第2章 4
劉・小狼は辺りをキョロキョロと見廻し、朱雀のことを
探しながら
「朱雀。何処にいるのだ! 私の仲間の趙燕と孫嘉が
大変なのだ! どうしたら、良い?」
朱雀に尋ねると劉・小狼らの前に幻影の朱雀が現れ、
「う~む!…… それはお主らが青龍が護る東の地に
入ったのかもしれんなぁ!…… 二人はしばらく、動けんぞ!」
劉・小狼にそう告げた。
「でも、今になって、何故、こんな状態になったのだ?」
劉・小狼が幻影の朱雀にそう尋ねると
「それは…… 今、魔女の配下でかつて、お主の仲間だった者が
何かをやっているのか?…… あるいはその者【趙燕】らに
共鳴する物がその地にあるのでは?……」
幻影の朱雀は劉・小狼にそう言った。
心配そうに劉・小狼のそばにやって来た堯閣は
「どうするのだ? 暫くはコイツ【趙燕】らは
動かさない方が良いぞ……」
趙燕と孫嘉のことを見ながら、劉・小狼に
そう話しかけてきた。
趙燕らがいる洞窟から外に出た劉・小狼は夜空に
浮かんでいる月を眺めながら
『さて。どうしょう?……』
考え込んでいると洞窟から堯閣が出てきて、劉・小狼の横に並ぶと
「どうするかを決めたのか?……」
劉・小狼に堯閣はそう聞いてきた。
まだ、考えが纏まっていなかった劉・小狼は
「ああぁ……」
頷くことしか出来なかった。
堯閣も劉・小狼と同じように夜空の月を見詰めながら
「明日、近くの村に食料などの買い出しに行って来るわ!……」
と言った。
劉・小狼が堯閣の一言に驚いた。
一晩、考え抜いた劉・小狼は翌日、近くの村に行こうとする
堯閣の前に現われた。
「ど、どうした?……」
驚いた顔をしている堯閣に劉・小狼は
「わ、わしも行くぞ!……」
堯閣に言った。
堯閣は困った顔をしながら、
「勝手にしろ! 責任は持てんぞ!……」
と言うと劉・小狼を一人残し、近くの村へと歩き出した。
劉・小狼はにこやかに微笑みながら、堯閣の後を追いかけ、
歩き出した。
近くの村にやって来た劉・小狼と堯閣は目の前に広がる
無残な風景に目を疑った。
「助けてくれ!……」
と言うと趙燕が懐に入れていた朱雀からもらった
朱雀石が淡く光ながら、劉・小狼の前に浮かび上がった。
その朱雀石が淡く輝いたかと思うと劉・小狼の前に
幻影の朱雀の姿が現われた。
「一体、どうしたのだ?詳しく、説明をしろ!」
幻影の朱雀は劉・小狼に今の状況を
詳しく説明するように言った。
「それが……」
劉・小狼は目の前の幻影の朱雀に今の状況を
詳しく説明した。