第2章 2
「そうですか…… で、孫嘉。 郭瑜は今、何処だ?……」
劉・小狼は郭瑜の居場所を孫嘉に訊いたが
「……」
孫嘉が俯いて、答えに困っていると朱雀が
「お前さんの参謀の郭瑜はお前さんのかつての仲間の
関遼と共に玄武が護っている北の方だと思うぞ!……」
劉・小狼に言った。
「なら、次に向かう場所は玄武が護る北の方だな!……」
劉・小狼は孫嘉らにそう言った。
「頭【かしら】、それは無理です!……」
趙燕は劉・小狼にそう言うと懐に入れていた地図を
近くの小さな机の上に広げた。
それは水霞曉を中心とした周辺の地図だった。
「趙燕。それはどういうことだ?」
劉・小狼が趙燕が小さな机の上に出した地図を見ながら、
趙燕に尋ねると趙燕は地図を覗き込み、指を指しながら
「ここ、鳳臥関から真っ直ぐに進めば、玄武がいる
玄磁峡【げんじきょう】に着くのですが……
それには魔女がいる水霞曉を通らないといけないのです」
劉・小狼に説明した。
朱雀は趙燕が出した地図を覗き込みながら
「このまま、今の戦力で魔女がいる水霞曉を
突っ切るのは無謀すぎる。
ここは東の方を護っている青龍の方を迂回するか、
西の方を護っている白虎の方を迂回するしかないであろう!」
劉・小狼にそう言った。
孫嘉は寝ていたベットのような平たい岩から起き上がると
趙燕の出した地図を覗き込み、指を指しながら
「東の方を護っている青龍の方には
おそらく、張爛【ちょうらん】と庖鋭【ほうえつ】
がいるでしょう?…… さらに西の方を護っている白虎のもとには
頭【かしら】の兄の劉閣【りゅうかく】殿と蒙虎殿がいるでしょう?
どちらも通り抜けるのは至難の業かと?……」
と劉・小狼に進言した。
劉・小狼は趙燕が出した地図を覗き込みながら
「うむ…… ここはここから一番近い、青龍が護っている
東の地へと向かうとしよう!」
と言った。
「はい。わかりました。 すぐに出発の準備をいたします!」
趙燕は劉・小狼らがいる部屋から出て行った。
それから数日後。 出発の準備を整えた劉・小狼らは
青龍が護っている地へ旅立とうしていた。
出発しようとしている劉・小狼らに朱雀は
「くれぐれも気をつけろよ!…… お主らにこれを授けておこう!」
というと趙燕と孫嘉に真っ赤なルビーのような
小さな石を手渡した。
「これは?……」
趙燕が朱雀に尋ねると
「それはまだ、完全に力が戻っていないお主らを助けるモノで
朱雀石だ!」
朱雀はそう答えた。
趙燕と孫嘉が朱雀から朱雀石をもらうと劉・小狼らは
青龍が護る東の地へと旅立った。
だが、暫く行くと趙燕と孫嘉は劉・小狼から
少しずつ、遅れ始めた。
最後には趙燕と孫嘉は乗っていた馬から転げ落ちた。
それに気がついた堯閣は劉・小狼の前に馬に乗ったまま、
歩み出ると
「おい! お前の仲間の様子がおかしいぞ!……」
と言った。
『え?……』
劉・小狼が後ろを振り返るとそこには
趙燕と孫嘉の倒れた姿があった。