僕の彼女は世界一
盲目表現があります。苦手な方は回れ右
一応コメディー
僕は彼女の顔が見えない。見たとたん死ぬ。キュン死じゃないぞ、本当に死んでしまうんだ。確かに彼女は後ろ姿だけでも魅力的だし、そのうねうねとした髪をみるだけでまるで冬にこたつでアイスを食べているような気分になる。……え?よく例えがわからない??あ、そう。僕は寒い日に暖かい部屋で暖かいこたつに入りながら食べるアイスは世界一うまいと思ってるんだ。つまり、幸せなんだよ。わかったかな?僕は彼女の髪を見るだけで幸せになれるってことだ。お酒もタバコも、テレビも漫画もいらない。彼女が居れば、それだけで幸せなんだ。なんてエコなんだ。全人類が僕なら、それだけで、世界平和だ。
閑話休題
とにかく、彼女は魅力的だ。しかし、顔が見れない。別に見れなくても僕は彼女が居れば幸せなんだけど、彼女は、いつ僕と顔を合わせて殺してしまうかわからないからとても不安だと言った。彼女が不安になるなんて可哀想だ。それに、そんな理由で僕を振ろうとするのだから、困ったものだ。結論から言うと、僕は見ることを諦めた。彼女を諦めたんじゃない。世界を、自分を見ることを諦めたんだ。やり方は簡単だ。ちょっとこわい薬を両目に垂らせば、んぎゃぁって声がでて、それでおしまい。僕の目は何もうつさなくなる。でも、彼女のそばにはいられるだろう。それで満足だ。
「バッカじゃないの!?自分が何したかわかってんの!?」
彼女の怒鳴り声が聞こえる。怒鳴り声も可愛い愛しい、愛ラブユー。誤字じゃないくて愛があふれただけだ。
「ねぇ、医者に行って来なよ、今なら間に合うかもよ」
「大丈夫だよ、12時間くらい苦しんだからもう痛くないし、何も見えない」
「手遅れか…」
「僕は君に会えない寂しさで胸が痛かったよ、目よりずっとね」
「頭のほうも手遅れみたいね」
彼女がため息をつく、勿体無いから、おもいっきり吸った。彼女の二酸化炭素は地球、いや、宇宙ごと救う。
「…何してんの」
「天使の吐息をすってるのさ、ふんふん、お昼はカレーだった?」
「きっもい」
おもいっきり叩かれた。目が見えないからすごくびっくりした。彼女の表情が見えないから、想像をする。満面の笑みだ。それで僕は叩かれたのか、そそる。
「私は天使じゃない。それに、」
彼女が言う。
「あなたの目が見えなくなったのは、私のせいなんだから、むしろ、悪魔よ」
「天使より悪魔のほうがエロいイメージあるよね、そそる」
「口を縫ってあげようか?」
「君がやるなら喜んで」
彼女がまたため息をつく。僕は吸う。すぅぅぅぅぅぅぅ、ゲホっ!うわ、勿体無い、もう一度すぅぅぅぅぅぅぅ。
「どうして、あなたは幸せそうで私が悩んでるの?馬鹿らしくなってきた」
「うんうん、悩むのはよくないよ、ハゲちゃう」
「ハゲないわよ。この髪は…」
彼女の髪を思い出す。確かに、蛇なんだから大丈夫だろう。元気そうだし、この間脱皮もしてた。問題ない。
「あ、」
「何よ」
「目が見えなくなって、一つ残念なことがある」
「え?」
「君の美しい後ろ姿が見れない、うぁ、悲しい…」
恋は盲目ってね、なんちゃって。