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百二十一話 「いったい、どこのばかだ。こんなことかんがえたのは。あかさやか」

 見直された土地の一角にある、エンシェントドラゴンの巣。

 地下数十階層に及ぶ巨大ダンジョンになっているその場所の、最下層。

 エンシェントドラゴンが羽を休めるための寝床となっているその場所で、当のエンシェントドラゴンは困惑した表情で佇んでいる。

 深い縦穴の底、ダンジョンの一番下にあたる底は、元々は天然洞窟のような横穴があるばかりであった。

 エンシェントドラゴンの巨体を収められるその大穴は、生物の口のようにぽっかりと口を開けていたものだ。

 しかし。

 今現在エンシェントドラゴンの目の前にあるのは、そういった自然の造形とは全くかけ離れたものであった。

 数段の階段の上に作られているのは、透明度の高いガラス製の扉。

 一見して、洞窟のようには見えない。

 どちらかというとバリバリの人工物で、高そうなホテルか何かの玄関に見える。

 扉をくぐり中に入っていけば、その印象はさらに強まることになるだろう。

 何しろ、実際に某国の有名ホテルを参考に作られた場所なのである。

 玄関ホールには毛足の長い絨毯が敷き詰められ、落ち着いた風合の調度品が並ぶ。

 中央階段の踊り場には、お約束のように巨大な絵画が飾られていた。

 描かれているのは、八本の樹木と、三つの社。

 見直された土地の中央を描いたものである。

 上位精霊達が描いたそれは、なかなかの力作だ。

 見るものにある種の神聖ささえ感じさせるのは、その題材と書いたものの力量ゆえだろう。

 ちなみに、最初この場所に飾られていたのは、別の絵であった。

 題材は「どっちがゲームの効果音っぽい声を出せるか対決をしている赤鞘とアンバレンス それを見て爆笑するカリエネスと樹木の精霊達」である。

 画面に置ける神様とそれに類するもの比率はそちらの方が多く、神々しいといえば神々しいのだが。

 エルトヴァエルの強い抵抗により、お蔵入りとなったのだ。

 実に良い仕事をしたといってよいだろう。

 さて。

 玄関ホールだけでなく、宿泊施設自体も豪華な作りとなっている。

 内部は大きく、三つに分かれていた。

 中心である玄関ホールから三つフロアへの廊下が伸びており、それぞれから枝葉のように各部屋へと別れていく。

 各フロア間には廊下はなく、玄関ホールを通る以外行き来する方法はない。

 これは、今回やってくる三つの勢力を意識した造りになっているからであった。

 各フロアに一団体にまとめて滞在してもらう形にすれば、余計な接触をさせずに済む。

 管理もしやすくなる、という寸法だ。

 もちろん、エルトヴァエルのアイディアである。

 ほかにもいろいろと利点はあるのだが、すべて説明するとそれだけで数時間の講義になるらしい。

 一応自分の巣のことだからとそれを聞かされたエンシェントドラゴンだったが、途中で意識が遠のいたのですべては覚えきることができなかった。

 エルトヴァエルの授業は丁寧で分かりやすいのだが、すさまじく長いのだ。

 ちなみに、一緒に聞いていた風彦は開始五分ほどで気絶している。

 土彦もその場にいて、最後まで聞いていたのだが「やっぱりエルトヴァエルさんは黒い」とものすごくいい笑顔で語っていた。

 あの土彦が黒いというのだから、よほどのことだったのだろうとエンシェントドラゴンは思っている。


 まあ、ともかく、だ。

 エンシェントドラゴンの巣をこんなことにしたのは、言うまでもなく土彦達である。

 もはや巣としての原型はない。

 こんなものは、ただの豪華なホテルだ。

 もちろん、きちんとエンシェントドラゴンの巣としての機能も果たしてはいる。

 客室用の三フロア以外に、エンシェントドラゴン専用のフロアがあるのだ。

 大きく、薄暗い廊下の先にあるそこは、なぜか妙に立派な王座が設えられている。

 客が来たときはそこに座り、「よく来たな勇者よ」と言うように、土彦からは言われていた。

 それを聞いた赤鞘とアンバレンスのテンションがものすごく上がっていたことは、記憶に新しい。

 しかし、である。

 エンシェントドラゴンの姿は一見して「ドラゴン」というようなモノであり、そのままではとても椅子に座ることができるような形状ではない。

 これでは椅子が無駄になるのでは、と思ったエンシェントドラゴンだったが、土彦はきちんと解決策を用意していた。

 エンシェントドラゴンに扱える、「人化」の魔法を開発していたのだ。

 元々、エンシェントドラゴンは神が作り出した種族であり、魔力の扱いについても長けていた。

 彼らが使う魔法は、生態として持ち合わせたものであり、人間が技術によって作り上げたものとは別種のものである。

 鳥が翼をもつように、魚がエラを持つように、エンシェントドラゴンは魔法を扱うのだ。

 一方、エルフや人、ゴブリンなどの人種は、道具を扱うように技術によって魔法を扱う。

 少々わかりにくいが、根本的に違うものなのだ、と理解してよい。

 の、だが。

 土彦はそんな常識を、ブレイクスルーしたのだ。

 エンシェントドラゴンも、実はその姿を変える魔法を扱うことが出来る。

