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天使様の言う通り  作者: みこお氏
プロローグഒ
1/2

彼はそこで。


 何も装飾がない、真っ白な病室。

 そこにあるのは、名も分からない色々な花が刺さる花瓶、風に揺れる薄いカーテン、窓の外から見える透き通った青い空。

 そして聞こえるのは、無機質な心拍数などを表す生体情報モニターの機械音。


「――――――――――――――――――――」


 それと、その隣に横になった一人の男の呼吸音だった。


 見舞いに人がこの部屋を訪れた形跡もなく、必要以上なく、最低限の使用感だけがここにはある。

 男の顔はやせ細っていて、この分だと全身も同じように枯れ木の枝の様だろう。

 しかし、老人並に肌が萎れている顔には、まだ若さがあった。

 25歳のその男は、若くして肺癌(はいがん)を煩い、既に胃にまで転移しているらしい。


 ステージ4。


 末期癌だった。


 両親も同じ癌で早死し、大した知り合いも居なかった彼は、今まさに孤独死を迎えようとしている。

 無表情の医師や看護師が定期的に部屋を訪れ、モニターを見たり色々確認したりしては出て行く。

 時間が経つにつれて、医師と看護師が部屋で彼の終わりを見届ける準備をしていた。


 白い部屋に、白い服を着た人が2人、そして終わりを迎える白くなった男が一人。

 青い空が赤く染まって藍色に変わった頃。


 白くなった彼、中村 結司(なかむらゆうじ)は、息を引き取った。




 



 

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