表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/34

16話 女性陣の想い

 翌日。

 自分だけテントで過ごすわけにもいかず、徹夜することにした。


 昨晩のことを思い出すと、テントで休まなくてよかったと思う。

 なぜなら、女性陣の襲撃にあったからだ。


 女性陣に、襲撃があったわけではなく、女性陣の、襲撃を俺が受けた。

 優秀な冒険者は好かれると聞いたことはあったけど、まさか自分が襲われるとは思わなかった。


 結婚して。

 子供が欲しい。


 体だけの関係でいい。

 強い子種をくれ。


 様々な欲望を持った女性陣から逃げた。

 ジュナも混ざっていたが、翌朝になれば何事もなかったかのように話しかけてくる。


「ラパ様、おはようございます。昨日は大変でしたね」

 お前も混ざってただろ。


「ジュナさん、おはようございます。元々、焚火を絶やさないために徹夜を予定していましたから、そこまで。ふぁ…すみません」

「あ、あの! もしよろしければ、私の膝枕で」


 ジュナの言葉を遮って、カップが体を大きくする。

 俺を包み込もうと体を伸ばして、柔らかいベッドになってくれた。


「流石はカップだな。少し休ませてもらいますね」

 女性陣の警戒はカップに任せて、仮眠をとることにした。


 ラパ様の寝息が聞こえてくる。

 話をしている時は年上に見える彼も、寝顔は幼い。


「かわいい。本当に、羨ましいわ」

 彼がベッドにしているスライムを見て呟く。


 スライムは言葉が分かるのか、勝ち誇ったように大きく波打った。

 彼が起きないところを見ると、彼に振動は伝わっていないようだ。


「賢いスライム。ラパ様を愛しているのね?」

 もちろんだというように、また波打った。


「ラパ様も、あなたを愛しているのでしょうね。それに、信頼もしている」

 彼の寝顔を見ればわかる。


 私と話している時は警戒されているのか、考えて話している様子だ。

 まだ信用されていないことに悲しさを感じる。


「私はラパ様に危害を加えるつもりはない。嫌がることもしないと誓うわ。ただ、愛する気持ちは、許してね。あなたとも、仲良くなりたいと思っている」

 スライムに手を伸ばす。


 彼に触れようとすれば、スライムの怒りを買うに決まっている。


 スライムは嫌がる素振りを見せないので、一度だけ撫でさせてもらう。

 スライム、じゃなくて。


 彼女の威圧感が弱まった、気がする。


「ふふ。ラパ様が愛する気持ちもわかるわ。柔らかくてひんやりとしていて、気持ちいわね」

 何度も撫でたくなるが、彼女に怒られる前に手を離す。


「私は捕まっていた皆さんと一緒に、騎士団が来ないか村の入り口の方で待機しているわね。ラパ様が起きる前に騎士団が来たら、伝えに来るわね」

 もう少し見ていたかったが、愛し合う2人から離れることにした。


 ご主人様を愛するという女が離れていく。

 久しぶりに、ご主人様と2人っきりだ。


 最近はホックやフラージュがそばにいる。

 ホックはご主人様といつでも会話が出来て、羨ましい。


 フラージュは杖の姿で、寝ている以外はずっと触れられているので、羨ましい。

 私は寝ている時やご主人様が触りたいと思ったときに、触ってもらえる。


 そこは2人に羨ましがられる。


 多分、一番必要とされて、一番愛されているのは、私だ。


 それをわかっていても、

 ご主人様が私以外の誰かと何かしていれば、


 羨ましく思ってしまう。


 この気持ちは、最初に吸収した女の影響だろう。

 ご主人様を独占したい。


 私だけを愛してほしい。


 けれど、ご主人様はホックやフラージュも愛しているだろう。

 まだ増えるかもしれない。


 それは仕方ないことだと理解している。

 ご主人様の夢を知っているから。


 だから私は、邪魔をしないように

 捨てられないように


 ご主人様が望むままに


 だから、

 嫉妬くらいは、許してくださいね。


 目が覚めると時間の確認を行なう。

 影の角度から、昼頃だと分かった。


「4時間くらい寝たかな。まだ騎士団は到着しないのか?」

 さすがに遅いと思う。


 法国の騎士団が向かっているなら、話は別か。

 この開拓村が王国のものだから、事実関係でも調べているのかもしれない。


 王国側が元騎士の男を匿っていたとでも考えているのだろうか。