 ただその変化には、年齢による制約があった。

 一定の年齢を重ねるごとに、変化させられる範囲が広がっていくのだ。

 現在のエンシェントドラゴンでは、変化させられるのは自分のサイズ程度。

 姿を変えるような魔法を発動させるには、まだまだ年齢が足りない、はずだったのだ。

 しかしである。

 先にもあったように、土彦はそれを、覆してしまった。

 エンシェントドラゴンの魔法を解析し、解明し、改良し。

 元来、発動しえないはずの効果を発揮させる技術を、生み出してしまったのである。

 並大抵のことではない。

 エルトヴァエルがあんぐりと口を開けて驚いていた、と言えば、その凄まじさが伝わるだろうか。


 そんなわけで。

 現在、エンシェントドラゴンは人間の姿で、自分の巣の前に立っていた。

 その外見は、柔和そうな男性で、年齢は20代後半か、30代前半と言った所だろうか。

 顔立ちは穏やかそうなものであり、優しさや落ち着きを感じさせる。

 一見して美青年、あるいは、美男子といって差し支えないだろう。

 服装は、白を基調としたスーツであった。

 これは風彦から贈られたものであり、エンシェントドラゴンの元々の体色と同じ色のものである。

 なかなかに着る人物を選びそうな服ではあるが、エンシェントドラゴンには実に似合っていた。

 元々の体色に近い、というのもあるかもしれない。

 もっともそれは、今のエンシェントドラゴンにはどうでもいいことだろう。

 悩まし気に表情をゆがめると、額を指で押さえ、ため息を漏らす。

 そんな姿もどこか様になるのは、やはり見目の良さ故である。

 憂鬱そうなその表情の原因は、これからやらなければならない仕事からくるものであった。

 正直なところ、あまりやりたい仕事ではない。

 やらざるを得ないことも理解しているし、やらなければならないという使命感もある。

 ただ、そういったこととは関係なく、なんとなく仕事をしたくない。

 そんな気分になっているのだ。

 おそらく、一般的な日本のサラリーマンが、月曜日の朝に起きた時に感じる種類の感情と似ているだろう。

 やらなければならないと、わかってはいる。

 わかっては居るのだが、ものすごくやりたくない。

 心とは、なんと厄介なものだろう。

 いっそのことただのトカゲであればこんな思いはせずに済んだのだろうか。

 そんな詮無いことを考えていたエンシェントドラゴンの目に、巣の扉から出てくる人影が映った。

 ロングスカートのメイド服を着た、美しい女性。

 それは、エンシェントドラゴンの巣を管理している、魔法式の管理システム「ダンジョンズ・ネットワーク」の端末の一つであった。

「ダンジョンズ・ネットワーク」は、土彦が「マッド・アイ・ネットワーク」をもとに作り上げたものだ。

 以前、赤鞘とエンシェントドラゴンが巣の中を見学した時に案内したゴーレムと、同型のものである。

 この人型ゴーレムは、男型と女型があるのだが、外見はそれぞれに一種類ずつしか存在していない。

 つまり、男型は男型ですべて同じ外見。

 女型もまた、すべてが同じ見た目なのだ。

 それぞれに個別な外見を付けることも可能らしいのだが、あえて見た目を統一しているらしい。

 理由は様々あるらしいのだが、エンシェントドラゴンにはあまり関心のないことである。

 メイド服ゴーレムはエンシェントドラゴンの前まで歩いてくると、折り目正しく礼の姿勢をとった。


「お館様。水彦様と料理人、お連れの方々が駅にご到着なさったと知らせが入りました」


 お館様というのは、エンシェントドラゴンのことだ。

 この館、ダンジョン「エンシェントドラゴンの巣」の主である、というところから来ている敬称だ。

 実は、「エンシェントドラゴン種」は、この敬称で呼ばれることが多い種族であった。

 彼らは自分の巣の制作、管理を、ゴブリンの一種に委託することが多いのだが、そのゴブリン達が種の主を「お館様」と呼称するのである。

 そういう意味では、実に自然な呼び方であるといっていい。


「わかった。すぐに行こう」


 エンシェントドラゴンはため息をつくと、自分の巣へ向かって歩き始めた。

 この後、ここへやってくる水彦達を出迎えることになっている。

 エンシェントドラゴンが水彦と会うのは、これが初めてであった。

 同じガーディアン仲間であり、同僚ということになるのだが、いったいどんな性格なのだろう。

 少なくとも、土彦より押しが強いということはない、と思いたい。

 心配しすぎるのもよくないと、エンシェントドラゴンは疲れたように頭を振るのであった。




 水彦達が客車から降りた駅から、エンシェントドラゴンの巣へは、直通のトンネルが用意されていた。

 歩くと距離があるとのことなので、全員で輸送用ゴーレムへと乗り込む。

 十数人が乗り込めるであろうそのゴーレムは、屋根のない作りになっている。

 トンネルの内部には壁画や彫刻などが施されており、それらを見やすくするための配慮なのだろう。


「これらの細工は、マッド・アイ。それから、上位精霊の方々の手によるものです。マッド・アイはこういった仕事はお手の物ですし、上位精霊の方々は赤鞘様に鍛えられていますから。あっという間でしたよ」


