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外伝 とっても最高神 けっぱれアンバレンスさん!

 最高神というのは、自分の世界だけを管理していればいいというものではない。

 他所の世界との兼ね合いや交渉もまた、重要な仕事のひとつであった。

 世界を管理する最高神にもいろいろなタイプが居る。

 たくさんの神が共同で世界を管理しているタイプ。

 一人の最高神が居て、その神が他の神に指示を与えているタイプ。

 そして、最高神一人だけで全てを取り仕切っているタイプ。

 他にも様々。

 たくさんの形が、世界の数だけあるといっても過言ではないだろう。

 アンバレンスとしては、どれが一番都合がいいということはないと考えていた。

 それぞれ自分たちで工夫してやっている以上、その世界にはそれがいいのだと思っていたからだ。

 最終的に、仕事さえきちんとこなしていればそれでいいのだ。

 仕事さえこなしていれば。


 アンバレンス達最高神仲間の間で、よく問題にされている世界があった。

 その世界は最高神が一人で世界運営をしているのだが、これがどうにも問題児だったのだ。

 他の世界から、魂を受け入れないのだ。

 魂の循環は、実は絶対にやらなければならないことではない。

 汚れた魂や妙に徳が高くなりすぎた魂など、それぞれ自分の世界で処理することが出来れば、それはそれでかまわないのだ。

 そういった面倒事をお互い融通しあう事で、お互いに貸し借りを作ることこそが目的なのである。

 細事を融通しあう事で、本当に危ない世界崩壊の危機のときなど、お互いに助け合う事にこそ意味があるのだ。

 魂の輸出入があるいじょう、どうしても定期的に顔を合わせる。

 そのときのやりとりで、神間関係が出来上がるわけだ。

 さて、その問題児である最高神だが、いったい何が問題なのかといえば。

 魂の輸出入を一切拒否していたのである。

 これは、他の世界と交友をしないということで、いわば鎖国状態にあるということだ。

 それだけ聞けば問題がないように思えるかもしれないが、実際には大問題である。

 まかり間違ってその世界が崩壊の危機に陥ったとしよう。

 そういった影響は、周りの世界にも出てしまう。

 近くの火事が、引火してくる恐れがあるのだ。

 それを消そうとしても、「オタクには関係ない」と近寄らせてもらえない恐れもある。

 それが出来てしまうのが、世界運命の恐ろしい所なのだ。

 そうならないようにするためにも、普段から交友、魂のやり取りをするのである。

 そもそも、魂の管理はどこの世界でもそういった事情で必須であり、どこの世界でも頭を悩ませる面倒事であった。

 一部の世界だけがそういった面倒事に煩わされないと言うのは、そういった世界の最高神から見たら羨ましくねたましくムカつくのである。

 いってしまえば、町内会に顔を出さない家がにらまれるようなものであった。




「あ、うっす」

「うっすうっす」

 軽く手を挙げ、挨拶をしあう二柱。

 ラフな格好をした彼等は、どちらもそれぞれの世界の最高神であった。

「いやぁー。まいったね」

「っとだよ。今日こそぶん殴ってでもあれしてやろうぜ」

 彼等はこれから、とある所に向かう事になっていた。

 その場所とは、鎖国状態にある世界の最高神の元である。

 目的は、その世界にも他の世界からの魂を受け入れるように説得する事だ。

「ホントまいるねー。いいっちゃいいんだけどね? なんつーか、付き合いって大事じゃない?」

「あるある。ほんとだよ。こう、周りに足並みを合わせろとは言わないけどさ。ある程度世間体って言うの?」

「そうそう」

 神の世界でも世間体と言うのは大切な様であった。

 早速二柱は早速鎖国状態の最高神の元へと向かう。

 以下のやり取りは超神次元的な描写が必要となるので、会話のみでお伝えしよう。




「おい! オイコラ! あけろおい!」

「はい、なん、あ、いや、イマセン! だれもいないでぷー!」

「なんだぷーって! どんな語尾だごらっ! おら、あけろよ! ドアぶっ壊すぞごら!」

「わかったでぷ! らんぼうはよすでぷー!」

「ったく、手間かけさせやがって・・・。うわっ! なんだこの世界! ほころびでテンじゃねぇか!」

「崩壊とか起こすぞ?! なんで世界の生物がほころびなおそうとしてんだよ! お前やれよ!」

「ほころびを魔物化して、住んでいる奴等に対応させてるでぷ」

「でぷじゃねぇーよ! なにかんがえてんだばーか!」

「本当にやばくなったらぽっくんがとめるんでぷよ」

「ぽっくん?! それ一人称なの?! それ一人称なの?!」

「バカじゃネーのマジで! ッつーかなんだよこの宗教体系! なに考えてんだ!」

「はっ?! お前、お前崇めてるやつゼロじゃん! 一人も居ないじゃん! つーかお前唯一神だろ?! 何で居もしない神崇めてんだこの世界の生物! しかもめっちゃ宗教戦争起こしてんじゃねけぁ!」

