八日目 斉藤ほのか
突然ですが今回で最終です。
今までご愛読ありがとうございました。
次の日俺が学校に行くと多くの視線を集めた。
まあ当然だろうなと思う、顔にもまだ公園のときにできた傷が残っており嫌でも目に入れる。
すれ違うだけで何度も二度見され、休み時間は先生から何度も心配される言葉をかけられた。
正直言ってほとんど落ち着かず居心地が悪かった。
居心地の悪い時間が過ぎやがて昼休みになり俺は屋上に向かった。
「大変そうだな晴」
屋上にはほのかがすでにいて俺のこと待っていた。
「私のクラスでも晴の話題で持ちきりだったぞ」
「そんなに傷目立つか?」
今朝鏡を見たときはそんなに酷くないなと思っていたがどうやら違うらしい。
傷を軽く触りながらそんなことを思った。
「ああ、唇に切り傷があるし頬にはあざがあるからな遠目からでも結構目立つぞ。初めて見れば何事かと思うレベルだ」
「高校生になればそんなに傷を負う事もないからな、驚かれてもおかしくないか」
そんな雑談した後俺たちは弁当を食べ始めたのだが口の中の傷に食べ物がしみてなかなか進まなかった。
俺が食べずらそうにしているとほのかが苦笑いしながら言った。
「しみるのか?明日から食べやすいもののほうが良いか?」
「大丈夫だ、これぐらいなら我慢でき━っ」
「無理そうだな大丈夫だそんな手間じゃない」
「助かる」
ほのかの気遣いに感謝しつつ俺は残りの弁当を平らげた。
ほのかが作る弁当は美味しく日に日に腕もあげてきてる、学食なんかより普通に美味しい。
「そ、そうだ、そんなに酷いなら早く直す方法を知ってるぞ」
名案を思い浮かんだとばかりとほのかいうが少し恥じらいがあったのか声が上擦った。
「何だその方法って?」
「き、傷口につばを塗るとなおるって聞いたぞ」
その言葉を聞き俺はなんとなくほのかがやりたいことがわかった気がする。
「口の中・・・痛いのだろ・・・だからその・・・」
顔を真っ赤にしてしゃべるほのかが見ていられないくらい可愛く写った。
「分かった、それじゃその方法をしてくれ」
「ふぇへ?!あ、わ、分かった、それじゃ少し恥ずかしいから目を瞑ってくれないか?」
「ああ」
俺が目を瞑りしばらくすると少し荒い息遣いがだんだんと近くなり、
やがて俺の唇に何かが当たり俺の口の中に何かやわらかいものが入ってきた。
「ん・・・・」
うっすらと目をあけると目の前にはほのかの顔が今まで以上に近い距離にあった。
白い肌にかすかに掛かる朱色。視界の端に見える綺麗な青い髪。
あぁ俺今ほのかとキスをしているんだなと実感した。
それからしばらく同じ体制が続きやがて唇から感触が遠ざかった。
「・・・こ、これですこしは直りが早くなったんじゃないか」
恥を隠すような物言いをするほのか。
「ああ、あいがとうなほのか」
俺が素直に感謝を言うとほのかはテレを隠すようにそっぽを向いた。
ファーストキスはレモンの味というが俺のファーストキスは今日食べた弁当の味だった。
今回の終わりについて
本当は30日まで書きたかったのですがモチベーションがあがらず今回で終わりにさせて頂きます
ご愛読ありがとうございました