シンジ
シンジ
「わぁあああ!!! 何だこれ!?」
シンジは驚いて一歩退いた。
「あはは! 彼女は俺の幻霊だ」
マモルは彼があまりにも驚いてるので可笑しくなった。そして彼にファルのことを説明した。
「ちょっと、よく見せてくれないか?」
シンジは興味を唆られた。
「俺の手に乗ってみてくれ、ファル」
マモルはファルに左手を近づけた。ファルはポンと彼の手に飛び移った。彼はシンジの顔の前にファルを近づけた。
「へえ…可愛いなぁ! それに凄い美人だ!」
シンジはまじまじと彼女を見つめた。
「あらぁ、シンジ君! 嬉しいわ! あなたもカッコいいわよ!」
ファルは両手を頬に当てて嬉しそうに言った。
「いやぁ。俺なんて…マモルに比べたら、全然」
シンジは後頭部に左手を当てて照れていた。
「ううん、ホントよ! マモルなんて私を褒めてくれたことなんて一度だってないのよ! 酷いと思わない?」
ファルはマモルを流し目で見つめた。
「な、何だよぉ…そんなこと照れ臭くて言えないだろ?」
マモルは思わず思ってたことを口に出してしまい気まずい思いがした。ファルはそんな彼を不思議そうに見つめた。
「おい、マモル、もっと褒めてやらなきゃ駄目じゃないか! こんな美人の幻霊さんがお前を守ってくれるなんて羨まし過ぎる」
「…そ、そうだ、なぁ、シンジ。お前さっきハルカって言ってたけど、カオルの姉さんのこと知ってるのか?」
マモルは話題を逸らした。
「そうだった! それを言おうと思ってたんだ! 彼女もここに来てるんだ。彼女、お前にずっと会いたがってたんだぜ。でも、さっき出かけてくると言って何処かに行っちゃったんだ」
「そうか…彼女に礼も言いたかったんだけどな。…でも、どうして彼女のこと、お前が知ってるんだ?」
「そりゃ、同じエルフ族でマテリアから帰って来た人間同士だ。エルフ族の長エルフィナ様から彼女のことを聞いて、すぐに知り合ったんだ。お前から彼女の話だけは聞いていたけど、最初見た時はカオルさんと間違えちゃってな。あんまりそっくりだから驚いた。でも彼女のお蔭でこの世界のこと色々と分かってきて、ホント、彼女には助けられた。今じゃ仲のいい友達さ」
「ふーん…そうだったのか…」
「そう言えば、カオルさんはどうした?」
シンジは周囲を見回した。
「ああ、あいつはこのところ毎日、一生懸命訓練ばかりしてるんだ。たまには息抜きすればいいのに、ずっとだ…」
マモルはそう言って苦笑いを浮かべた。
「あはは! そうか、お前放っておかれてるのか? 色男も台無しだなぁ!」
シンジは冗談めかして言った。
「あいつは何か思い詰めてるようなんだ。少し心配してるんだが、もう少し様子を見るしかないと思ってさ」
マモルは城の方を見上げた。
「そうか…まあ、お前から俺のこともよろしく言っておいてくれ。いずれは会うことになると思うしな。その時はちゃんと紹介してくれよな」
「ああ、勿論だ」
「そうだ! もう一つ言っておきたかったことがあったんだ。俺、お前の戦いをずっと見てたんだぜ!」
「ホントか!? どこで?」
「お前が最初に戦場に現れてから、ずっと空から。俺はハルカと一緒に戦ってて、そしたらお前が赤い光に包まれて現れた。その後、お前と一緒に側面攻撃にも加わってたんだぜ! 勿論、ハルカも一緒にな。知らなかっただろ?」
「マジか! 声かけてくれれば良かったのに…」
「そんなことできる状況じゃなかったからな。あんな激戦の最中だ。懐かしんでる暇もないだろう。お前の気を散らして、お前が負けたら逆効果だ。だから戦いが終わってからにしようと思ったんだ」
「そうか…そうだよな…でも、こうして会えたんだ。俺は嬉しいぜ! お前とこの世界で暮らせるなんてな」
マモルは彼の肩に右手を置いた。
「噂には聞いてたけど、お前の強さ見せて貰った。しかもあの戦争の英雄が俺の親友だなんて誇らしい気持ちだ! おめでとう、マモル!」
シンジはそう言って彼の手に自分の右手を重ねた。
「そんな改まって言われると、照れるだろ。でも、ありがとな! 素直に気持ちを受け取っておく」
マモルは涙ぐんでいた。
「これからもお前の活躍期待してるぜ! また、きっと会おう!」
シンジも目に涙を溜めていた。
「ああ、絶対に!」
ファルは二人の厚い友情に涙していた。