「それどころじゃなくね?! 世界のほころび魔獣化してんならそっちに集中しろし! せかいほうかいすんぞ!!」

「まったくこまっちゃうでぷよねー」

「うっせ、でーぶ! 一番悪いのてめぇーだでーぶ!」

「腹たっぷたっぷさせやがって! きちんと管理しろよ!」

「してるでぷよぉー。最低限の干渉で世界を管理するのが神の仕事でぷしぃー?」

「最低限したまわってんだろ?! ぶんなぐんるぞ?!」

「落ち着け! 落ち着けって!」

「あ、例の魂の輸出入は全力でお断りでぷ」

「ああ?! てめぇはなしぐらいきけごらぁあああ?!」

「おちつけって! 冷静に!」

「あ、この宗教の祈りの時間でぷ。居ない神なんて崇めても無駄でぷのにねぇ。愚生物はこれだからこまるでぷ! もち信仰の力はぽっくんのものになるわけでぷが。お、こっちでは聖戦がはじまったでぷ。死んでいった魂の信仰の力もぽっくんのものでぷ。両軍ともぽっくんのおやつになるでぷー」

「最悪だ・・・コイツマジ最悪だ・・・」

「っつーか陸地にヒビ入ってんぞ! 修復しろよはやく!」

「あ、ほんとでぷ。ちょっとぽっくんの奇跡を見せてやるでぷ。それぞれの宗教の神のフリしてやるのがポイントでぷ。それによってますます生物たちはますます信心深くなり宗教闘争がはげしくなるでぷよ」

「はぁ?! てめぇーがずさんに管理するから地面割れんだろ?!」

「なにいってるでぷか。ほころびの魔獣を倒せない生物がくずなんでぷ」

「いやいやいやいや、そもそも生物に対応できるレベルじゃないし……」

「そのために時々勇者とかつくってやってるでぷ。勿論それぞれの神のふりしてお告げとかしつつ、それぞれの宗教ごとに」

「あったまきたっ! コイツぶん殴る!!」

「落ち着けって! もうだめだ、今日は帰るけど、お前マジで考えとけよ!!」




「はぁー・・・」

「何でとめるんだよアンバレンス!」

「なんでって、暴力はいかんでしょうよ・・・」

 缶コーヒーを飲みながら、アンバレンスはため息をついた。

 もっとも、一緒に行っていた神が殴りかかっていなかったら、アンバレンスがなぐっていたかもしれない。

 片方が興奮すると妙に冷静になるアレである。

「しっかし、どうにかならんかね」

「あんな世界でも規模はでかいからな。開世界すれば受け入れ許容量でかいんだけどな」

「それもあるけど。あの世界よ。かわいそうじゃね? 住民」

「まあ、殺し殺されはいいとしてもさ。あれはないわ」

「勝手に居もしない神崇めるならともかく、意図的に作るってなによ・・・」

「もうあれか。やっちゃうか」

「なにをよ。」

「魂送り込むの。チート化したやつ」

 その言葉に、アンバレンスは物凄くいやそうに顔をしかめる。

「って、お前。ないわー、それは。ひどすぎるわー」

 チート化した魂は、なにをするかわからない。

 世界を根底からぶち壊すイレギュラーは、管理者側からしたら迷惑以外何者でもない。

 勿論、意図的に自分から進んで招き入れたなら別だが。

「やっていい嫌がらせと悪い嫌がらせがあるじゃん?」

「いいや、やるべきだね。やるね、俺が」

「だから、冷静になれって・・・」

「アイツ、それぞれの宗教の巫女に性的な巫女服着せてんだぞ。ロリと巨乳ちゃんとか取り揃えて。乳袋的なのとか。あと、性的なとても口には出せないような一人遊戯を神に奉らせたり、女性同士のほにゃららを神聖なものだから奉納しろとか」

 それを聞いた瞬間、アンバレンスの体から光が迸った。

 実際にはそれは光ではなく、太陽のプラズマであった。

 太陽神アンバレンスの怒りが頂点を越えたのである。

「あんのくそでぶぁあああああ!! そんな羨ましいことしくさってんのかごらぁああああ!!! それ俺がやるわ!! その転生者に力あたえんの、俺がやるから!! マジぶっ殺すあのピザデブぁあああああ!!! 乳袋なめんなごらぁああああああああああああああああああ!!!」

「お、おう・・・」

 先ほどまで怒っていた神がドン引きするほどのキレッぷりを見せたアンバレンス。

 結局彼は、一切手加減せずに加護を与えた転生者を件の世界に送り込んだ。

 最高神にして太陽神であるアンバレンスの、加護である。

 それは他の世界で影響が小さくなってしまうとはいえ、凶悪を極めた。

 微笑みかければ男も女も惚れさせ、動物には好かれ、剣の一振りで世界最強の種族を切り裂いた。

 リアルラックは尋常ではなく、くじを引けば全て大吉、角を曲がれば美少女に当たり、卵を割れば全て黄身が二つになるような有様である。


 最終的に、あのデブ神はアンバレンスたちに泣きつくことになった。

 転生者によって荒らされた世界の修復に相当手間取ったのである。

 しかし、アンバレンスは一切手を貸さなかった。

 デブ神が土下座して地面に額をすりつけ、ロリや巨ッパイ巫女の信仰の力を横流しさせて下さいと懇願するまで無視し続けたのだ。

 こうして、ひとつの世界が開世界し、神々の業界にまた一つ平和が訪れたのである。

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