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明晰夢

作者: ミスタートルコ

明晰夢

「夢を見過ぎた物はその夢に復讐される」

男は、毎晩夢を見るものの、女性を脱がそうとした所で覚めてしまう

その話を聞いたバーで知り合った男曰く、

「良い薬があります。この薬を飲むと必ず良い夢を見る事が出来るでしょう」

男は半信半疑で飲んでみた、すると夢の世界は想像した通りの出来栄え!何と言っても夢という感覚はまるでしない。これが明晰夢という奴なのだろう。そこでは社長になり日頃腹の立つ上司を殴る事も出来れば、カネに物を言わせ女性社員と性交渉を持てる。カネは有り余る程...高層マンションの最上階だってなんのその。

それから三十年余りが経った。男は夢のおかげでモチベーションが上がったのも有るだろうが、元々仕事の腕は一人前。出世に出世を重ね,ついに社長にまでなった。

しかし、社長の権限で人をこき使おうが、カネを馬鹿みたいに使おうが、良い女を抱こうが、一向に充たされない。全ては30年間夢で経験した事なのだから当然だ。

最近、男の見る夢はもはやあの憧れた富裕層の生活ではない。缶拾い、ゴミ掃除、ホームレス、乞食....貧民層の生活を楽しく夢見ているのだった。

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