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1話 立派なおっぱいさん

 契約が成功して俺の魔力が好物となったスライムを、オメガ先生のスライムがバストだったので、俺のスライムはカップと名付けた。


 宿に帰ればカップを抱いたままベッドにダイブする。

 冷たくて柔らかな感触に包まれて、いつの間にか眠っていた。


 早く眠ったためか真夜中に目が覚めてしまう。

 昼食は森の中で食べられる魔物や動物を狩り、果物を取って食べていたが空腹を感じる。

 そういえば夕食を食べずに寝てしまったことを思い出す。


 時刻を確認するため窓を開けて外を見るが、近くに光は見えず、遠くに明るい場所を見つける。

 昼はやっておらず、明け方までやっている場所だ。


 テイマーになったのでカップを連れていけるが、行く場所が安全とは限らないので、ベッドの上で留守番してもらうことにして、空腹を我慢できずに部屋を出た。


 肌を晒した男女の抱き合う姿を、淡く光る魔法のライトが照らしている。

 少しでも金がほしい女と少ない金で女を抱きたい男たち。

 スラム街の入口だ。


 部屋を取ることもできず、外でやっている連中を無視して進んでいくと、段々と周りを照らす光は強くなり、見えてくるのはスラムと思えない華やかな街並み。

 夜だけ開く飲食店と高級なお花屋さんが並ぶ、裏スラムと呼ばれる場所だ。


 スライムを手に入れたら理想のおっぱいを作るために、本物を触る予定をしていた場所だ。

 しかし今日ではない。

 今は、飯だ!


「おっちゃん。ビールと串焼きください」


 先輩冒険者のソーブルさんから聞いた話だと、この店はお花屋さんの紹介を兼任している飲食店だ。

 好みを伝えるとそれにあった店を教えてくれるらしい。


「あいよ。兄さん若いね。裏は初めてか?」

「そうなんですよ。今日はお酒と食事をする予定ですけど、先輩から聞きました話だと紹介とかしてくれるんですよね?」

 この国では15歳から酒を飲める。

 15歳以下でも飲んでいるやつはいるが。


「そうかい。ちなみにどんな娘が好みなんだ?」

「優しい子がいいです。年上でもいいけど、30歳以上はごめんなさいです」

「予算は?」

「金貨1、2枚ですね」


 これまで貯めた金貨は4枚。

 大体の値段は先輩から聞いているが、本場の人がどんなお勧めをしてくれるのか試すように1、2枚と答えておく。


「結構持ってんな。それなら一番高いとこがオススメだ。金貨2枚だが、ハズレはないぞ」

 この店主は先輩から聞いていた通りのいい紹介人らしい。

 初心者を騙そうという感じはなさそうだ。


「なるほど。安いところの値段はどうな感じですか?」

「そうだな。基本的に銀貨3~5だ。相手にヤってしてほしいことがある時は、銀貨1、2枚でも渡してやればよろこんでしてくれるだろうな。金はあっても無茶な注文や無理矢理、暴力なんかは出禁を食らうからな」


 金貨1枚は銀貨10枚、銀貨1枚は銅板10枚、銅板1枚は銅貨10枚で交換できる。

 安くもなく、高すぎるというわけでもない感じだ。

「そうですか。じゃあ、銀貨5枚でオススメはありますか?」


「全額使うつもりはないってことだな。もっと詳しく好みを教えてくれるならそれにあった娘を紹介してやれるが、兄さんの希望が優しい子ってなら汚え客でもなければみんな優しくしてくれるさ。

 銀貨1枚以下の店ならそれなりの年齢でもまだ働いてる奴はいるが、銀貨5枚出せるなら若くて綺麗な娘が相手してくれるだろうよ。

 店側も馬鹿じゃない。気前のいい客、問題を起こさない客は何度も通ってもらえるようにしたいからな。初回なら尚更だ。それに初めてなら自分の目で見て好きな娘を指名するほうがいいと思うね」


