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アルビトリウム  作者: 新条満留
第一章 アルビトリウムの伝説
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悩み

悩み


 桜木香は男に生まれた方が良かったと思うことがよくあった。その理由は困っている人を見ると誰でも助けたくなってしまうからである。仮令たとえ戦ってでもである。

 中学生の時のことだった。不良グループに囲まれて虐められていた気の弱そうな男子を見た彼女はつい黙って見ていられなくなった。

 「あなたたち、大勢で一人を虐めるなんて恥ずかしくないの?」

 香は毅然として不良グループに挑んだ。彼らはまさか本気で女性に掴み掛かる訳にもいかず戸惑っていた。それに彼女は学校で評判の美人の女生徒である。彼らは対処に迷った末に、彼女の本気の睨みに耐えられなくなり、遂には彼女を睨め付けながら彼女の傍を通り過ぎて行った。

 その事件は忽ち学校中に知れ渡った。それ以来、香は友達やクラスメートから『アネゴ』と呼ばれるようになった。


 香は自分の性格を不思議に思っていた。

 「どうしてこんなに人助けをしたくなるのかしら」

 香は困っている人を見るとその人と同じ痛みを心に感じてしまう。しかし世の中にはそんな人は沢山いる。そんな人たちを全部助けている訳にもいかない。だから、見るに見兼ねた時だけ助けることにしていた。

 「好きな人でもできれば、こんな痛みを感じないようになるのかしら…」

 香はそんな風に考えたりもした。

 そして彼女は高校に進学した時に思った。

 「これでやっと『アネゴ』というレッテルから解放されるんだわ」

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