 にこにことした笑顔の土彦の言葉を、アニスはぽかんとした顔で聞いていた。

 おそらく、頭の処理能力が状況に追いつていないのだろう。

 なんとなくすごいということはわかっているのだろうが、具体的にどうすごいのかは理解できていない様子だ。

 隣に座っているキャリンは、何やら壮絶な顔色で、悲痛な表情を浮かべている。

 マッド・アイというのが何かはわからないが、上位精霊であれば、キャリンにも聞き覚えがあった。

 伝説に語られるようなものであり、普通に生きていれば、まずお目にかかることもないような存在だ。

 契約し、行動を共にしているという冒険者の名前を一人知っているが、スケイスラーの“複数の”や、ホウーリカの“鈴の音の”に並ぶようなビッグネームである。

 自分では足元にも及ばないだろう、というか、出来るだけ関わりたくない、とキャリンは思っていた。

 そんな上位精霊が作ったというものが、目の前にある。

 しかもその口ぶりから、その数は一柱や二柱ではなさそうだ、と、推測できた。


 なんて恐ろしいところだ。

 もう家に帰りたい。

 家に帰って、MC-21の整備をして寝るんだ。


 そんなわかりやすい現実逃避が、キャリンの頭の中を飛び回っていた。

 ちなみに、MC-21というのは、キャリンが普段から使っている魔法仕掛けのクロスボウである。

 今も荷物の中に入っている、信頼出来る相棒だ。

 キャリンがまだギリギリ精神を保っていられるのは、それを抱えているからであった。

 こういうと心を病んでるっぽく聞こえるが、実際病む一歩手前ぐらいまで追い込まれているので、特に問題はない。

 その隣に座っている門土はと言えば、至極楽しそうな様子でトンネルの中を見回していた。

 物見遊山にでも来ているような、いつも通りの様子だ。

 一番リラックスしているといってもいいかもしれない。

 門土は彫刻や絵画に感心した様子でうなずくと、正面の方へと顔を向けた。

 そこには、いつも通りの仏頂面ながら、わずかに困惑した様子の水彦が座っている。

 隣に陣取っているのは、にこにことすこぶる機嫌よさげな土彦だ。


「何もない場所だと言っておりもうしたが、どうやら様変わりしたようでござるな!」


「だな。はりきりすぎだろう」


 いいながら、水彦は隣の隣の土彦へと視線を向ける。

 土彦は、水彦と門土の顔を見比べ、ばつが悪そうに苦笑した。


「あっはっはっは! 兄者がお帰りになると聞いて、つい張り切ってしまいました! ですがまぁ、あって困るものでもありませんし! 片手間で作ったものですから!」


「かたてまでつくるものじゃないぞ」


 人間が作ろうと思えば、いったいどれほどの歳月がかかるだろう。

 十年やそこらはかかるのではないだろうか。

 だが、土彦は土を基に創られたガーディアンだ。

 土木工事なら、お手の物である。

 上位精霊達にとってみても、この程度なら大した仕事ではなかった。

 赤鞘にスパルタ式で教え込まされている、力の流れを整える作業に比べれば、息抜きにちょうどいい程度の作業なのだ。


「ご安心を! エンシェントドラゴン殿のお住まいは、これより良い作りにしてありますから!」


 楽し気な土彦の言葉に、キャリンの体がびくりと跳ね上がる。

 それを見た水彦は、何事かと眉を寄せた。


「きゃりん、どうかしたのか」


「へっ!? い、いえっ! なんでもございませんっ!」


 何でもないことはない。

 今でも心臓に悪いのに、これ以上とは一体どういうことか。

 これなら、魔獣が歩き回る森の中の方が、ずっと心が休まる。

 そう叫びたい気持ちを、ぐっとこらえているのだ。

 こらえてはいるのだが、キャリンの顔色は実に正直だった。

 青くなったり白くなったりを、せわしなく繰り返している。


「だいじょうぶか、あいつ」


「ダメそうではござるが。ここまで来たら、腹をくくるしかないでござるからなぁ。それがなかなか出来ぬのがキャリン殿なわけでござるが」


「だな」


 水彦はおもむろに立ち上がると、アニスとキャリンの肩をポンッと叩いた。

 二人はそれぞれに、はっとした表情を浮かべて我に返る。

 そして、水彦の方へと顔を向けた。


「あんしんしろ。せいぜい、かみやら、てんしやら、がーでぃあんやら、じょういせいれいがいるくらいだ。きをつかうあいてはいない」


「全然大丈夫じゃないやつじゃないですかぁあ!」


