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31話 やっぱり餌付け

 2匹と契約が成立した。

 契約条件は、腹いっぱい食わせる。


 2匹に契約するか選択を迫った際、俺の後ろでカップが独断で肉の塊を吐き出した。


 2匹は俺よりも肉の方に視線を向けて、何度も頷く。

 契約が成立すると肉に飛びつこうとするが、カップは肉を飲み込む。


 2匹揃って地面に滑り込む。

 草が生えてて良かったな。


「「にゃ!/わふ!」」

 それは自分たちのだと言うようにカップに抗議しているようだ。


「カップお姉様は、今は腹が膨れているでしょ。腹が減ったら渡すと仰られています。わかったらご主人様の役に立てるよう、力をつけなさい。強くなればなるほど、美味しい肉を食べさせてあげる。一口噛めば甘い脂が出るような、柔らかい部分を。とのことです。わかりましたね?」


「「にゃ!/わふ!」」

 2匹はよだれを垂らしながら返事をした。


 さっき食べた肉よりも美味しい肉を食べられると聞いて、やる気があるのか俺の方に駆け寄ってくる。


「頑張れよ」

 2匹を撫でようとして、止める。


「まずは、風呂だな!」

「「にゃ?/わふ?」」

 2匹揃って首を傾けた。


 2匹をキレイにするため、川の近くに作った拠点に戻る。

 まずは水洗い。


 ウルフは嫌がることなく水に近づく。

 しかしニャトは、


「フシャー!」

 水に威嚇している。


「まずはシロからだな」

 2匹の名前は色にした。

 やっぱり名付けが一番苦手だ。


 単純なものしか出てこない。


「わふー」

 洗われるのが気持ちいいのかシロは目を細めている。


「ホック、風呂の準備はできたか?」

「はい! 完ぺきです!」


「ありがとう。シロを入れてきてくれるか?」

「かしこまりました! いくわよ」

「わ、わふ」


 ホックは2匹に舐められない強気な態度を取るようだ。

 ホックが本気を見せればそんな必要もないのかもしれないが、見た目に騙されないことを教えると言う。


 まあ、本能的に上位の存在である事は気づいている様子で、シロは怯えたようにホックの言うことを聞いている。


「クロ、キレイにするぞ」

「ににゃ!?」


 逃げられないように拘束魔法で手足を光の縄で縛る。

 最初は沖に上げられた魚のように縛られた手足を動かしていたが、諦めた。


 クロをお姫様抱っこして水に近づける。

 怯えたように目を閉じていたが、入ってしまえば


「うにゃ!」

 暴れた。


 仕方ないのでカップにお願いしてクロの汚れを取り除いてもらう。

 カップは嫌そうにしていたが、魔力を与えれば隅々まで汚れを取ってくれた。


「にゃー」

 クロは全身をカップに包まれて目を細める。

 毛繕いに近いのかもしれない。


 水はダメでもお湯ならどうかと、キレイになったクロも風呂場まで連れて行く。


「どうだ?」

「シロは大人しいものです。クロの水洗いはダメでしたか」


「カップにお願いしたから風呂はいらないと思うんだけど、試しにどうかと思ってな」

「そうですか。クロ、一度入りなさい。暴れたら、承知しませんよ?」


「にゃ…」

 ホックに凄まれると縮こまる。


 クロは風呂の前で止まった。

 意を決して足を入れると温かい水が足を包む。


「にゃ~」

 冷たい水は嫌いで温かい水は問題ないようだ。


 クロはお湯に肩まで浸かって目を細める。

 シロと違ってカップが汚れを取ってくれたので、お湯が汚れる様子はない。


「流石だな」

 カップの完ぺきな仕事を褒めて、追加で魔力を与える。


「私も褒めてください! シロは私が洗いました!」

「そうだな。ありがとう」


 ホックも撫でることに加えて魔力を与える。

 風呂はほとんどホックが作ってくれたものなので、カップより長めに撫でる。


 カップは追加で魔力をもらったことで、シロの汚れも完ぺきに取ろうと、風呂から上がってきたシロを包み込む。


「わ、わふ~」

 シロもカップの毛繕いに気持ちよさそうな声をあげる。


 2匹がキレイになった頃には、夕方になっていた。

 シロの汚れで濁ったお湯は捨てて、クロの入った風呂に浸かる。


「ふぅー。明日から2匹を鍛えるのか。時空間魔法が使えたら、装備を与えてやれるんだけどな」

「逆に良かったと思います。装備で強くなるより、地道に強くなる方が自惚れることもないでしょう」


「そんなものか」

 2匹は洗われたことで疲れたのか、カップから夕食の肉をもらって食べ終わると2匹で固まって眠っている。


「それよりも、2匹をどのように育成されるつもりですか?」

「そうだな。シロは魔法が使えそうだよな。得意な属性は、風かな? クロは、木の棒を使っていたし魔法で石の剣でも作って使ってもらうか」


「2匹の連携も強化したいですね」

「まずは個々で強くなってもらおう。連携は、その後だな」


「わかりました。石の剣は私が作りましょうか?」

「頼む。石の魔法もできないわけじゃないけど、ホックの方がいい物ができるだろ」


 湯船から上がるとカップが体に張り付いて、タオル代わりに水滴を吸収してくれる。

 服もキレイに洗濯してくれる。


「ほんと、何でもできるようになったな。ありがとう」

 自主的にやってくれる事でも役に立ったと思えたら報酬に魔力を与えている。


「カップお姉様がいなくなったら、貴方様はどうなるのでしょうね?」

「生きてけないだろ。こんな最高のスライムと今後出会えるわけない。愛してるぞ、カップ」


「あ、ズルいです! 私にもキス!」

「はいはい」


 ホックにも軽く触れる程度の口づけをしてやるとその場で固まった。


「ふぇ?」

「お前も愛してるよ」


 そのまま湯船に落ちていった。

 スライムだから溺れないだろうと放置して、カップをベッドに寝ることにした。

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