表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/34

32話 2匹の特訓

 童貞を卒業したことで、旦那様は少し変わった。

 なんというか、照れがなくなった。


 女性になれたのかもしれない。

 まあ、私とカップお姉様は魔物だけど。


 それにカップお姉様も積極的に尽くしている。

 まるで夫を支える妻のように。


 旦那様が童貞を卒業した相手が、カップお姉様と言っても過言ではないだろう。

 あの浮かれた姿を見ればわかる。


 完全に勝ち誇っている。


 なんか、都合よく体を使われた尻デカ女が可哀そうになってきた。

 次会ったら慰めてあげよう。


「けど考えようによってはチャンスなのかも。カップお姉様を装備すれば、抱いてもらえる!?」

「わふっ!」


「弱すぎるわ。ちゃんと魔力を集中させなさい」

 シロが放った風魔法を背中の翼で払いのける。


「バウッ!」

 今回の魔法は威力が強いので翼で受けずに避ける。


「その調子よ。次は私に当てられるようにしなさい」

「バウゥゥウウ!!」


 どうすれば私に魔法が当てられるか本能で理解したのか、放った魔法に集中することで操るという選択を取った。

 私が魔法を避けても魔法は追いかけてきた。


「いいわね。でも、それだと自分を守れないわよ?」

 放った魔法を操ることに集中しているシロにダメージの少ない水魔法を放つ。


「ばふっ」

 当然のように水を浴びたシロは集中力が切れてしまい、操っていた魔法は消える。


「これも一つの弱点よね。共倒れも出来ない。無駄時にね」

「わふぅ」


「魔法を操るのはいいけど、そればかり集中してはダメ。動きなさい。それが出来ないなら、違う方法を考えて」

「わ、わふ~」


「そんな甘えた声を出してもダメ。自分で考えるの。あなたの力はあなたにしかわからない。自分の力の底を知りなさい。底から上げるのよ」

「わ、わふ!」


「やる気がある子は、嫌いじゃないわよ。ほら、次はどうするの? それと、当てることに気を取られて威力がお粗末だったら、わかるわね?」

「…バウ!」


「あら、さっきより弱くないかしら?」

「バウゥッ!!」


「その調子よ。さ、当ててみなさい」

 魔力が無くなっても、回復してあげるからね。


 ダメもとでカップお姉様に頼んでみようかしら。




 シロの訓練はホックに任せた。

 魔法を操るのも教えるのもホックの方が適任である。


 そしてクロの訓練は俺が行なう。

 ホックが一晩で作ってくれた石の剣を互いに構える。


「好きに攻撃してこい。身体強化してない俺を倒せないと、ゴブリン以下だぞ」

「うにゃー!」


 脚力があるので速いことは知っていた。

 後は、どの程度の戦闘経験があるのか。


「一直線、か」

 目の前で振り下ろされる石の剣をこちらの剣で受ける。


「うにゃー」

「やるなーみたいに鳴いてないで、攻撃を続けなさい」


 受け止めた剣を弾くと、クロを後方に飛んでいく。

 空中でくるくると回って見事に着地した。


 力が弱くて、体も軽い。

 一撃を狙うよりもレイピアみたいな武器の方が合っていそうだ。


「にゃにゃ!」

 また一直線に斬り込んでくるので今度は避ける。


 クロが振り下ろした剣が空振りになると、攻撃を受け止めると思っていた様子のクロは

「ににゃ!?」と驚いている。


「もしかして速すぎて受け止めるしかないと思った? これでもソロで冒険者の活動してきたから、それなりに接近戦は出来るんだ。得意ってわけじゃないけど」

 こつんと軽くクロの頭に剣を当てる。


「うぅ」

 クロは剣を落として両手で頭を押さえる。


「痛みにも慣れてないっと。どうやって生きてたんだ? あの汚れ具合なら、3ヵ月は2匹で狩りをしていたんだろ?」

「にゃ、にゃー」


「はぁ、どうせ横取りとか盗みだろ。あぁ、別に怒ってるわけじゃないぞ。それをしないと生きてこれなかったんだ。仕方ないだろ。それに、このままじゃダメだと思って狩りもしていたんだろ? 立派だと思うぞ。まあ、横取りや盗みは褒められたことじゃないってだけだ。今後はするなよ? あ、俺の命令でする盗みはいいぞ。責任は俺が取るからな」


「にゃ!」

「よしよし。俺の言うことを聞く子は、いい子だぞ。報酬にうまい肉を食わしてやるからな」


「にゃにゃ!!」

「よだれは引っ込めとけー。さっきの続きだ。絶対に剣は落とすな。落としていいのは、他に手がある時だけだ。例えば、油断を誘う時とかな」


 たがいに剣を構えたのを見計らって構えていた剣を手放すと、クロの視線は手から離れた地面に落ちていく剣に向いていた。


「てい」

 クロに素早く近づいて額にチョップする。


「みにゃ!?」

「剣だけじゃなくて、全部に集中しろ。敵は俺だけか? もしかしたらカップから攻撃されるかもしれないぞ?」


「にゃ?」

「ま、いきなりは難しいか。今は、俺の動き全てに集中してみろ。クロの攻撃を受けるのか、避けるのか、弾き飛ばすのか。どうすれば俺に攻撃が当てられるのか、考えて行動するんだ。天才は感覚で戦うらしいけど、凡人は考えて戦うんだ。まあ、勘は大切だけどな。いろんな戦いを経験すると感覚でわかるようになるらしいぞ」


「うにゃ!」

「残念。俺に不意打ちを当てようなんて、5年早い」


「うぎゃー!」

 お返しに強めのデコピンは、痛かったらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