邂逅した。
すんません。寝落ちしてました。
今から上げます。てか上げました。すいません。
では、お読みくださいませ。
Brain。
「なあ、変な音聴こえないか? なんかこう物を壊しているような」
「うん、そうかい?」
施設のゴミをいつもの様に搬出していた二人は、ゴミを搬送するコンベアや各種機器類のスイッチを切り手を止めて、耳を澄まし辺りの様子に聞き耳を立てる。
だがさっきまで彼に聞こえていた破壊音は一切聴こえず、ただ施設や外の環境音が聞こえて来るのみである。
「なにも聞こえないけど?」
「おかしいな。結構大きい音が連続して聞こえてたと思ったんだけどな」
男たちはしばらく待ったが、なんら変化がないことにあきらめが付いたのか、再び作業をはじめようとゴミを搬送するコンベアや各種機器類のスイッチを入れた。
ガァー…ッ。と、辺りに機械類の駆動音が響き出す。
ゴンゴン。使用が停止された脳髄入りの容器や、実験棟や研究施設内などで排出された廃棄物がコンベヤに乗せられ運ばれてくる。
これらを彼らは分別しつつ取り纏め、列を作り搬出しやすいように並べていく。
「うん、なんだアレ」
「どうした」
初めに異音に気付いた彼が相棒に尋ねる。
「いや、なんか人らしき物体が見えた様な気がしたんだけど…」
「まさか」
「うわあ!!」
いきなり叫び声をあげ震える相棒が指差した先に、彼は眼を向けた。
「おいおい、なにも…うおっ!!」
この状況をどう言えばいいんだろうか、本来であるならばあらゆるゴミが流れてくるはずの場所に衣服も千切れた、恐らく男らしいのが胡坐をかいて座り、こちらを見据えながらコンベヤで運ばれて来ている光景だったのだ。
「ゾ、ゾンビ…」
思わず彼が息を飲んで尻もちをつき、後ずさる事態だったのも無理はない。
彼の相棒に至っては息も忘れて棒立ちのまま、手に持っていた脳髄入りの容器を床に落として割っても、気付けぬくらいであったのだから。
「なにしてんだ!逃げるぞ!!」
彼は転がるように立ち上がり、相棒の肩や腕にしがみつき退避を促す。
「あ、ああ…」
そう相棒は返事はするが一向に動かない、彼もまた同様でなんとか立ち上がってはみたものの、腰から下の力がすっかり抜けてしまい歩く事さえままならなかった。
そうこうしているうちにコンベアから下りてきたゾンビは、一歩一歩力のこもった足取りでこちらに向かい進んで来る。もう彼は生きた心地がしなかった。たぶんここで俺は死んでしまうのだろうという、謂わば覚悟めいた思いすら頭をよぎって来てもいたのだ。
その時だった。
「ちだct、ヴぃcヴぉb@;や」
ゾンビは言葉にならない言葉を発し、両手をぎこちなく左右に振り、そしてこちらに向かって血が付いた紙を投げてきたのだ。それは相棒の胸に中り足元の床に転がった。
途端にゾンビの動きが止まる。
しばらく睨み合いになる。
「なあ、もしかして拾えってことじゃないかな」
時間的には大したことは無いが、久々に感じた相棒の言葉に彼はハッと我に返った。
「あ、ああ。わかった」
出れに向けた言葉なのか彼自身でもよく分からなかったが、床に落ちた不均等に丸められた汚れた紙を拾い、そして広げた。
『わたしのなまえは○○○○。じっけんとうでじっけんされていた、ふつうのいっぱんじんだ。きがいをくわえるつもりはない。はなしだけでもきいてくれ』
紙には読みにくい字面だが、確かにひらがなでそう書かれていたのだ。
彼は、実験棟〖K.44〗の【№.8500419】通称[廃棄正社員36]
相棒は実験棟〖K.44〗の【№.9126488】通称[廃棄正社員105]
彼らはこの実験施設が新たに建設運用開始してから初めて、他の実験体と意思疎通を行った実験体となった。
無論。全てをデータとして保存されながらではあったが……。
Brain。 邂逅させられる
ここまでお読みいただき誠にありがとうございました。




