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此の世の終幕撃、始まる。

終わり一歩まえの話になります。


でわ、どうぞ♪


  Brain。 終幕撃、始まる。





 本部の周りは既に大量のゾンビの人と、半分の人員がゾンビの人と化した特殊部隊もどきが取り囲んでいる。


 そして続々と突入を図って来るのだ。


「おいおいおいおい!!死ぬ死ぬ!!死ぬって!!」

「うあゝああああああ!怖い怖い怖い!!!」


 オレたちは恐怖に駆られ追い立てられ抱き合って、拳銃一丁と予備弾倉を掴み本部の東の窓のない壁にへばりついて座り、襲ってくるゾンビの群れの一人に向け一発一発、手を震わせながら射撃する。


「当たんないじゃん!当たんないじゃん!ちゃんと狙って撃ってよ!」

「なんでなんで!!なんで当たんないんだよ!!うあ、うわ!うわあ!」


 自動拳銃は確かに発射をくりかえしている。でも全然弾は関係ないところに飛んでいくばかりで、ゾンビの人の群れは一向に切り崩されたりはしなかった。


 グンッ!


 不意に背中を押された。ふらついた手から拳銃が奪われた。


 バン!


「あ…」


 オレの背中に生温かい液体と、トロッとした薄ピンク色の肉塊が浴びせ掛けられ、トンと相棒の身体が乗っかて来た。頭の半分をチューリップの花みたいに咲かせた状態で。


「うあ、うあ!うあ!!」


 オレは自殺した相棒の屍体を押しのけて、握られた拳銃を見付け必死になって取ろうとした。


「と、とれ、取れねえよ!!」


 巧く力が両手に入らない。ゾンビの群れは間近に迫り、背後ではクアァアアッという臭い息を吐く声がした。


「取れた!!」


 オレは両手で拳銃を構えて振り返る。


 眼前には固まった血にまみれた、異様に大きく開かれた口が見えた。


 カチッ


 確かにオレは引き金を引いた。弾は出なかった。


 弾切れだ。。。


 それにオレが気付いたのは、奴の口に頭を咥えられ首を歯で噛みちぎられた後だった。





 ダン!ダダン!ダン!ダン!


 尽きた弾倉を抜き新たな弾倉を装填、槓桿を引き弾を小銃の機関部に押し込む。そして奴らの脳幹を打ち抜く。


 奴らの突入が始まってからキッチリ三分。オレはこの動作以外には精々銃剣で奴らの気道を狙い突くか斬り、そこから脳幹にダメージを与える事しかしていない。


 こいつらの弱点が脳幹だと気付いたのは、あの地下道で64式小銃などの武器類を回収した時。


 俺を探し当て襲撃してきたつもりの特殊部隊もどきの素人を、ジッと待ち構えていたんだが、頭部や胸部などの急所を狙い二人とも瞬時に撃ち抜いたつもりだったのに、一向に死なず、幾度も立ち上がり襲ってくる奴らを唯一仕留められたのは、人の生命維持に携わる重要基幹の脳幹を射抜く事だけだった。


 お陰で俺は、現役時代の感を取り戻すのに苦労させられたが、今では苦も無く百発百中で当てられるように改善されたのだから、有り難いと云えば有り難いことだな。


 だが、これじゃ切りがない。流れ作業でも休憩時間はあるってのに。


 バン!


 発砲音に気付きゾンビという名のれっきとした人間の背に足を掛け、脳幹を打ち抜きながら音のした方向を瞬間的にみる。


どうやら拳銃を手渡した元ココの職員たちは、奮闘もむなしく一人は自決を遂げ、一人は喰われちまったか。


 ゾンビの人と彼らに呼ばれた男は未だに健在だが、右腕を喰われた様子で動きもなにやら鈍ってきている。


 アレも時間の問題かもしれないな。


 とは言っても、俺も手いっぱいだ。もう助ける事は出来ない。


 彼は左横に躰を滑らせ、上から振りかぶって来たゾンビ共の股を潜り、真下から遮断を浴びせ五体を瞬時に倒した。


 そして残り二つとなった弾倉の一つを装填して槓桿を引き発砲する。


 一日はこの年になると結構短いのに、今日はやけに長いな。と、呟きながら。




 Brain。 此の世の終幕撃、終わる。


ここまでお読みいただきありがとうございました。

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