 依頼人の話によると本店が法国にあるので、そちらに文字が送られているはずだ。


 距離的に霊峰の冒険者ギルド本部に届いている可能性もあるが。

 それならギルドから冒険者が派遣されることも考えられる。


 しかし冒険者も到着していない。


「ホックに確認してみるか」

 依頼人の状況を確認する。


 依頼の予定では、法国の到着は6日後。

 移動時間は5日で1日は街で休む予定だった。


 今日は街で休みがもらえるはずが、昨日の襲撃で1日多めの野宿だ。

 流石に依頼人は街に到着しているはず。


「貴方様、ようやく連絡してくださいましたね」

 意識の共有は契約者が行なう必要がある。


 ホックならできそうな気もするが、意識の共有を待っていたようだ。


「何かあったのか?」

「女の気配を感じました。襲われていませんか? 童貞はぶ――」


 問題ないようなので、意識の共有を切った。


「いきなり切るなんてひどいです」

「なんでお前から意識の共有ができるんだ?」


「元女王を舐めないでください。念話の要領でちょちょいと」

「その念話については後で聞くとして、魔力に余裕はあるのか? 結構離れているはずだが」


「問題ありません。街に到着したところ、騎士団に出迎えられて事情聴取を受けまして、依頼人と一緒に貴方様のもとに向かっています」

「やっぱり王国の開拓村ってことで、警戒されていた感じか?」


「さすがは貴方様です。それもあるようですが、法国は聖女候補が攫われたことを隠したいようですね」

「ちょっとまて。なんで聖女候補を助けたことを知っている?」


「それはカップお姉さまから聞いたからです。私たちは仲良しなのですよ」

「カップもできるのか。そのことは後で聞くとして、どれくらいで到着しそうだ?」


「あと3時間ほどかと思われます。貴方様の位置なら把握済みです」

 正確すぎる時間の報告とストーキングの告白にため息が出る。


 ホックと意識の共有を終えて、カップに体を預ける。


「3時間後に起こしてくれ。大体、夕方前か。今日もこの村に泊まりそうだな」

 カップに起こしてもらうようにお願いする。


 徹夜で魔力はそれほど回復しなかったので貯蔵は出来なかったが、仮眠で回復した魔力をカップに与える。

 喜ぶカップに抱きついて、休むことにした。


 カップに体を揺らされて目を覚ますと、頭にいつもの重さを感じる。


「貴方様、おはようございます。1日ぶりのホックでございますよ」

「あぁ、おはよう。意識の共有はしてたから1日ぶりって感じではないが、頭に感じる重さは懐かしく感じるな」


「寂しかったですか?」

「ぜんぜん。で、騎士団は?」


「もう。貴方様は乙女心が分かっていませんね。そこは――」

「お帰り、ホック。帰ってきてくれて、うれしいよ」


「はぅ…不意打ちはズルいです」

「それで、騎士団は?」


「はい。貴方様が捕まえた盗賊たちを捕らえて、馬車に乗せているところです。カップお姉さまの分裂体は、私が回収しておきました。後でお渡ししますね」

「ありがとう。ホックがいてくれて助かるよ」


「は、はい。もっとお役に立ちますね!」

「頼むぞ。早速だが、騎士団のところまで案内を頼む」


「はい! こちらです!」

 有能従者ホックの案内で騎士団と合流する。


「貴方がスライムのテイマー。冒険者のスーラパイさんですね?」

 一番豪華な鎧を着た女性が話しかけてきた。


 女性の後ろにはジュナと依頼人がいる。

 2人から俺の情報を聞いているようだ。


「はい。僕がスーラパイです。貴女は?」

「失礼しました。私は第二騎士団の隊長をしている、ルアリールと言います! スーラパイ殿がボドルーガを捕まえていると聞いたのですが、本当でしょうか?」


「本当ですよ。時空間魔法で収納して捕まえています。ここで出しましょうか?」

「お願いできますか? おい! 抵抗しても制圧できるように陣形を組め!」


 ルアリールの指示で俺を囲むように騎士たちが抜刀した。

 時空間内は時が止まっているので、気絶から回復していないはずだ。


「抵抗されることはないと思いますが」

「念のためです。いつでもどうぞ」


 ルアリールまで抜刀する。

 そこまで警戒するほどの相手だったかな。


 短気で一直線、罠に気づくこともなく自滅してくれた男を思い出す。

 まあ、事前の情報収集が大事だということだ。


「それでは出しますね」

 気絶したボドルーガと倉庫まで案内してくれた幹部を取り出す。


