第4章 7
魔女(水蓮)がまさに劉・小狼に攻撃を
喰らわせようとしたその時……
突然、魔女(水蓮)の動きは劉・小狼の前で
立ち止まっていた。
『な、何故だ?……』
劉・小狼が突然、自分の前で動きを止めた水蓮(魔女)を
見詰めていると劉・小狼の後ろから
「下がるんだ……」
という、男性の声が聴こえてきた。
『えっ?……』
劉・小狼が驚いた顔で後ろを振り返ると劉・小狼の遥か、後ろに
杜闑の姿がいた。
だが、すぐに魔女(水蓮)は自分の持つ闇の力を解放し、
「じゃ、邪魔をするな!……」
と言うと劉・小狼と劉・小狼の後ろにいる杜闑を吹き飛ばした。
傷付きながらも、杜闑は立ち上がり、倒れたまま、
動かない劉・小狼のもとに近寄って、
「だ、だいじょうぶ?……」
劉・小狼のことを気遣った。
杜闑の声で気が付いた劉・小狼のもとに魔女(水蓮)は
この世の者と思えぬ顔で
「し、死ね!……」
と言い、劉・小狼に攻撃を仕掛けてきた。
「あ、あぶない!……」
杜闑は寸前のところで自分を含めて、劉・小狼を護るように
堅固な結果を張った。
杜闑の張った結界によって、自分の攻撃を防がれた
魔女(水蓮)は更に激怒し、杜闑の張った
結界に何度も攻撃を仕掛けた。
その時、劉・小狼の懐から一つの小さな鈴が落ちた。
その落ちた鈴の音を聴いた途端、魔女(水蓮)の動きは止まった。
劉・小狼が落とした鈴はかつて、水蓮が深き闇への戦いに
行く前にお守りとしてくれたモノだった。
劉・小狼はその鈴を拾い上げ、目の前にいる
水蓮(魔女)を見ると魔女(水蓮)はとても苦しがっていた。
劉・小狼はそんな水蓮(魔女)を見詰めながら、
「す、水蓮……」
と声をかけると一瞬だけ正気に戻った水蓮は
「た、助けてぇ…… 小狼さま……」
と劉・小狼に助けを求めてきた。
「水蓮……」
劉・小狼が再び、目の前にいる水蓮(魔女)に
声をかけると魔女(水蓮)へと戻った水蓮(魔女)は
再び、劉・小狼へと襲い掛かってきた。
劉・小狼が零漸磁湖で魔女(水蓮)の攻撃を受けている頃……
魔女(水蓮)の劉・小狼への攻撃と呼応するかのように
龍炎軍がやっと、水霞曉の地へと向かって、動き出した。
龍炎軍の勢いは凄まじくて、龍炎軍が侵攻した後は
全ての物が破壊され、草木も生えない有様になっていた。
そんな龍炎軍の侵攻の様子を遠くの山の丘から見ていた
堯閣は
「兄者!このままだと我らの生まれた国が……」
と隣にいる舜炎にそう言うと舜炎は悔しそうに龍炎軍の
侵攻を見ながら、
「わ、わかっている…… だが、今の我らには
何も出来ぬ!……」
というと突然、舜炎の懐が眩しく光り出した。




