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それは青かった

「エイミー!リズ!下がれ!!」



クソっ!どうしてこうなった!

今度、学園の演習授業の練習がてら近くのダンジョンに潜ったのだけど

目の前に居るのは狼のような魔物だ。見た事がない。多分俺たちじゃ敵わないだろう。せめてエイミーとリズを逃がすために俺が囮にならなくては


「エル!ダメよ!貴方も一緒に逃げないと!」



「早く行ってくれ!俺が時間を稼ぐ!!その間に冒険者ギルドに行って応援を頼んでくれ!!」



2人はヒーラーに魔法師だ…あの魔物相手に詠唱をしてる暇は無いだろう


「……分かりました……エイミーさん早く行くましょう!」


「くっ!!…エル!すぐに戻ってくるから絶対耐えなさいよ!!」


「ふっ、俺を誰だと思っている。新入生主席のエル様だぞ」



振り向く事は出来ないが足音が遠のいて行くのが分かる

狼みたいな魔物が2人を追いかけようとしたが



「行かせるか!!!」



ありったけのスピードで魔物の前に行き剣を振り落とした

が、魔物は難なく避け後ろへ下がった



(パワーは勿論スピードでも完全に負けている……エイミー達が冒険者ギルドに着くまで多分もたないか…)



「エイミー、リズ。お前らとの学園生活楽しかったぜ……俺の分まで幸せになってくれよ…」



エルは強張った手に力を入れ剣を強く握りしめ覚悟を決めた




 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―



このやり取りを3人の死角から眺めている1人の男が居た



(うわぁ〜青いなーなんて言うか……青いなー青春してるなー)


なんとも場違いな感想を抱いているこの男こそがオーレン王国にある冒険者ギルドの中で唯一のSランク冒険者ジンフォードだ



冒険者ギルドは国が管理している。しかし国直属の近衛兵ほど堅苦しくない。ギルド内では基本的に個人の自由行動だ。ただBランク以上の冒険者は、国からギルドへ依頼があった場合にはギルドが人選をし、指名依頼される事がある。冒険者は小回りが利き、有事の際早急な対応が出来るからだ。


(あの制服、オーレン王立学園の学生さんかな?歳は僕と同じぐらいだけど良い動きしてるな〜オーレン王立学園はレベル高いな。主席とも言ってたけ。けどまぁ)



「ぐあっ!!」


必死に攻防してたエルだが魔物のスピードに翻弄され体勢が崩れた時に体当たりを受けて吹っ飛んでしまった


(ダークウルフ相手だしな。いくら良い動きしても学生さんには厳しいかったか。勝敗がつくまで手は出さないつもりだったがこれはもう終わりかな)


ジンフォードとエル達との距離は100mは離れていたがジンフォードが「ふっ」と息を吐いた瞬間、魔物の頭を掴みそのまま地面へ叩き潰した


「え?」


エルは吹き飛ばされ魔物が目の前に寄ってき死を直感したが1秒にも満たない次の瞬間に男が魔物の頭を掴み地面へ叩き潰していた光景を見て何が起きたか分からず唖然としていた


「大丈夫でしたか?体当たりされたみたいでしたがお怪我は?ポーションはありますか?」


「え?え?」


「ポーションはありますか?」


「あ、はい。あります」


「じゃ大丈夫そうですね。じゃ僕はこれで」


「え?いや、ちょっ!ちょっと待ってください!!」


ジンフォードは後ろから聞こえる声を無視しその場から離れた


(しかし男1人に女2人か……ハーレムパーティーとか羨ましい!!クソっ!僕なんか…)


ジンフォードの後ろ姿に哀愁を感じるのは多分気のせいだろう

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