第2章 6
劉・小狼の前に現われた老人によって、老人の隠れ家に
劉・小狼と堯閣は連れて来られた。
そこには老人だけではなく、村の者達もいた。
「一体、この村で何が起こっているんだ?」
劉・小狼が老人にそう訊くと老人は俯きながら
「じ、実はなぁ…… この村は魔女の手下が放った
怪物によって、支配されているのだ!」
劉・小狼に言った。
「一体、魔女の手下が放った怪物とは?」
堯閣は怪物のことを老人に尋ねたが老人は俯いたまま、
何も答えようとしなかった。
困った堯閣は老人に
「俺達は帰りたいのだが何処か、この村から
出れる所はないのか?……」
と訊いた。
劉・小狼と堯閣を隠れ家に連れてきた老人は
困った顔をしたまま、
「ある事はあるが……」
と言い、口篭った。
「それは何処だよ!……」
堯閣はそう言い、老人に詰め寄った。
しょうがなさそうに老人は
「この村から出たいなら、村の北にある井戸の中を
通るしかない…… だが、そこには魔女の手下が放った
怪物がいるだろう!」
劉・小狼と堯閣にそう言った。
劉・小狼は危険だと思ったがそこしか、村から出る所がないから
とりあえず、老人から教えてもらった村の北の井戸へと向かった。
劉・小狼と堯閣が村の北にある井戸にやって来たが
そこには魔女の手下が放った怪物はいなかった。
それどころか、真っ黒な人の形をした者達もいなかった。
少し不安になった劉・小狼は呟くように
「本当にここか? 間違えたのでは?……」
堯閣に言うと堯閣は自分らを助けてくれた老人が
書いてくれた井戸までの地図を見ながら
「いや。間違いではない。 あの井戸の中を通っていくと
村の近くの沢に出るはずだ……」
と言い、目の前の井戸を指差した。
劉・小狼と堯閣はとりあえず、自分らを助けた老人から
教えてもらった村の北にある井戸の中へと入ることにした。
すでに井戸は枯れ果てて、井戸の中には暗い洞窟のような穴が
開いていた。
劉・小狼と堯閣は老人に書いて貰った井戸の地図を頼りに
井戸の中を進んでいった。
井戸の中は地図があるとは言え、まるで迷路のように
入り組んでいた。
松明【たいまつ】を翳し、劉・小狼の前を堯閣は井戸を
程なく、進んだ所で急に立ち止まった。
劉・小狼も立ち止まり、堯閣に
「ど、どうした?……」
声をかけると堯閣は劉・小狼の方に振り返り、
「何か、おかしい…… 迷ったかも?」
劉・小狼に言った。