 確かに自分の目で見て決めた女性のおっぱいを触ることで、いいおっぱい経験がつけられるかもしれない。


「そうですね。銀貨5枚で行ける何店舗か教えてもらえますか?」

「あいよ!」

 店主にチップとして銅板3枚渡して確実な情報を手に入れる。

 ここでチップを払わなかったり、問題を起こしそうな態度を取ってしまうとハズレの店を教えられることがあるとおっちゃんが教えてくれた。


 3つ店の場所を聞いた俺は、道を確認するためにおかわりしたビールと串焼きを持って歩く。

 スラムより治安がいいと言っても、襲ってくる連中やスリを狙う連中がいるので注意が必要だと先輩が言っていた。

 ただ裏スラムと言ってもスラムと違って貴族が運営していたり、大手の商人が経営している店が並んでいるので問題を起こして捕まると普通より罪が重くなる。


 貴族を狙えば一発で死刑。

 そんなこと関係なく襲ってくる連中はいるのだが。

 まさか女性を囲んでいる場面に出くわすとは思わなかった。


「いや! やめなさいよ!」

「なあ、いいだろ? 手でいいんだ。何なら口でしてくれてもいいぞ」

「俺はやっぱり胸だな。こんなデカ乳見たことねえよ」


 女性を逃さないように手をつかんでいる男と、胸に手を伸ばす男。

 その後ろでフードを被って顔が見えない男? に囲まれている女性は、腕を掴む男から逃れようと体を左右に揺らす。

 すると、まるでスライムが飛び跳ねるように揺れる胸に、男は手を伸ばすが払い除けられる。


「ちょ、触んな! 私はいくら積まれたってやんないって言ってるでしょ!」

「あぁ? そんな服でよく言うぜ。私を買ってくださいってサインだろうが」

「これは! そいつに…」


 女性は露出度の高いドレスを着ていた。

 逃れようと動くことで、ドレスから胸が飛び出しそうになっている。

 上下に飛び跳ねたなら、確実に飛び出すだろう。


 そんなことよりも、女性の言葉を聞く感じだとフードの男に騙されて、この場所に来てしまったのだろうか?

