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アルビトリウム  作者: 新条満留
第五章 過去
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それぞれの想い

それぞれの想い


 マモルはその夜、露台から大東原の星空を眺めながら、今まであったことを振り返っていた。


 今まで考える余裕なんてなかったけど、こうして平和が訪れると思い出すな。マテリアでカオルがいなくなってから無我夢中でやってきたけど色々とあったよな。

 ……そう言えば…マテリアでの最後の夜にファルは俺のことを…あれって…確かキスされたよな…本気だったのかな? それともマテリアでずっと孤独だったから弱気になってたとか……そうさ。きっと不安で気持ちが不安定だったんだろう。

 俺だってこっちに来てから、いきなり一人で戦えって言われて、ファルが現れて、不安から解放されて、ファルのこと抱き締めたこともあったもんな。きっと、それと同じことだったんだろう。

 ファルのこと綺麗だといつも思ってるけど、それは好きとか嫌いとか、そんなの気持ちとは違う。客観的に見てそう思ってるだけだ。

 ファルと俺の間にあったことをカオルに言ったら誤解されるだろうし、秘密にする訳じゃないけど、言わない方がいいだろうな。ファルだって言って欲しくないと思ってるだろうしな。

 ファルと俺の間には契約関係を超えた関係なんてないと思った方がいいんだ。彼女だって今になってあの事を後悔してるかもしれないし……でも……

 ステラだった俺はファルのことをどう思ってたんだろう……まだその時の記憶が戻ってこないから分からないな、そんなこと……

 俺はカオルのことが好きだ! それは間違いない。じゃあ、ファルのことは……本当に契約だけの関係なんだろうか……分からない……何か、複雑な気持ちだ……



 ファルはマモルに融合して意識体になって考えていた。


 マモルは私とのことをカオルに話してない。今日、彼女と話してみてそれが分かった。彼はきっと話せないんだわ。話せる訳ないわね。誤解されるだけだし…

 この世界で再会した時、マモルは私を抱き締めた。あれはこの世界に来て一人で不安だったからよね。少し残念……

 あの口づけでけじめを付けるつもりだったけど、あれだけじゃ、私の気持ちは収まらなかったんだ。

 私は今でもマモルを忘れられない……むしろ前より強くなってる気がする…どうしよう…このままじゃ、私……

 カオルは私を羨ましいって言ったけど、私はカオルが羨ましい。だってマモルを自由に愛することができるんだもの。私は幻霊として彼を愛することは許されない。

 でもマモル…あの口づけは私の本当の気持なの…

 私は幻霊、今はそれを忘れないようにしなくては……


 カオルは自宅の露台から白仙城の居住区を見下ろしていた。仙獣族は数日前に野営地を引き払って故郷へと戻って行った。でもエルフ族はまだ野営地に留まっていた。人族の安全が確認されるまで留まるらしい。


 でも、アルビトリウムはなんて美しいんだろう。マテリアとは比べ物にならないくらい美しい。でも今度のような戦いはこれからもあるに違いない。

 だから私はマモルと一緒にいるために、もっと強くならないといけないんだわ。だって彼は特選部隊ソール隊の隊長なんだもの。私にはまだそこに入るだけの力がない。私も彼と一緒に戦うためにそのメンバーに加わりたい。

 それにしても噂ではいろいろ聞いていたけれど、マモルがあれほどの強さを持っているとは思わなかった。

 でもファルは教えてくれた。私は最強の魔道士だったと。私がそんなに強かったとは夢にも思わなかった。だから私は強くなれる筈だわ! きっと力を取り戻してみせる!

 ……それにしてもファルがマモルを見るあの目……あれは恋する女性がその相手を見る目だった……

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