 キャリンの悲痛な叫びに賛同するように、アニスはこくこくと高速でうなずいている。

 確かに、大丈夫ではない。

 というか、多分この世界の常識で考えて、いちばん大丈夫ではない相手のはずだ。

 だが、水彦にしてみれば、神や天使、ガーディアン、精霊などといった相手は、本当に気を遣うような相手ではないのである。

 何しろ、この世界の最高神であるアンバレンスでさえ、水彦にとってみれば創られた時からの付き合いなのだ。

 太陽神というより、近所に住んでる酒飲みのにぃちゃんといった感じである。


「あああ、あの! やっぱり、私、その、だいじょうぶなんでしょうかっ!?」


「だいじょうぶだろう」


 何やらテンパった様子で慌てだしたアニスを、水彦はドウドウと宥める。

 その横で、キャリンは頭を抱えてガタガタと震え始めた。


「ここまで来たらもう戻れないけど、何か粗相でもしたら……いいい、いったいどうすればっ……!」


「おちつけ。ひっひっふー、だ。ひっひっふー」


「ひっひっふー、って、それはお産の時のやつですよ……!」


 背中を摩りながらラマーズ法を勧めてくる水彦を、キャリンは今にも泣きそうな顔で睨む。

 それに対して、水彦は大きくうなずいて見せる。


「それだけ、おちつきこうかが、たかいってことだ」


「そうなんですか? だったら、試してみようかな……」


「いやいやいや、多分違うから」


 切迫した顔でつぶやくアニスを、キャリンが慌てた様子で止めに入る。

 いつも「木漏れ日亭」で見られるような、賑やかなやり取りだ。

 そんなことをしてる間に、いつの間にか緊張がほぐれてきたのだろう。

 アニスとキャリンの顔色は、いつもと同じようなものに戻っている。

 はたからその様子を見ていた門土は、面白そうに笑い声をあげた。


「いやいや、やはり面白い御仁でござるなぁ!」


「あの明るさは、兄者の美徳の一つですとも!」


 門土の言葉に、土彦は嬉しそうにうなずいた。

 土彦は嬉しそうに笑いながら、ぼそりとつぶやく。


「羨ましい。実験台にしてやりましょうか」


「ん? どうかしたでござるかな?」


「はっはっは! いえ、なにも! ほら、そろそろ到着ですよ!」


 不思議そうな門土の疑問を、土彦は朗らかな笑顔でごまかし、進行方向へと手を向けた。

 明るい光が差し込み、その先がトンネルの出口であるとわかる。

 それを見て、アニスとキャリンは緊張をにじませ。

 門土は、楽し気に表情を輝かせる。

 いつもとあまり変わらぬ表情ながら、水彦もどこかわくわくした様子に見えた。

 それぞれの反応を眺めながら、土彦はにやりと唇の端を吊り上げる。

 自分の作ったもので誰かが驚くのを見るのは、土彦の楽しみの一つだ。

 そういう意味では、お楽しみはこれから、と言っていい。

 トンネルの中を進むゴーレムは、その出口へと向かうのであった。




 エンシェントドラゴンの巣は、巨大な縦穴状になっている。

 上の部分が広く、下に行くにつれて僅かずつ狭くなっていくその形は、コップなどに似ていた。

 ただ、一番底の部分から見たときに、形状をうかがい知るのは難しいだろう。

 あまりにも、穴が深すぎるのだ。

 数百メートルを超えるそれは、見る者を圧倒し、遠近感を狂わせる。

 それに加え、上空から入ってくる光が制限されていることもあり、周囲を確認しづらくもあった。

 ところどころ、壁面に見える光。

 ダンジョンである内部から漏れる光が、感覚の狂いに拍車をかける。

 感動や恐怖、不安と安らぎ。

 見るモノに得体の知れない感情を抱かせるような、俄に現実とは思えないような光景だ。

 実際、アニスとキャリンは茫然とした顔で上を見つめ、あんぐりと口を開けている。


「あほづらだな」


 そう言い放ったのは、もちろん水彦だ。


「はっはっは! いやいや、この光景を見れば、ああもなろうというものでござる!」


「それもそうかもしれないが」


 笑いながら言う門土の言葉に、水彦は自分も上へと目を向けた。

 そして、すぐに眉間にしわを寄せる。


「たしかに、これはあほづらにもなるな」


「しかりしかり! いやはや、恐ろしいものでござる!」


「そういうわりに、おまえはへいきそうだな」


「某は兎人でござるからなぁ!」


 兎人というのは、戦闘種族とも呼ばれる生物である。

 高い機動力に筋力、魔力はもちろん、感覚器官にも優れていた。

