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19話 黒幕現る

 詰所に到着すると、騎士団がお出迎えしてくれる。

 ルアリールの姿は見えないので、彼女が関わっている可能性が低くなった。


「犯人が現場に戻るというのは本当のようですね」

 建物から副隊長の男が現れる。


「犯人? 何のことですか? 僕はスライムの様子を」

「とぼけても無駄ですよ。貴方のスライムがボルドーガを飲み込むところを見たものがいるのです」


「それは誰ですか? それに、隊長のルアリールさんはおられないのですか?」

「隊長は助けたご友人を保護しておられますよ。貴方に殺されないようにね」


「そうですか。それで、誰が見たんですか?」

「私ですよ。副隊長の私が嘘を言うとでも?」


「他の方は見てないんですね?」

「えぇ。スライムは私が消滅させましたからね」


 副隊長だから、騎士たちは言うことを聞いている可能性もありそうだな。

 ここは少しあおってやるか。


「貴方が? 1人で? 無理でしょう」

「なんだと?」


「本当にあなた1人で俺のスライムが倒せるか、証明してくださいよ」

 強化体を出現させる。


「スライムを出したぞ! 全員でこいつを捕らえろ!」

「できないんですか? それじゃ、貴方の言葉は信用できないですよ。ね?」


 スライムが現れたことで身構える騎士たちもいたが、俺がどうやって盗賊団を捕まえたか知っている騎士たちは、堂々とスライムの姿を晒したことに疑問を持つ者もいるようで、顔を見合わせる騎士たちもいた。


「何をしている! さっさと捕まえるんだ!」

 副隊長の怒号に5人が近寄ってくることから、こいつらが副隊長と協力している可能性が出てくる。


「副隊長、本当にスーラパイ殿が犯人なのですか?」

「彼が犯人ならもっと大量のスライムを使ってくると思います」

「本気で抵抗する様子も見られません。隊長に確認を」


 副隊長に抗議した騎士の1人の首が、物理的に飛んだ。


「私に意見するな! 私は見たのだ! 私は副隊長だぞ! 私が騎士団のルールだ!」

 抗議していた騎士たちを次々に斬り倒していく。


「どいつもこいつも、汚い混血が! 純血の私に逆らうな!」

「なるほどな。混血派と純血派の争いに、巻き込まれたってことか。彼に賛同している人は、これだけですか?」


 副隊長が抗議した騎士を殺したのをきっかけに、騎士同士の争いが始まった。

 混血と呼ばれる騎士たちは急な攻撃に反応できず、次々に斬り倒されてしまう。


 ついに純血と思われる騎士11名が俺を囲んだ。


「ルアリールが悪いのだ。純血だけで固めた騎士団を作る予定だったのに、ジュナとかいう混血と仲良くなったことをきっかけに、混血などを集めよって」

「それで、ボルドーガを焚きつけてジュナを攫わせたのか?」


「私はただ、逃げ道と逃亡後の就職先を紹介しただけですよ。ボルドーガは純血ですので、粛清がうまくいった暁には相応の地位を与えることを約束してね。

 まさか、たかが1人の冒険者に敗れてしまうとは。期待外れでした。そして、あの女まで助けてしまうなんてね。

私の報告では、ボルドーガに犯されて自殺したことになっているので、焦りましたよ」


「それならなぜ攫わせたんだ? 殺しておけばよかっただろ?」

「なぜでしょうね。馬鹿な者とばかり話していたせいか。賢い貴方と話していると、とても気分がいい。死ぬ前に全て教えてあげますよ。混血の聖女は存在しない。存在が許されるのは、邪神の生贄だからですよ」


 完璧にホックの魅了にかかっていることが分かる。

 スライムの姿からサキュバスの女王に戻って、俺の後ろで魔法を使用していることにも気づかない。

 時間稼ぎにもなるし、このまま情報を引き出すことにした。


「邪神? 法国は邪神を信仰してるのか?」

「我らが信仰しているのは創造神様のみです! 邪神の復活で創造神様に降臨していただくのですよ。そして最高の加護を頂いた我らが、邪神を祓うことで至高の存在であることを示すのです!」