 当然、2人とも気絶しているので抵抗されることはなかった。


「この2人は、スーラパイ殿が?」

「そうですね。魔力切れで気絶させました」


「魔力切れ、ですか。生きてますよね?」

 魔力切れを危険視しすぎだと思う。


 魔力が回復すれば気絶から回復するのに。

 魔力を回復させるポーションがあれば一発で起きるだろう。


「もちろん。魔力回復用のポーションがありますので、使いますか?」

「いえ、我々も所持していますので。それに、生きているならそのうち起きるでしょう。連れていけ!」


 ルアリールの指示で気絶している2人は馬車に乗せられる。

 馬車の方を見れば助けた人たちも乗っていた。


「今から出発されるのですか?」

「はい。徹夜で移動すれば街まで行けますので。そこから法国に向かう予定です。スーラパイ殿も同行していただけますか?」


「もちろんです。報酬もいただかなければいけませんし」

 タダ働きはごめんである。


「は、はい。報酬も期待していただければ、と思います。どの程度支払われるのか、私では決められないのですが」

 やっぱり俺の笑顔は怖いのかな。


「期待させていただきますよ。元騎士の生け捕り、聖女候補の救出、盗賊団の壊滅、救助者の保護、いろいろさせていただきましたからね」

「も、もちろんです!」


「かっこいい…」

 ジュナの方から聞こえた気がするが、気にしないことにした。


「私からも、最大のお礼をさせていただきます。捕まっていた者の中に、知り合いの家族がおりました。本当に、ありがとうございました!」

 助けた人の中に依頼人の知り合いがいたようだ。


「僕にできることをしただけです。怪我を治したのは、聖女候補のジュナさんですし。お礼なら彼女にも言ってあげてください」

「もちろんです! 先ほどもお伝えさせていただきましたが、本当にありがとうございました!」


 俺が言うまでもなく、お礼を言っていたようだ。

「俺の彼女って言われた!?」なんで馬鹿なことをジュナが言っているが、無視する。


「ルアリールさん、移動用の馬車はありますよね。案内していただけますか?」

「は、はい。こちらです」


 ジュナを放置して、移動用の馬車に乗る。

 もちろんカップをクッションにする。


 1時間ほど経って、ルアリールの号令で馬車が動き出す。

 気づいたら、隣にジュナが座っている。


 目を閉じていたので気づくのに遅れた。

 馬車は動いているので、降りてもらうことも出来ない。


 そこまで嫌いなわけでも、警戒しているわけでもないが、

 ここまで積極的だと、恐ろしさを感じることを初めて知った。


 今更だけど、カップの威圧感が弱まっていることに気づく。

 俺が寝ている時に何かあったのだろうか。


「ラパ様、私の膝はどうですか?」

「もう十分に睡眠をとったので、大丈夫ですよ。それより、カップと話でもしましたか?」


「残念です。はい! 少し話を聞いていただきました。一度ですが、触らせてもらいました。すごく柔らかくて、スライムを好きになりました」

 俺が寝ている間に、ジュナはカップから許しをもらったようだ。


 だから威圧感が弱まっているのか。

 カップが信用できると感じたのなら、


「ジュナは、ルアリールさんと知り合いなのか?」

「え? あ、はい! 法国でも女性騎士は憧れの対象になります。ルアーとお近づきになりたくて、聖女候補に立候補する人もいるそうですよ!」


「そっか。聖女候補って立候補式なんだ」

「聖女様からの推薦や神官長様たちの視察で見つけてこられることもありますよ。私は父が神官の1人で、神官長のお1人と友人関係でしたので、聖女候補にならないかと話を持ち掛けられました」


「そうなんだ。その神官長とお父さんは、さぞ心配しているだろうな」

「そうですね。神官長様からは、よくしていただきました。将来的に息子と結婚してほしいと言われたこともあります」


「そっか。帰ったら結婚させられるかもね」

「絶対に、お断りします! 私は、」


「ごめん。さっきのは意地悪が過ぎたね。けど俺は」

「わかっています。ラパ様の豊胸術と第三次性徴で見込みがなければ、諦めますので」


「そっか。その、期待してるよ」

「は、はい!」


「貴方様は、お尻もお好きっと」

 頭上で声が聞こえたが、気にしない。


 一番好きなのは、立派なおっぱいである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