 門土は周囲の状況を人間よりも遥かに正確にうかがい知ることが出来るため、キャリン達と同じような状況にはなっていないのだ。

 ただそれは、より現状の異常さを理解出来ている、という意味でもある。

 異常な魔力が渦巻き、奇妙な化け物が這いずり回るダンジョンの内部。

 今いる場所から離れた場所にあるその様子すら、門土にはある程度知覚で来ているのだ。

 通常ならば、足がすくむことだろう。

 だが。

 ぶっちゃけ門土にとっては勝てるレベルのものであったので、特に動揺しなかったのである。

 水彦も認めるサムライであるところの門土は、並みや普通の腕ではないのだ。


「さぁ、皆さん! こちらですよ!」


 元気のいい土彦の声に、アニスとキャリンはびくっと体を跳ね上げた。

 水彦に先行して歩いていた土彦は、大きく手招きをしている。

 アニスとキャリンは、緊張した様子でそれに付き従う。

 水彦はと言えば、浮かない顔で土彦が向かおうとしている先を見ていた。

 そこは、宿泊施設の入り口。

 高級ホテルの入り口のような作りの場所だ。


「だんじょんにあるにしては、ごうかすぎるいりぐちだな」


「はっはっは! 中に入ってみれば、予想外ということもあるものでござるぞ!」


 気楽そうなことを言う門土に後押しされ、水彦も渋々といった様子で足を進める。

 入り口をくぐり、中へと入る。

 広がった光景は、確かに門土の言う通り、予想外のものであった。

 アニスやキャリン、水彦、門土が予想していたより、遥かに煌びやかで豪華だったのである。

 恐ろしく精緻な内装。

 巨大なレットカーペット。

 そして、その左右にずらりと並んでいるのは、人間を模した精巧なゴーレムの男女だ。


「「「ようこそ、エンシェントドラゴンの巣へ」」」


 均整の取れた顔立ちのゴーレム達が、にこやかな様子で声をそろえる。

 アニスは完全にあっけにとられ、ぽかんとしていた。

 キャリンはと言えば、なにやら半笑いを浮かべて固まっている。

 どちらも、許容量をオーバーしてしまったらしい。

 珍しいことに、水彦もこれと似たリアクションになっていた。

 これでもかと眉間に眉を寄せ、苦い顔になっている。

 一番余裕があるのは、感心顔でゴーレム達を眺めている門土だろう。

 土彦はにこにことした笑顔で、大きく手を広げた。


「あっはっはっは! いかがですか兄者! マッド・アイ・ネットワークを応用したゴーレム達です! 彼らはエンシェントドラゴンの巣全体を管理しているのですが、こういった仕事もできるのですよ! 雑務などもお手の物ですよ? 何しろ手先が器用で、覚えが早い!」


 怒涛の勢いで性能の説明などを始める土彦に、アニスとキャリンは圧倒されている。

 水彦は眉間を押さえながら、宥めるように土彦の肩を叩いた。


「それは、よくわからんからいい。とりあえず、しごとのはなしだ。しごとのはなし」


 水彦にいわれ、一瞬キョトンとする土彦。

 だが、すぐにポンと手を打って、気を取り直したように姿勢を正した。


「そう、そうでした! ではまず、こちらをご覧ください!」


 そういうと、土彦はパチリと指を鳴らす。

 同時に、何かの振動音が響き始めた。

 変化が始まったのは、土彦達がいる場所から、少し離れたスペースだ。

 突然床が真っ二つに割れ、真っ暗な空間が現れる。

 この時点で、アニスとキャリンの顔色は大変なことになっているのだが。

 状況はどんどんと進んでいく。

 ゴウンゴウンという音ともにせり上がってきたのは、シンクやコンロ。

 周囲のテーブルや、上部にあるラックに並んでいるのは、包丁などの料理道具の数々だ。


「ご覧ください! ガルティック傭兵団が使う兵器、それを作るために新たに作り上げた魔法体系を潤沢につぎ込んだキッチンです!」


 最高にいい笑顔の土彦に、水彦は盛大に眉間にしわを寄せた。


「いろいろいいたいことはあるが。なんでこんなところに、だいどころがあるんだ」


「もちろん、お料理を作って頂くためですとも!」


「いや、そうじゃなくてな」


「あっはっはっは! おっしゃりたいことはわかりますとも! なぜこんな目立つところで料理をするのか? お聞きになりたいのは、なぜここで料理をするのかということ! もちろん意味がありますとも! 今回アニスさんに使っていただく素材は、この土地でとれたものばかり! せっかくならば、調理過程も見て頂こうという趣向なのです!」


