第5章 12
郭瑜は舜炎と堯閣をこの戦いに巻き込むのが嫌だったが
渋々、それぞれに役割を言い渡した。
「玄武殿と青龍殿はここで小狼さまのことを
お護りしてください…… 関遼殿と張爛殿はあの化け物を
足止めしてください…… 白虎殿と朱雀殿は私と共に関遼殿と
張爛殿の援護に廻ってもらえますか?……
お頭(劉・小狼)は我らが奴(曹虎)を食い止めている間に
奴(曹虎)を永久に封じ込める準備をしてください!」
と郭瑜が話を終えると舜炎が
「俺達は?……」
と怒ったように郭瑜に話しかけてきた。
郭瑜は舜炎と堯閣のことを見ながら
「お前達はわしらの後方支援だ!」
といった。
「な、なんで俺達が後方支援なんだ!」
舜炎はそう言った郭瑜に食ってかかろうとした。
劉・小狼は怖い顔で舜炎のことを睨み付けながら
「よさぬか!舜炎…… 郭瑜の言うことが聴けぬなら、
今すぐ、水霞曉へと戻るのだ!…… これは遊びじゃないのだ!」
と言い放った。
「そ、そんな事はわかっている!」
舜炎はしょんぼりし、俯いた。
劉・小狼は郭瑜のことを見ながら
「郭瑜。後の指示は全て、任せる!」
というと庖悦の方へと歩き出した。
それぞれ、持ち場に付くと自分の方へと向かってくる
曹虎の方を見詰めたまま、庖悦は
「そろそろ、来ます!……」
と言うと庖悦の前に歩み出た関遼と張爛は
「後は引き受けた!……」
と言い、持っていた武器をそれぞれに強く、握り締めた。
その途端、
ドーン……
ともの凄い、爆音と共に庖悦が作った人工的に造った
山を打ち崩し、庖悦らの前に更に化け物と化した曹虎が現れた。
更に化け物と化した曹虎は暴走したように暴れながら、
庖悦らのもとへと近付いてきた。
「張爛。では、行くか!……」
関遼がそう言うと張爛は勢い良く、持っている
武器を振り回しながら
「ああぁ…… 兄者、遅れるなよ!」
と言うと自分らに向かってくる曹虎へと向かっていった。
「無理して!……」
関遼は勢い良く、自分の前を駆けていく張爛を見ながら、
持っていた武器を一振りすると張爛を追いかけて、駆け出した。
庖悦も関遼らの援護に向かおうとしたが力を使い果たしており、
その場に崩れるように座り込んだ。
郭瑜はその場に疲れて、座り込む庖悦の横に立つと
庖悦の肩にそっと手を置くと
「庖悦。ご苦労だったな!…… 後はわしが引き受けよう!
ここから退いて、休むが良いぞ!」
と言うと関遼らの援護へと向かった。
庖悦は遠ざかっていく郭瑜の後ろ姿を見詰めながら、
「死ぬなよ!……」
と呟くと後方へと退いた。
庖悦が後方で休んでいるとそこに劉・小狼がやって来て、
「ご苦労だったな。庖悦…… お前のお陰で反撃の準備を
整えることができた! 後はゆっくりと休め! 舜炎・堯閣。
後は頼んだぞ!」
というと更に前進した。




