第5章 3
刻神の身体を乗っ取った邪悪龍が劉・小狼に
攻撃を加えたその時……
邪悪龍の溢れる闇と劉・小狼の気がぶつかり合うと
劉・小狼と邪悪龍の闇は混ざり合い、周辺へと拡散した。
拡散した劉・小狼の気と邪悪龍の闇は辺りにある
全てのモノを消し、無へと変えていった。
遠くの方で郭瑜と杜闑の張った強い結界の中で
劉・小狼と邪悪龍に身体を乗っ取られた刻神の様子を見ていた
郭瑜は
「こ、これはまずいぞ!この世界自体が消えてなくなる……」
と呟いた。
杜闑も同じように劉・小狼と身体を乗っ取られた
刻神のことを見ながら
「もはや、我らにはどうする事もできない!」
と言った。
郭瑜は怖い顔で全てを諦めている杜闑を見ながら
「我らはここで諦める訳にはいかない……
我らはここから退き、一旦、水霞堯まで退く……
みんなで手分けをし、民を水霞堯に非難させる……」
と関遼らに指示を出した。
郭瑜から指示を受けた関遼らは四仙獣らと共に
四方へと散った。
その場に残った郭瑜は杜闑に
「さて。お前はどうする?……」
と訊いた。
「お、俺は……」
杜闑は劉・小狼の戦いをじっと見詰めていた。
「わ、わしはまた、止められなかった……」
杜闑は独り言のようにぽつりと呟いた。
「それはどういうことだ?…… またとは?……」
郭瑜は劉・小狼の戦いを見詰め、絶望に打ち拉がれている
杜闑にそう訊いた。
「かつて、わしは(初代の)刻神に仕える
十騎神の一人だった……」
杜闑はそう、ぽつりと放し始めた。
「この地に舞い降りた刻神は混沌を治め、
この地に安定を齎した…… だが、刻神は本当に闇が
この地からなくなっては思ってはいなかった……
刻神は最悪を回避する為に自分を中心とし、
この地を十区間へと分け、それぞれに我ら、十騎神を護りに
就かせた。 だが、刻神の嫌な予感はすぐに現実のものとなった……」
「刻神から任せられた私の土地で闇が発生した……
私は何とかして、その闇を消し去ろうと努力をしたが……
私が闇を消し去ろうとすればするほど、その闇は深く、強大となり、
私が刻神より任された土地へと広がっていった。
それでも私がその闇を何とかしようと必死でもがいていると
何処からか、黄金に輝く龍(聖龍王)と漆黒の龍(邪悪龍)が
私のもとに現れた。 私のもとに現れた黄金に輝く龍(聖龍王)は
『お主はここで何をしておる?』
と私に話しかけてきた。」
杜闑はさらにそう話した。




