6
「地震が収まり、水蓮さまは頭【かしら】らに会うために
深き闇がいる洞窟へと向かったのです…… そこにはすでに
入り口を覆っていた大きな岩はなかったのです……
洞窟の中には頭【かしら】らの姿はどこにもなく、
奥には古びた鏡があるだけだったのです」
蒼琥は劉・小狼にそう話した。
劉・小狼は驚いた顔で
「ま、まさか…… その鏡を触ったのか?」
蒼琥にそう言うと蒼琥は
「は、はい…… 水蓮さまはその古びた鏡を
触ったのです……
と言い、頷いた。
「水蓮さまは洞窟内で頭【かしら】らを懸命に
探したのです…… ですが、何処にも頭らの姿はなく、
諦めかけたその時…… 洞窟内の一番奥にあった
古びた鏡から頭【劉・小狼】の声が聞こえてきたのです!」
蒼琥は劉・小狼には身に覚えのないことを言った。
「わ、わしはそんな鏡の中から声を出しておらぬぞ!……」
劉・小狼がそう言うと蒼琥は沈んだ顔で
「わ、わかっています。その声が頭【劉・小狼】の声で
ないことは…… でも、水蓮さまはその声を頭【劉・小狼】の
声だと信じてしまい……」
劉・小狼に言った。
「私らは何度も水蓮さまにそのことを伝えましたが
聞き入れてもらえず…… 水蓮さまは更にその古びた鏡がある
洞窟へと足を運ぶようになり、少しずつ、その古びた鏡に
心を奪われるようになったのです…… そんな時です……
水蓮さまはその古びた鏡を水霞曉に持ち帰ったのです……
それから水蓮さまはその古びた鏡に命じられるままに
水霞曉の周辺を攻め始めたのです……」
蒼琥は劉・小狼に水蓮が深き闇を封印した古びた鏡によって、
暴走したことを聞かされた。
「いつしか、水蓮さまはその古びた鏡から聞こえてくる声に心酔し、
古びた鏡に掛かっている封印を解こうし始めたのです。
危機を感じた私らは古びた鏡を水蓮さまから奪い、
古びた鏡があった場所へと戻したのです……
ですが、一回、解き放たれ始めた古びた鏡の力は
私らで抑えることが出来ずに遂に古びた鏡に掛かっていた
封印は解かれ、力は解放されてしまったのです。
その古びた鏡から解き放たれた力を得た水蓮さまは
”魔女”へと姿を変えたのです……
頭【かしら〈劉・小狼〉】より早く、この世界に
舞い戻ってきた関遼さま達は”魔女”へ姿を変えた
水蓮さまを戻そうとしたのですが……」
蒼琥が劉・小狼にそう言いかけた時……
蒼琥の後ろから蒼琥を狙った矢が飛んできた。