 しかも露出度の高いドレスを着てくるように言われて。


 助けるべきか関わらずに去るべきか。

 目を閉じて考えるが、すぐに答えは出ない。

 目を開けると不意に女性と目があった、ような気がする。


 女性の状態に笑いそうになったが、泣いているように見えたことで笑うことはなかった。

 目を閉じて考えている間に男の1人が両腕を掴み、1人が足を掴んで女性を持ち上げてたのだろう。

 目を開けたのがフードの男が持ち上げられた女性に近づくところで、魔法を使ったのか女性を眠らせたか気絶させて布で口を塞いだ。

 そしてフードの男を先頭に1つの建物に入っていく。


「はぁ、3対1はゴブリン程度が限界だけど。やってみるかー」


 前準備として自分に筋力、瞬発力、脚力の強化魔法を掛ける。

 魔法がすぐ発動できるように魔力を左手に溜めておく。


 建物に入るといくつもの扉が並んでいた。

 今は使われていないようだが昔は時間制の部屋貸しだったのかもしれない。


 フードの男が魔法を使ってくれたおかげで、注視すれば女性にかけた魔法のマカで追う事ができた。

 扉の前に立って深呼吸をしてから、扉を開けた瞬間に部屋の中へ向けて、溜めに溜めた魔力を使う。

 光を発生させるライトの魔法を発動させる。


「「「ギャァア! 目が! メガァァア!」」」


 強化された瞬発力と脚力を活かし、目を押さえて床に転げ回る男3人を無視して、胸を露わにさせられてベッドに寝かされている女性に近づく。

 女性は眠っているのか反応はなく、胸が見えないようシーツで包んだ。


 強化された筋力を活かして包んだ女性を持ち上げて、走って部屋を出ていく。

 視界が回復したのか、男たちが「待て!」と叫んでいるが、待つはずもなく建物を出る。

 抱えているものが女性なこともあり、人気のない道を選んで宿に向かった。


 無事、宿に到着することはできたが、シーツで包まれた女性をどうするのか考える。

 フードの男がどれほどの魔法使いで、どの程度の魔法を使用したかわからないので、女性がいつ目覚めるか不明だ。


 とりあえずベッドに寝かせてシーツを外していくと、目を覚ましていた女性と目があった。


「んー! んーん!」


 口を布で塞がれているため夜中に女性の叫び声が響くことはなかったが、ドタバタと暴れることで振動や物音がする。


「落ち着いてください。俺は何もしませんよ」


 男たちに襲われそうになったのだから体を押さえつけるのは逆効果、近づくこともやめて、好きなだけ暴れてもらうことにした。

 俺の声が聞こえたようでピタリと動きが止まる。


「とりあえず話せるようにしたいので、口の布取りますよ? 近づいて大丈夫ですか?」


「…ん」


 女性が頷くのを確認してから口に突っ込まれている布を引き抜く。

「んぃっ。はぁ、いったい…」


 布に血がついていた。

 無理に突っ込まれたのか、唇や口の端から血が出ている。


「大丈夫ですか? 回復魔法、使いますね」

 女性の顔に手を向けて回復魔法を発動させる。

「あったかい。けどチクチクする」と女性が反応する。

 1分ほどで傷は塞がった。


「ありがとう。助けてもらった上に回復魔法まで使ってくれて」

「俺は初級しか使えないので、小さな傷しか治せませんし」


「魔法使えるだけで十分でしょ。あ、もしかして貴族様でしたか!?」

「違いますので安心してください!」

 頭を下げようとする女性の前に手を伸ばして止める。


「そう、なの? はぁ、よかった。また殺されるのかと…」

「また?」


「あ、ううん。気にしないで。あ、」

 女性は気が抜けたのか、ベッドに倒れてしまう。

「安心したらなんか、ちから、入らないや。えっと、襲わないでね?」


「襲いませんよ。犯罪者になりたくないので」

「なんで、たすけてくれたの?」

「泣いてる顔を、見たからだと思います。なんか、助けたいと思ったので」


 シーツに包まっていると言っても、シーツの下はドレスを脱がされて半裸状態だ。

 見えないように掛け布団を女性に被せて背を向けた。


「そっか。やさしい、ね…」

 瞬きを繰り返していた女性の瞼が閉じる。

 しばらくすると寝息が聞こえてきた。


「おやすみなさい」


 眠った女性に声をかけてから部屋を出た。

 朝になれば起きるだろうし、起きたら勝手に出ていくだろうと予想する。


「書き置きでもしておけばよかったか? 文字が読めるかわかんないし、いっか」


 それにしても立派なおっぱいだった。

 シーツの上からでもわかる大きさに、寝息で揺れる質量。

 柔らかいに決まっているだろうな。


「一揉みくらい、とは思ったけどダメだろ。犯罪に手を染めてまでおっぱいを求めたところで、次のおっぱいが楽しめるか? ノーだ」


 独り言を呟き、腕の中にある柔らかなカップを、助けた女性のおっぱいを妄想して揉む。


「お、兄さん。あ? スライム?」

 裏に戻ってきた目的はこの店主だ。

 一応、裏で起こったことは、事件でも事故でも報告の必要はない。