 調理過程を見せる、という演出は、確かにある。

 ましてこの「見直された土地」で採れた素材を使うというのであれば、それをする価値は十二分にあるといいって言い。

 何しろ、この土地は「神域」なのだ。

 そこで採れた食材はどんなものか。

 どんな風に調理されるのか。

 今回やってくる三勢力にとっては、大きな関心事と考えて間違いない。

 ならば、それらを見えやすいようにしてしまえばいい、という発想なのだろう。


「実に素晴らしいアイディアでしょう?! 私も聞いたときは、思わず手を打って納得したものですとも!」


「いったい、どこのばかだ。こんなことかんがえたのは。あかさやか」


「その通りです! よくお分かりに!」


 満面の笑顔でいう土彦に、水彦はため息をついた。

 そして、再び水彦が悪態をつこうとした、その時だ。


「あうぅ」


 アニスが妙な鳴き声を上げ、ふらりとキャリンに倒れ掛かったのだ。

 とっさに体を支えることが出来たのは、キャリンの反射神経のたまものだろう。


「ちょっ! アニス、大丈夫!?」


 慌てて声をかけるキャリンの声に、アニスはすぐに目を開いた。

 どうやら、意識を失ったりはしていないらしい。

 顔色は少し悪いものの、しっかりとキャリンの顔を見て、笑顔を作る。


「大丈夫だよ。少しめまいがしただけだから」


「うん、気持ちはわかるよ。アニスが行ってなかったらたぶん僕が行ってたし」


 ほっとした様子で、キャリンは苦笑する。

 どうやら、大事はなさそうだと判断したのだ。

 実際、ただの眩暈であり、大したことはなかった。

 誰だってこんな状況の当事者に突然させられたら、眩暈の一つも起こそうというものである。

 だが、そんなことを一切考えないものが、約一柱ここに居た。

 普段対峙しているのが超お気楽な神様だったり、超お気楽な生物だったりするだけに、いわゆる一般的な人間の情報が乏しい、土彦である。


「直ぐに水か光の上位精霊さんを呼びなさい! 彼らなら治療魔法が使えるでしょう! それから地下ドックにいるドクターも! それから、エルトヴァエル様にも連絡を!」


「大丈夫です!? 大丈夫ですから! やめてください死んでしまいますっ!!」


 真剣な表情でゴーレムに指示を飛ばす土彦に、アニスは思わず悲鳴のような声を上げた。

 もちろん、キャリンもアニスに加勢する。

 今の状態で上位精霊やらなんやらに出会おうものなら、本気で心臓とかがうっかり停止しかねないと思ったからだ。

 そんな様子を見て、門土は大きな笑い声をあげる。


「はっはっは!! いやいや、賑やかでござるなぁ!!」


「えるとヴぁえるのきもちが、わかったきがする」


 水彦は眉間を摩りながら、深いため息をついた。

 どうやら、思わずエルトヴァエルの名前を正確に言ってしまうほど、ダメージを受けている様子だ。


 ひとまず騒ぎが落ち着き、キッチンの状況や、食材の確認をし終えたのは、このしばらく後であった。




 中型の陸上船のタラップを踏み地上に降り立ったのは、美しい見目をした少年である。

 まるで作り物めいて均整の取れたその体は、まさに作り物そのものであった。

 人形の体を操る、死してなお地上にとどまる死霊使い“スケイスラーの亡霊”バインケルト・スバインクー。

 スケイスラーの宰相である彼を迎えるのは、子飼いの工作員達、それと、国の実務を行う役人達だ。

 最大戦力であり、個人戦力として世界でも有数の実力を持つ女“複数の”プライアン・ブルーを筆頭に、皆、名うてのものばかりである。

 バインケルトは居並ぶ部下達を一瞥すると、口の端を盛大に釣り上げた。

 まるで肉食動物のような、獰猛な笑顔だ。


「命を懸けるってぇ、口先でいうヤツはよぉっく見るがよぉ。まさに命を懸けるにゃぁいい仕事じゃぁねぇか。安心しろテメェら。今回うっかり死んじまっても、俺がこき使ってやるからよぉ」


