ギャップが全て萌えるとは限らない
「すみません。魔物討伐してきたので査定してほしいのですが」
あれからジンフォードはダンジョンを出て王都の冒険者ギルドに訪れていた。
「あぁ?なんだジンフォードじゃねえか」
ジンフォードの言葉に返したのは窓口に居るゴーンと言う男だ。王都の冒険者ギルドの窓口は7つある。1つは緊急依頼用。1つは特別依頼用。後の5つは通常用になっている。
因みにこのゴーンの見た目はいかつい。頬に切り傷がありガタイも良く何よりスキンヘッドだ。この見た目のせいでゴーンが居る窓口はいつも空いている。
ジンフォードはゴーンの仕事の早さと何より美人の受付嬢と話すのは緊張してしまうのでゴーンが窓口に居る時はだいたいここを利用している。
「魔物討伐だって?お前が出なくちゃいけないような魔物現れてたっけか?」
「いや、ただのダンジョンの魔物ですよ」
「ダンジョンだぁ?なんでダンジョンなんか潜ってるんだよ」
「え?いや〜その〜……た、鍛錬ですよ!最近討伐依頼もないし体鈍らないように!!別に出会いを求めて潜った訳ではないです!!」
「おめぇ…」
「ちょっとそんな睨まないでくださいよ。ただでさえハゲてて怖いんですから」
「これはハゲじゃねぇ!!剃ってるんだよ!!」
「ちょっとそんな怒鳴らないでくださいよ。ネコのミーちゃんに引っ掻かれた傷に響きますよ」
「え?……ちょっ……え?」
「あれ?違うんですか?ギルマスが言ってましたよ」
「ギルマスぅ!!何言っちゃってくれてんのあの人!!おいジンフォード!お前この事誰にも言うんじゃねぇぞ!ホントマジでお願いします」
「あー隠してたんですね。確かにその風貌でネコはちょっと無いですね。ハゲてるし」
「いや…まぁもういいわ。ほら早く魔石出せや」
「冗談ですよ。はいどうぞ」
「じゃぁちょっと時間かかるからそこら辺で時間潰してろ」
「分かりました。宜しくお願いしま」
「早くしてよ!!!」
ジンフォードが魔石を渡して窓口から離れようとした時、その女性らしき声がギルド内に響いた