 ただし貴族を除く。


 今回は相手が貴族とは思えないし、助けた女性も貴族ではないだろうが、「また」という言葉が引っかかる。

 あのフードの男が貴族の可能性があり、面倒事に巻き込ませる可能性もある。


 事情を知っている人、さらに味方となってくれるだろう人を作っておくべきだと考えた。


「あ、俺のスライムですよ。それが…」


 カードを見せてカップが自分の魔物であること、店までの道を覚えるために歩いていた時に襲われそうになっていた女性を助けたことを話す。

 途中でビールを頼んでおく。


「ほう。向こうで騒ぎがあったことは知ってたが、兄さんが女を助けたのか。その女は?」

 やはり騒ぎがあったことは知られていたようだ。

 スラムについて先輩から詳しく聞いといてよかった。


「宿で寝てますよ。なんか安心したようで、ベッドにコテン、です」

「なるほどな。騒いでた男3人は、多分兄さんを探してたんだろうな。もうこの辺にはいねえよ」

「そうなんですね。まあ、顔は見られてないと思うので、探してるのは女性でしょうね」


 残っているビールを飲みきって、膝に乗せていたカップを持ち上げて抱きしめる。


「災難だったな。サービスするぜ、もう1杯どうだ?」

 店主の言葉でカップに埋めていた顔を上げる。


「いいんですか? ありがとうございます! いただきます!」

「おうよ!」


 運ばれてきたビールを飲み、店主に男たちが話していた内容を、さらに詳しく伝える。


「助けた女が、店で働く女じゃない?」

「みたいですね。本人から直接聞いたわけではないですけど。いくら積まれてもやらないって言ってましたし、服装もフードの男に頼まれたような様子でしたよ」


「それを強制しようと、魔法まで使って部屋に連れて行ったところを」

「俺が助けた感じですね。もう立派なおっぱいが飛び出している状態で、ギリギリって感じでしたよ。もし助けに行かなければ最後までヤられていたでしょうね」


 生で見た立派なおっぱいを思い出してしまう。

 やはり少しだけでも触っておくべきだったか?


「ほう。それよか兄さんは胸が好きなんだな? だからスライムを仲間にしたんだろ?」

 助けた女性のおっぱいを思い出して、カップを揉んでいるところを店主に指定されてしまう。


「あはは、お恥ずかしい。そうです、俺はおっぱいがすきです。いろんなおっぱいを触りにここへ来ました! ゆくゆくはこのカップに頼んで、いつでもどこでもおっぱいを揉めるようにするのが目標です!」

「ガハハ! 開き直りやがった! 面白い兄さんだな。名前は?」


「スーラパイといいます。知り合いからはラパと呼ばれていますよ」

「そうか。俺もラパって呼ばせてもらってもいいか?」

「えぇ、ぜひ! 店主のお名前を聞いても?」


「ジグドだ。今後とも、ご贔屓に頼むぜ。イイおっぱいの情報を集めといてやるよ」

「こちらこそよろしくお願いします。言い値でいただきましょう!」

「任せとけ! そういや、どうやって男共から女を助けたんだ?」

 ジグド店主と握手を交わした後、女性を助けた方法を聞かれて素直に答える。


「なるほどな。狭い部屋の中で、それもいきなり光が発生すれば、何もできないだろうな。それで宿まで連れて帰った、と」

「ですね。なので宿に助けた女性が寝ているのですよ。そこでジグドさんに、安くて安全な寝床など紹介してほしいのですが」

 騒動の報告以外に、ここへ来た理由をジグドに伝える。

 この店が、女の連れ込みや呼んで利用できることを先輩から聞いている。

 

「この上に空き部屋がある。今日は連れ込みの客もいないし一部屋貸してやるよ。もちろん金はいらねえからな。面白い話が聞かせてくれた礼だと思ってくれ」


「いいんですか!? こちらとしては大変ありがたいですが」

「気にすんな。結構飲んでるしな、もう休むか?」

「そうですね。お願いできますか?」

 そこまで酔っているわけではないが、腹も膨れて眠気がやってきているので休ませてもらうことにする。


「おう、ちょっと待ってろ。ほら、これが部屋の鍵だ。あの階段を上がって1号室って書いてある。すまんが店を閉める前に出ていってもらうが、それでもいいか?」

「ありがとうございます。あと5時間ほどですか?」

「それくらいだ。閉める前に声はかけるから安心して寝てればいい」

「はい、よろしくお願いします。では休ませていただきますね」

「おう。初回だってのに、おつかれさんだったな。ゆっくり休んでくれ」

「はい、ありがとうございます」


 食事代をテーブルに置いて階段を上がっていくと、二階は扉が並んでいた。

 扉に数字が表記され、1号室は階段の直ぐ側にあった。


 鍵を使って扉を開けると部屋の中はベッドが一つあるだけだ。

 枕は2つあるので夜用の部屋だとわかる。


 酒を飲んで腹も膨れているので、ベッドに倒れ込むとすぐに眠ってしまった。

 カップは大人しく抱かれている。

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