第2章 12
元に戻った郭瑜に劉・小狼は
「状況を説明してくれ!……」
と言った。
郭瑜は砂蛇の体内にあった祭壇にあった扇子らしきモノを
胸の前でゆっくりと仰ぎながら
「状況を説明する前にまずはお仲間が待っている所に
戻りましょうか?……」
と堯閣に言った。
堯閣は不機嫌そうに郭瑜の脇を通り、自分らが隠れている
村近くの小さな洞窟へと戻った。
劉・小狼は祭壇の上に残っている槍先を手に入れると
郭瑜と共に堯閣の後を追いかけた。
郭瑜は劉・小狼らが隠れている小さな洞窟内にやって来ると
死んだように眠る趙燕と孫嘉のことを見た。
郭瑜は手に入れた扇子らしきモノを閉じると
「さあ。この者らの邪気を払いたまえ!……」
と言い、趙燕と孫嘉の上で扇子らしきモノを振るった。
暫くすると趙燕と孫嘉の身体から魔女【水蓮】がかけた
邪気が消え去り、趙燕と孫嘉は目覚めた。
郭瑜は何事もなかったかのように劉・小狼の方を向くと
「さて。これからどういたしましょう?」
と言った。
劉・小狼は郭瑜の方を見ながら
「わしは青龍の所に行きたいのだが……」
と言った。
郭瑜は少し曇った顔をしながら
「おそらく、直接、青龍のもとに向かうのは
難しいでしょう?……」
劉・小狼に言った。
「それはどういうことだ!……」
劉・小狼は郭瑜に訊いた。
郭瑜は目覚めたばかりの趙燕に
「趙燕!地図は持っているか?」
とそう言った。
「ええぇ…… ここに持っている!」
趙燕はそう言うと懐から一枚の地図を郭瑜に差し出した。
郭瑜は趙燕から地図を受け取ると劉・小狼の前にある
小さな平たい岩の上にその地図を広げ
「すでに青龍の居城・蒼柳塔は魔女【水蓮】の支配を
受けている張爛殿と庖悦殿が率いる魔女の兵で
取り囲まれているでしょう! ……おまけに魔女は我らが
青龍の援軍に加わる前に青龍の居城・蒼柳塔をほぼ全軍に
近い兵力で攻め落とすつもりです!」
と言った。
「それはまずいではないか……」
劉・小狼が慌てた口調で郭瑜にそう言うと郭瑜は冷静に
「ですから私らは魔女の援軍を水霞曉の国境沿いの
些迅関【さじんせき】で食い止めます!」
と言い、持っている扇子らしきモノで広げた地図を指した。
「ま、待て!郭瑜…… 国境沿いのこの些迅関を
我らが奪い取ると言う事はその後、敵の兵が我らの
元に押し寄せるのでは?……」
劉・小狼は不安そうに郭瑜にそう言うと
「はい。間違えなく、敵は我らが奪った些迅関を
取り戻そうと些迅関に押し寄せるでしょう!」
郭瑜は冷静に劉・小狼にそう答えた。
「それでは我らは些迅関で無駄死にじゃないか……」
劉・小狼が少し怒ったように郭瑜にそう言うと
郭瑜は冷静に
「そうではありません…… 我らが些迅関を奪い取ったら、
すぐにそのことを青龍殿に伝え、敵の兵を壊滅させるのです!」
目の前に地図を見詰めながら、劉・小狼にそう言った。