 死した人間の魂を使役し、支配し、己の為に使うことが出来る。

 死霊使いであるバインケルトの口から出たその言葉は、まさしく言葉通りの意味であった。

 それがわかっていながら、バインケルトの前に並ぶ者達はおかしそうに笑う。

 若干一名「まだ結婚してねぇのに誰が死ぬかチクショウ」とつぶやいているが、まぁそれは当人の資質なので仕方ない。


「俺が、国を支えてぇってんで働き始めて、二千年ぐれぇかぁ? それなりに長げぇ公僕生活んなかでも、まずお目にかかったことのねぇ大商いの好機だ」


 バインケルトは一度大きく息を吸い込むと、険しい表情とともに目を見開いた。


「ここで下手こきゃ、ご先祖様に合わせる顔がねぇと思いやがれ!!」


「「「応っ!!!」」」


「あの、私残ってもいいんじゃね? って思うんですけど。ほら、やっぱり現地スタッフって大切じゃん? っていうか、ホテルの売店のお兄さんがね? 結構いい感じで。なんか、すごく優しい笑顔っていうか」


「彼、既婚者です」


「チクショウがぁあああああああああああああああああああ!!! 地獄でもどこでも行ってやんよテメェえええ!!!」


 一部悲痛な叫びとともに、スケイスラーはアインファーブルでの活動を開始した。




 ギルド直営のホテル。

 そのスイートルームのソファーに腰かけ、トリエア・ホウーリカは楽し気に歌を歌っていた。

 呟くように小さな声で紡がれるそれは、澄み切った美しい声と相まり、上質な楽器の演奏にも似た完成度を見せる。

 そんなトリエアの周りでは、複数の人間が忙し気に動き回っていた。

 皆、トリエアが厳選し、本国から連れてきた官僚達だ。

 現在彼らが行っているのは、もちろん見直された土地へ行くための準備である。

 働いている者達に共通しているのは、皆実に真剣な表情だということだろうか。

 国の存続、威信にかかわることなのだ。

 当然と言えば当然だろう。

 だが、それ以上に、必死で、真剣なものが多いのには、もう一つ別の理由がある場合がほとんどだった。

 今回の仕事は、文字通り「必死」で行わなければならないものである。

 洒落や冗談ではなく、地図上から国そのものが消えかねない、危機的状況なのだ。

 にもかかわらず、トリエアから見て多くの官僚達は、「必死さ」が足りていないように見えていた。

 実感が湧いていないのか、話が大きすぎて理解できないのか。

 こんなことでは、神様のご機嫌を損なうことはなかったとしても。

 スケイスラーやギルドに、いいように出し抜かれてしまうかもしれない。

 そんな事態になれば、ホウーリカにとっては大損害だ。

 もっと必死になってもらわなくては。

 そう考えたトリエアは、よい方法を思いつた。

 国や、民族なんて大きい話にするから、わかりにくいのだ。

 人はもっと小さい単位で言ってあげた方が、実感ができる場合がほとんどではないか。

 そこでトリエアは、自分が優秀だと思った官僚の、両親、妻、恋人、子供、あるいは、大切な誰か。

 または、物、場所。

 おおよそ考えられるものを、トリエアの一存で、いつでもすぐに「無くせる」ようにしたのだ。

 大切な何かを失いたくなかったら、頑張って、必死で、働いてください。

 失敗すれば、真剣さが足りなければ、仕事ぶりが不足なら、トリエアが満足しなければ。

 すぐさま、大切なものが「無くなって」しまう。

 そんな状況を、用意したのである。

 簡単な言葉でいうとするならば、「人質」の類だ。

 単純で、ありふれた方法ではあるが、効果は絶大。

 熱心に仕事をこなす官僚達を見渡すと、トリエアは綻ぶ様に微笑んだ。


「うふふっ! みんな、一生懸命にお仕事をがんばってくださっていますねっ! とってもステキ! きっと、すばらしい結果を出してくださいますわっ!」


 その笑顔を見て、トリエアの前に座っていた女性。

 ホウーリカの個人最大戦力にして、トリエアの世話係でもある“鈴の音の”リリ・エルストラは、あきれた様子で肩をすくめた。


「姫様。絶対ろくな死に方しませんよ」


「まぁっ! 物語やお芝居のように、劇的な死に方をするのかしらっ! お父様やお兄様に、ご迷惑がかからなければいいのですけれど」


 トリエアは小さく舌を出して、いたずらっぽく笑う。

 その表情は、実に無邪気に見える。

 ただ。

 その目はあまりに澄んでいるのに、深く、深く、あまりに深く、底が見えない。

 まるで、深海のような色を湛えていた。




 自室であるギルド長室で、書類に向かう。

 いつも通りの仕事を、いつも通りこなす。

 世界最大のエネルギー生産組織「ギルド」のトップ“慧眼”ボーガー・スローバードは、いつもと変わらぬ仕事をこなしていた。

「見直された土地」への出発の日は、もう間近に迫っている。

