27話 そつぎょう
「ジュフさん。番人について教えてもらえますか?」
「かまわんが、明日に案内する予定だ。今日は聖女様の救出で疲れておるだろ?」
ギルドで調べた時は番人なんて言葉は見なかったので教えてもらおうとしたが、明日には会えるらしい。
キングが発生した事を知っているようなことを聞こえたので、定期的にダンジョンに入る人のことだと思うが。
「わかりました。じゃあ、お言葉に甘えて今日は休ませてもらいます」
ジュフさんが用意した夕食もいただき、夜になればとうとうジュナの施術を行なう時がやってくる。
「よ、よろしくお願いします!」
「防音の魔法陣は設置してあるから、存分に声を出していいからね。恥ずかしいと思うけど、我慢しても特にいいことはないし」
あの2人に行なった経験がここで活きてくる。
夜中に股間を押さえたおっさんがやってくるなんてのは、ゴメンである。
「は、はい! わかりました!」
「それじゃ、いくよ」
まずは豊胸術から行なう。
理由としてはその人の限界の大きさを調べるためだ。
便利な魔法だと言っても、その人の限界というものは存在する。
個人の魔力量が違うように。
だから限界を調べるために豊胸術を行うのだが、
「ど、どんな感じ?」
「胸がポカポカして、あったかいです」
全く大きくならなかった。
オメガ先生の書籍ではエルフにも効果があったと書かれていた気がするんだけど、クォーターだから?
いや、エルフが術を使うことには成功と書かれていたが、エルフに豊胸術が成功したとは、書かれていなかった。
まずいな。
成功例があると思っていたから、ジュナに施術を行なうことにしたのに。
「…あの、大きくなってますか?」
ついに聞かれてしまった。
「残念だけど。これ以上大きくならないみたいだ」
「そ、そんな! そうだ! 第三次性徴なら!」
「それも無理だと思う。豊胸術で限界の大きさを調べて、固定化させるために第三次性徴を促すんだ。限界を超えて大きくなることもあると思うけど、そこまで大きくなる訳じゃないから」
「そ、そんな。じゃあ、私は…愛されないんですね?」
「…ごめん」
「うぅ!」
薄着だったのでタオルを抱きしめて体を隠し、部屋から飛び出していく。
「…これで諦めてくれるんだろうか? そういう約束だったしな。仕方ない」
カップを枕に眠ろうと思ったが、カップの姿がない。
「そういえば、ジュナの護衛をお願いしたままだったな。それでも追いかけるか? んー。あ、女の友情でも芽生えたとか。まさかな」
仕方ないので今日はこのまま寝ることにする。
ちなみにジルは別の部屋で休ませている。
声は防音の魔法陣で聞こえてないはずだが、気配に敏感なジルのことだ。
ジュナが飛び出していったことには気づいているだろう。
ジルも追いかけてたりするのだろうか?
仲良さそうだったしな。
ジュナ×ジル。
カップは竿役か?
「馬鹿な事考えてないで、寝よう」
夜中に人の気配で目が覚める。
ジュナが、カップを胸に装備して夜這いを仕掛けてきた。
「ラパ様。今夜だけです。今夜だけ、それできっぱり諦めますから。だから、私の初めてを…もらってください」
やっぱりカップは最高だった。
朝になれば隣で寝ていたはずのジュナはいない。
カップはいつものようにおっぱい枕になっている。
「やっちゃった。とうとう、童貞卒業したのか。ある意味で、カップが相手みたいなところはあったけど。これで諦めてくれるらしいし。まあ、いっか」
ホックの機嫌が悪くなったのは、言うまでもない。
「2日ぶりに帰ってきてみれば、貴方様の童貞が喪失しているとはどういうことですか?」
「まあ、流れで? カップを使う反則的な行為だったけど、これで諦めてくれるって言うし。俺もそろそろいいかな? って思ってたし」
「私で卒業してくれる約束は!」
「してないから。ホック抱いたら俺死んじゃうと思うよ? 手加減する気無いだろ?」
「もちろんです! 1回抱けばいつどんなときでも抱きたいと思うほどの快楽をあたえる自信があります!」
「うん。どう考えてもダメだから」
「むぅ。でもいつかは、性を頂きたいです」
「そうだな。考えとくよ」
「はい! では、ダンジョン内の報告をします!」
考えるだけなら約束にもならない。
ホックの報告によって、情報通りのダンジョン内であることがわかった。
まず、1 ~9階層は畑と牧場となっている。
10階層のボスは美味しいミノタウロスだ。
オスは倒して肉にして、メスは捕まえて牧場に。
エルフ強すぎる。
11~19階層は様々なゴーレムが現れて、採掘所と化している。
20階層のボスはゴルードム。
金色をしたゴーレムで、倒すと金を落とす。
極稀にミス・ドムが現れる。
倒すことができれば、ミスリルが手に入る。
魔法を吸収することやハンマーなどの打撃攻撃が有効なので、エルフとは相性が悪い。
ただし、魔法の吸収に限度があるため、魔法攻撃し続ければ弾ける。
世界樹の恩恵を受けているエルフなら出来るゴリ押しである。
21階層は草原が広がっている。
大規模な階層ということで、大階層と呼ばれている。
ここは様々な獣系の魔物が出現して、次の階層に続く最奥に、ドラゴンが鎮座している。
ドラゴンといっても翼を持たない亜竜種だ。
とは言っても弱いわけじゃない。
爪や歯には毒があるし、距離を取れば火を吹かれる。
意外に足が速かったり、尻尾を器用に振り回す。
ただ、倒す必要がない。
気配を消して次の階層に行けばいい。
都合よくジルという有能なスキルもあるし、問題ない。
21階層の次は31階層となる。
大階層は10階層分とされている。
31階層も大階層で、洞窟型になっている。
いつものダンジョンかと思って進むと、迷う。
普通なら一本道で次の階層の階段が見えてくる。
多くても4つに分かれる道がある程度だ。
洞窟型の大階層は、迷路だ。
景色が変わらないので自分がどこにいるのかわからなくなる。
そこから出られなくなって、死ぬ場合もある。
そして、スライムキングが大量発生している階層でもある。
「最古のダンジョンに比べて難易度は低いな。オメガ様の研究所も大階層のどこかにあるんだろうけど、洞窟型か。長期戦になりそうだな」
「いつものように分裂隊を使われないのですか?」
「相手がキングだから、分裂隊が乗っ取られる可能性があるんだよな。近くで行動してくれるなら乗っ取られることはないと思うけど」
「それだと意味がありませんね。探索させたいのに探索に出すと裏切られる可能性があるということですか」
「契約しているわけじゃないからな。力関係的に王系統には勝てないだろうな」
「なるほど。そうなると」
「洞窟にテントを張るのが妥当かな」
「地道に、ですね」
「そうだな。でも1つだけ洞窟型で良かったことがあるんだよ」
「なんですか?」
「蠱毒を真似た強化個体は、生まれていない可能性が高い」




