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私は深い深い闇の中をただ当てもなく、彷徨っている……
一体、どれ位、私はこの暗闇の中にいるんだろう?……
私は何か、重要な事を忘れているような気がする……
それは一体、なんだろう?……
そんな時、私(劉・小狼)の耳に
「た、助けてぇ!……」
若い女性の声が聞こえてきた。
『だ、誰だ? 私に助けを求めるのは?……
だが、この女性の声は何処かで聞き覚えがある……
一体、誰だろう?』
劉・小狼がそんなことを思い、考えていると突然、劉・小狼の前に
光の渦が表れ、その中に劉・小狼は引きずり込まれた。
気が付くと劉・小狼は深き闇と闘った洞窟内にいた。
そこには誰もいなく、静まり返っていた。
『何故、私はまた、ここに戻って来たのだろうか?……
確かにあの深き闇と共に深き眠りに付いた筈なのに……』
劉・小狼がそんな事を考えていると洞窟の入り口の方から
血生臭い生暖かい風が吹いてきた。
『皆は何処に行ったのだろうか?…… 外に行ってみよう!』
劉・小狼はとりあえず、洞窟の外に出てみようと
洞窟の入り口へと歩き出した。
深き闇との戦いで洞窟の入り口は大きい岩で塞がれているはずだったが
洞窟の入り口に来た劉・小狼の前にはそんな大岩はなかった。
その入り口から洞窟の中で感じた血生臭い生暖かい風をより強く感じた。
『な、なんだ? この感じは?……』
劉・小狼はそう思いながら、洞窟から一歩、外に出てみた。
そこには劉・小狼のまるで知らない世界が広がっていた。
「な、なんだ? ここは?……」
劉・小狼が目の前に広がっている風景にびっくりしていると
また何処からか
「た、助けてぇ!……」
という若い女性の声が聞こえてきた。
『だ、誰だ? 劉・小狼に助けを求めるのは?……』
劉・小狼はその声の主を探そうと辺りを見廻したが
その声の主は何処にもいなかった。
『とりあえず、居城【水霞曉】へでも帰ってみるか?……』
劉・小狼はそう思い、自分の居城・水霞曉へと歩き出した。
深き闇との戦いの為に一度、通った道だがどうにも前に
通ったときと感じが違っているように思えた。
劉・小狼はその場に立ち止まり、辺りを見廻しながら
『な、何かが変だぞ?……』
と思っていると道端の茂みがガサガサと 音がした。