第3章 5
些迅関のことを劉閣と蒙虎に任せ、水霞曉へ帰る途中、
魔女【水蓮】は劉・小狼のことをふと、思い出していた。
『何だ。今の記憶は?……』
魔女【水蓮】は突然、劉・小狼のことを思い出したことに
ひどく戸惑った。
「どうしましたか?魔女さま……」
そんな魔女【水蓮】の前に四つの人影が突然、現われた。
「大変ですぞ!魔女さま。水霞曉の四方にいる四仙獣の者らが
水霞曉へと迫っています……」
人影の一つがそう言うと四つの人影から黒い鎧を身に纏った
男らが現われた。
「貴方ら、四死獣には別の指令を出していたはずですが……」
魔女【水蓮】は目の前に現われた黒い鎧を着た四人の男達に
そう言うと黒い鎧の男の一人【飛燕】が
「すでに朱雀は水霞曉へと攻め入ろうとして、
国境に兵を集結させていますよ!…… どうするのですか?
魔女さま」
魔女【水蓮】に詰め寄り、訊いた。
魔女【水蓮】は水霞曉と朱雀が護る地の国境の方を
見詰めながら
「大丈夫。今、あの地には関遼がいますから……
貴方達は自分達の使命に戻りなさい!……」
と言うと何事もなかったかのように自分は
水霞曉への帰路に着いた。
その場に残された四死獣の飛燕は
「さて。どうしますか?……」
他の四死獣にそう訊くと
「我らは我らの仕事をしようか!」
四死獣の黒虎【こくこ】はそう言った。
他の四死獣も黒虎の言った事に微笑んだ。
「じゃあ。行きますか?……」
他の四死獣・雷玄【らいげん】がそう言うと
他の四死獣らは頷き、その場から姿を消した。
その頃、些迅関には魔女軍の第2陣が飛び道具を持って、
攻めかかろうとしていた。
その事は些迅関を護っている劉・小狼らも気付き、
防御体勢を構えた。
些迅関と距離を取って、飛び道具を構えた魔女軍は
指揮官の指示に慌てて、些迅関に向かって、飛び道具を放った。
魔女軍が放った飛び道具が些迅関にぶつかる直前、
孫嘉の張った結界【バリア】によって、魔女軍の放った飛び道具は
些迅関に一つも当たることなく、全て弾かれた。
その様子を孫嘉の横で見ていた郭瑜は
「次はわたしの番ですね!……」
というと孫嘉に合図を送った。
次の瞬間、些迅関を覆っていた孫嘉の結界【バリア】は消え去り、
それと共に郭瑜が作り出した無数の光の矢が小さな橋の先に
陣を構えている魔女軍に向かって、飛んでいった。
郭瑜の放った光の矢で魔女軍の1/3が倒された。
残った魔女の兵も郭瑜の攻撃で大混乱を起こしていた。
様子を見に来た劉閣と蒙虎は魔女の兵が大混乱をしているのを見て、
「落ち着かんか!…… 一旦、陣を引け!」
劉閣は大混乱に陥っている魔女の兵を自ら率いて、
些迅関の前から引いた。