 それでも彼は、取り立てて特別なことをする様子を見せなかった。

 何しろボーガー自身は、自分がしなければならない仕事のほとんどを、既に終わらせていたのだから。

 適切な人材を選び、適切な指示を与え、適切な権限を与える。

 あとは黙って見守り、頼まれたら手を貸し、必要な時は自分が責任を取る。

 おおよそ普段からしている仕事と、全く変わらないものだ。

 例えば今回でいえば、この周辺の情報に明るいものや、他国との交渉に長けるもの。

 対国家間、あるいは、神域などについての専門家。

 そういった人物の中から、適切な人材を選び出し、指示と権限を与える。

 この必要な仕事は、ボーガーはすでに終えていた。

 あと何かやることがあるとすれば、問題が起きたときに責任を取ることぐらいだろうか。

 無責任、という見方もあるかもしれない。

 やれることをした方がいいのでは、というものもいるだろう。

 だが、ギルドのトップにまでたどり着いた男が必要と考える、これが最大限の「仕事」であった。

 ボーガー自身は、何かに特別詳しいわけではない。

 非凡な才能が有り、どんなことにでも対応し、すばらしい結果を残す。

 といったような、輝かしい仕事ぶりを見せる種類の人物では、全くなかった。

 どちらかと言えば平凡、あるいは凡庸という言葉がしっくりとくる類の人物である、と、多くのものは思っているだろう。

 しかし、である。

 それだけの人物が、「ギルド長」などという地位に立てるはずがない。

 彼の才能、最大の非凡さは、その「人物を見極める能力」にこそあった。

 その人物の能力、人柄、才能、実力を見極め、過不足無く仕事を与える。

 しなければならない仕事に対して、それを確実にこなすことが出来る人物に、正確に仕事を任せることが出来るのだ。

 問題なく仕事をこなし、問題なく仕事を終えることが出来る人物。

 それを確実に見抜き、選び、任命する。

 たったそれだけの事ではある、が。

 その「たったそれだけの事」がいかに難しいことか。

 間違いなく「たったそれだけの事」をこなせる人間が、どれほどいるのか。

 ボーガー・スローバードという人物が“慧眼”と呼ばれ、ギルド長の席に座っていることを考えれば、理解できることだろう。

 そんなボーガーが、既に仕事を終えたということは。

 既に適した人間が、適した仕事を、確実にこなしている、ということなのである。

 である以上、ボーガーはすでにほとんどの仕事を終えており、これ以上することなど、ほとんどないのだ。


「しかし、まいったな」


 ボーガーはそうつぶやくと、深刻そうな表情でペンを置いた。

 自分の腹回りに手を当てると、確認するように撫でる。


「やはり、礼服は新調しないとマズイかな。以前のものは腹回りが……。ダイエットをするにしても、運動をする時間もなぁ」


 難しい顔で腹を摩りながら、手持ちの服と、贔屓の紳士服店を思い浮かべていく。

 現在のボーガーの最大の悩みは、「神様にお会いするときの服装」であった。

 一応スタイリストもいるにはいるが、自分の体形まで変えてくれるわけではない。

 こればかりは、さすがのボーガーでも自分で何とかするしかないのだ。


「ランニングでも始めて見るかな? いや、さすがにもう間に合わないか」


 手持ちの服に体形を合わせるか、あるいは潔く作ってしまおうか。

 最近の問題の中では、これが一番の悩みの種なのであった。




 二つの国と、巨大な組織。

 それぞれがそれぞれの思惑をもって、大きな舞台へと立とうとしている。

 無事終えることが出来れば、何事もない明日を。

 一つでもミスをすれば、地図が変わるような事態にもなりかねない。

 そんな状況を作り出した当の本神は、そんな状況を全く理解していなかった。


「私としては、いわゆる、もえもえなフリフリかわいい系メイド服もありだと思いますよ? なんかもう、そういう文化みたいな」


「ちっがうんだよなぁー!! ちがうんだよなぁー、赤鞘さんさぁー!!」


 某太陽神とかけらも緊張感のない会話を繰り広げながら、赤鞘はまったりと土地の力の流れを整える仕事に、精を出すのであった。

つか、百二十話だったんですね、前回

忘れてたわ

書いたのにもかかわらず忘れてたわ

すげぇな私

っていうか、みんなキリがいいってことでお祝いしてもよかったのよ?

盛大に「おめでとうございますっ!」とか

もう、シャイなんだからっ☆ミ


次回はいよいよお料理の時間です

それと、ついに連中が見直された土地に来ます

いったいどんなことになるのでしょう

なるべく早く書きたいなっておもいます

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