第5章 11
「待つのだ!張爛!……」
劉・小狼は化け物と化した曹虎に襲い掛かろうとした
張爛を制しした。
「小狼兄者! 何で止めるんだよ!」
張爛は不満そうに劉・小狼のことを睨み付けた。
劉・小狼は張爛の遥か、後ろにいる化け物と化した
曹虎を見ながら
「一旦、退くのだ…… 孫嘉を失った上に趙燕までも……
体勢を立て直すのだ!」
と言うと張爛の手を引き、後ろへと交代した。
庖悦の所まで劉・小狼らが後退すると
「小狼さま!準備が整いました!……」
と庖悦が言ってきた。
劉・小狼は庖悦のことを見ながら
「どれ位、持つ?……」
と庖悦に訊くと
「持って、1時間ほどかと……」
と庖悦は曇った顔で答えた。
少し考えた劉・小狼は
「よし!やってくれ! 庖悦」
と庖悦に言うと
「わ、わかりました!……」
庖悦は化け物と化した曹虎の前に山などを
迷宮のように人工に作り上げた。
それを確認した劉・小狼は
「後は任せたぞ! 庖悦」
と言うと郭瑜らと共に庖悦の後ろから
少し離れた所まで退いた。
庖悦は何かを決心したかのように目の前から来る
化け物と化した曹虎の方をジッと見詰めていた。
庖悦の場所から離れた関遼は
「さて。これからどうする?……」
と話しかけてきた。
「まずはアイツ(曹虎)の動きを止めぬと
いかないだろう…… 郭瑜!何か、良い策はないか?」
劉・小狼は郭瑜に化け物と化した曹虎の動きを
止めるアイデアを訊いた。
郭瑜は腕組みをし、考え込みながら
「うむ…… 今の我らの戦力が奴(曹虎)を
止めるのは不可能かと・・・・」
と言うと苛立ったように
「何か、良い考えはないのかよ!」
張爛は叫んだ。
何もアイデアが出ない劉・小狼は皆で俯いて押し黙った。
「何だよ! 湿気た面をして……
俺達のことを忘れていないか?」
という声が郭瑜の後ろから突然、聴こえてきた。
劉・小狼が声がした方を見るとそこには四仙獣と共に
舜炎らの姿があった。
郭瑜は突然、自分の前に現れた舜炎らに驚きながら
「な、何でお前達、ここにいるんだ?」
と怒った。
「俺達だけ、除け者をずるいぞ! 俺たちも戦う!」
舜炎はそう言い、劉・小狼の前に歩み出た。
郭瑜は慌てて、劉・小狼と舜炎の間に割って入ると
「お前達はいかん!…… 水霞曉へと戻るのだ!
何をしておる。四仙獣! こいつらを……」
と言うと
「郭瑜。良いではないか?…… 孫嘉と趙燕を失った以上、
人手は多い方が良い! 作戦を考えよ!」
劉・小狼は郭瑜にそう言った。