 副隊長に心酔しているのか、10人の騎士が一斉に拍手を送る。

 剣を握っていたことも忘れているのか、地面に落ちていく。


 夢中で拍手をすることで、落ちて鳴った金属音に誰も気づかない。

 強化体に命令して剣を回収して、消化してもらう。


「その邪神の召喚にジュナを生贄にする予定だったか」

「その通りです! あの女は混血なのに聖女候補に選ばれるほど優秀だと聞きました。元は混血にもお優しくされている聖女様に協力していただく予定でしたが、混血で優秀な聖女候補こそ! 邪神の生贄にふさわしいと思いませんか!?」


「ということは、ジュナは生きているのか」

「いえ。もうあの女は不要です。あの出血量であれば、いくら優秀な聖女候補だとしても今頃は死んでいるでしょう。我々は予定していた聖女様の協力(誘拐)に成功しました。混血の聖女など不要になったのです。聖女様の生贄によって召喚された邪神ならば! 確実に創造神様が降臨されると確信しています!」


 騎士たちの歓喜の声と拍手が大きくなる。

 イラつくし、うるさくなってきたので黙ってもらうか。


 騎士たちの手足を分裂隊で拘束していく。

 拘束された騎士たちは歓喜の雄たけびを上げたままなので、口に分裂隊が突っ込んでいく。


「それで、召喚する場所と聖女様の監禁場所は?」

「それはですね」

「これ以上は見過ごせないわ!」


 突然ダークエルフの女性が副隊長の前に現れた。

 やっと現れたか。


 どっかで見ているとは思っていたが、気配遮断の魔道具かスキルでも持っているのか、声を出されるまで気づかなかった。


「やっぱりダークエルフが関わっていたか。ギルマスが貴方を探していましたよ、ジガバールさん」

「貴様、私とスーラパイ殿の邪魔をするとは!」

「本当なら、その女王様は私たちのだったのよね。敵にするとここまで厄介なのね」


「いいことを聞きました。帝国も貴方たちが関わっていましたか。これは逃がすことが出来なくなりましたね」

「私を無視してスーラパイ殿と楽しく会話するな!」

「あ~! 本当に厄介! 抵抗の魔道具を持ってるっていうのに!」


 副隊長はうるさいので、強化体に拘束してもらう。

 鎧などは溶かしていいが、殺さないように命令しておく。


「がぼぼぼぼ!!」

「これで静かに話せますね。では、あなたに質問しましょうか」

「出てくるんじゃなかった! なんで私ばっかりこんな役割!」


 ダークエルフのジガバールは女王姿のホックから目が離せないようだ。

 隠れている最中は見ないようにしていたようだが、ここまで接近することで抗えなくなっている。


「近くに貴方の仲間は?」

「いたわよ! あなたがサキュバスの女王を従えていることを、ボスに報告する必要があったからね!」


「ボスの居場所は? そこに聖女様も捕まっていますか?」

「せ、世界樹の近くよ! 邪神様の召喚が出来る儀式にふさわしい地が、霊峰と世界樹、海底神殿なの! 誘拐した聖女もそこに移動させている最中って話よ!」


「結局、世界樹には行く必要があるのか。いや、なんで俺が解決する流れになってるんだ? 誰かに任せればいいじゃん」

「わ、私をどうするの?」


「ここまで話した貴女を助けてあげてもいいんですけどね。お仲間に殺されるか、生きて協力するかは、あなた次第ですよ」

 ホックに頼んでジガバールの魔力を吸収して、気絶させる。


「貴方様といると、退屈しないですね」

「いうなよ。それにしても、帝国のダンジョン計画にも関与していたのか」


「そのようですね。ドレインして得られた知識に、ダークエルフと関わった記憶はありません。考えられるのは記憶消去ですね。魔法なのか魔道具なのか。魅了に抵抗する魔道具や気配遮断の能力を持っている連中が相手ですね」

「なんでこんなことになるかな」


「オメガ先生にかかわったからでは?」

「…違うと信じたい」


 純血騎士たちとジガバールを時空間に仕舞って、カップが見つけたルアリールとジュナのいる部屋に向かって歩き出す。

 カップ曰く、ジュナは手遅れらしい。

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