最終章 1
舜炎と堯閣は不満そうに疲れ切っている庖悦を
看護をしていた。
庖悦は自分の事を不満そうに看護をしている
舜炎と堯閣を横目で見ながら
「お主らか?…… 郭瑜が気にかけている者は?……」
と舜炎らに声をかけた。
『えっ?……』
舜炎らが驚いた顔で庖悦を見詰めると
「ほほほ…… お主らはアイツ(郭瑜)がお主らに
こんな事をさせているのかわからぬようだな……」
庖悦がそう言ったが舜炎らはまだ意味がわからず、
不思議そうな顔をしていると
「アイツ(郭瑜)はお主らのことを買っておるのだ……
お主らは我らの最後の希望だからな……」
庖悦は舜炎らにそう告げた。
『最後の希望?……』
舜炎と堯閣が庖悦の言った事に驚いていると
「我らが倒れた後、お前らがこの世界の民を率い、
導かないといけないんだぞ! お前らは全てのものの
最後の希望なのだ! なんとしても生き延びるのだ!」
庖悦はそう言うと舜炎らをその場に残し、
劉・小狼らのもとへと向かった。
舜炎と堯閣は瞳から泪を溢れさせながら
「どうするんだよ!兄者……」
堯閣は舜炎に訊いた。
舜炎は遠ざかっていく庖悦の後ろ姿を見詰めながら
「どうするも…… アイツラを死なす訳には
いかんだろう…… 全力で援護するぞ!」
と言うと庖悦の後を追いかけ、駆け出した。
関遼と張爛は必死に力を上げた
化け物と化した曹虎の攻撃を食い止めながら
「まだか!……」
と張爛はそう言った。
郭瑜は自分らの後ろの方で必死で化け物の曹虎を
封印する準備をする劉・小狼を見ながら
「まだのようだ! もう少し、踏ん張るのだ!」
といった。
関遼らと郭瑜がそんな話しをしている間に
化け物と化した曹虎は関遼らの間をすり抜け、
集中している劉・小狼のもとにやって来た。
『ま、負ける!……』
劉・小狼がそう思った瞬間、趙燕らが消えたように
化け物と化した曹虎の影が劉・小狼に襲い掛かろうとした。
「あ、危ない!」
と言い、劉・小狼と化け物と化した曹虎の間に
庖悦が割って入ってきた。
化け物と化した曹虎が影は劉・小狼を取り込むことなく、
劉・小狼の代わりに庖悦が化け物と化した曹虎の影に
取り込まれた。
「小狼さま! 後は頼みましたよ!……」
庖悦はそう言うと趙燕らと同じようにその姿を
消し去った。
「庖悦……」
張爛はそう叫びながら、化け物と化した曹虎へと
向かっていった。
「フォフォフォ……」
化け物と化した曹虎は不適な笑いを浮かべながら
劉・小狼から遠く離れた小高い丘へと立ち去り、
その小高い丘の上で曹虎は劉・小狼らの様子を伺っていた。
劉・小狼は庖悦を失い、うろたえている郭瑜に
「郭瑜! すぐさま、態勢を整えよ!」
と叱り付けた。
劉・小狼の言葉にハッと我に返った郭瑜は
「関遼殿。 一先ず、小狼さまの所まで引いてください!
態勢を立て直します!」
と関遼に言った。
「わ、わかりました!」
関遼は頷くと郭瑜と共に劉・小狼のもとまで退いた。




