ってくるから、起きたらたまには散歩でもして少しは身体動かしなさい!』
とあわただしく出ていった。
(散歩か…そういえばラノベの新刊何か出てるかな?
あとで昼食ついでに駅前の本屋にでも行ってみるか?しばらくはアナラグがあるから読む暇ないだろうけど♪)
このありふれた会話が今後の俺と母の運命を大きく変えるとはその時微塵にも思ってもいなかった…
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俺は3時間ほど仮眠を取って、駅前に向かっている。
本当は自堕落な学生の身分としては夕方までゆっくり寝たいとこなんだが、アナラグを午後から満喫したいと変な気合いを入れて起きたのだ。
予定通り本屋で新刊のラノベを2冊購入し、すぐそばにあるニャックで昼食を。平日の13時過ぎにも関わらずどの席も満席である。
俺はちょうど空いた入り口そばのカウンター席へと座り、のんびりと定番のテリヤキバーガーとポテトを食す。
(やはりこれが一番だ♪昔からこればかりなんだよな~)
とどうでもいいことを考えていると
『キャー!』
突然外から女性の悲鳴が聞こえてくる。
(何かあったのかな?)
と外に目を向けたときには
『キュルキュルー!ブゥオーン!』
目の前にはすでに車のフロント部分が店のガラスを派手に割って今にも俺にその凶悪な塊をぶつけようとしていた。
(現実離れしている光景なんだが、なんだかスローモーションに感じるな…もしかして命の危機に超能力に目覚めたとか?)
と、なんとか逃げようとはするものの、身体もスローモーションになっているのかどんなに頑張ってもほとんど動こうとしない。
これは所謂【タキサイキア現象】と呼ばれるもので、命の危機に、他の感覚機能を放棄して、視覚情報処理に集中し、危機回避の可能性を探すため、そのわずかな時間帯だけ長く感じるというものである。
つまり、ゆっくりに見えてはいるが身体まで早く動かせられるようなものではない。
そしてついにその時が訪れる…
『ドォン!』
俺はものすごい勢いで吹っ飛ばされ、そのまま意識を手放した…