第3章 9
「なら、どうするのだ?……」
劉・小狼が怖い顔で杜闑に訊くと
「まあ。これだけ魔女の兵の死体が転がっているなら、
ここいら辺はもう大丈夫でしょう……」
杜闑はそう言うと自分が先導するかのように
雨雁山の桟道を登り始めた。
劉・小狼と孔游は自分らの先に行く杜闑を
不機嫌そうに見ながら、雨雁山へと足を踏み入れた。
一方、その頃…… 劉閣が率いる魔女軍は
雨雁山の中腹まで来ていた。
だが、ここまで来るのに多くの兵を失い、
連れて来た魔女の兵は数名ほどになっていた。
雨雁山の中腹まで来た劉閣らは休憩を取りながら
「さて。これからどうする?……」
蒙虎は劉閣に訊いた。
劉閣は眼下に広がる風景を見詰めながら
「さて? どうするかな?…… このまま、進めば、
おそらく、我らは全滅をするだろう!かと言って、
このまま、引き下がるのも……」
と呟くように言った。
「ねぇ? お兄ちゃん達って、ここで何をしているの?……」
突然、劉閣と蒙虎の後ろに幼い男の子が現われた。
劉閣らは自分らの前に突然、現われた男の子に
驚きながらも蒙虎は
「我らは空を飛べる石を探しに来たんだ!……」
目の前の男の子に言うと
「そんな石、ここにはないよ!」
その男の子はそう答えた。
「そ、そんなはずはない!」
男の子の答えに怒った蒙虎は持っていた
剣で男の子を殺した。
休憩を終えた劉閣らはその男の子をその場に
そのままにし、先に進んだ。
だが、それから劉閣が率いる魔女軍は
雨雁山の深い霧に巻き込まれた。
劉閣らが男の子を殺した場所から立ち去り、
暫くすると蒙虎が殺したはずの男の子が突然、起き上がると
その場からまるで幽霊のように消え去った。
男の子が消え去った後、暫くして、劉・小狼らが
劉閣らが休憩していた場所へとやって来た。
「そろそろ、ここいら辺で一休みをしましょうか?……」
杜闑は疲れてきた劉・小狼を気遣い、
休憩をすることを提案した。
辺りを見回した劉・小狼は
「そ、そうだな…… ここいら辺で一休みをしようか?」
と言い、休憩の為に近くの小さな岩へと腰掛けた。
劉・小狼らが休憩をしていると劉閣らと同じように
劉・小狼らの後ろに
「ねぇ? お兄ちゃん達、ここで何をしているの?」
小さな男の子が劉・小狼らに話しかけてきた。
劉・小狼は突然、目の前に現れた男の子に驚きながら
「お、お兄ちゃん達はね…… 悪い奴らを
やっつけに来たんだ!」
突然、目の前に現れた男の子にそう答えた。
「ふ~ん…… そうなんだ……」
劉・小狼の前に突然、現れた男の子は劉・小狼が言ったことに
驚くことなく、頷いた。
劉・小狼は目の前の男の子を不思議に思いながらも
「ねぇ。ぼく…… ここいら辺に悪い奴ら、来なかった?」
ダメもとでその男の子に訊くと男の子は
劉閣らが立ち去った方を指差しながら
「うん。来たよ! そいつら、あっちに行ったよ!……」
と答えた。
だが、男の子が指を指した方は深い霧が立ち籠めた所だった。




