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関羽の運命は君の手で覆せるか~特異点~

作者: 青黄赤

関羽は魏との戦いに勝つため、遠征に行くことになった。

これで自分が負けると蜀陣営が不利になる。劉備や張飛は別の戦いがあり、応援に来ることはできない。

どうしたものかと考えていると空が暗くなった。

空を見上げると多くの鳥が群れを成して飛んでいた。

すると隣を歩いていた関平が

「気味が悪いですね」

と、つぶやく。

「そうだな。」

関羽は関平が言ったようにこの光景を気味悪く感じた。

すると、隣を歩いていた周倉が何かを思い出したかのように口を開いた。

「そういえば、最近は巷のほうでも『占い』をしている者がいるそうですよ。最近よく当たるという噂を耳にしました。」

「ほう。それは興味深いな。易で有名な管輅、夢占いで有名な趙直とは違ったやり方の人物なのだろうか?一度我々の運勢を占ってもらおう。」

「正気ですか?占いなどせずとも、父上に敵はいないでしょう!」

「なに、占いをすべて信じるわけではない。頭の片隅に置いておくだけだ。」

関平は乗り気ではないが、関羽一行はその占いをしている者の所へと行ってみることにした。

そこは、家と家の間の路地で、薄暗く、あまり光が差し込んではなく、少し寒気がした。

ただ一人、ボロボロの服を着た老人がいる。関羽は問う。

「あなたが最近噂となっている占い師か?」

「なんだ?占いをしに来たのか?」

「先ほど、私の遠征が決まったのだ。運勢を占ってほしい。」

「いいだろう。お兄さんたちはさぞ地位の高い人間だと見た。ワシがしとるのは占いと言えど、直感で物事を言っておるだけ。だから当てにするんじゃない。運勢を決めるのはそなたたちの言動次第じゃからな。へへッ。」

「なんかこの老人、気味が悪いな。ほら吹きという噂もあるみたいだが…。」

「確かにそうだな…。」

「お前たち、本人の前で気分を害するようなことを言うべきではない。」

関羽は老人に対して聞こえる声量で悪評について話していた関羽と関平を注意する。

「よいよい、ワシは年寄りじゃからのぅ。それでは占いを始めるとするかの。では、ゆくぞ!…ムムムムムムゥー!」

老人は顔をしかめたかと思うと、ゲラゲラ笑い、おかしな踊りを舞い始めた。

その光景は、まるで狂った者たちのようであった。

(先ほど部下には注意したが、これは気味が悪いな)

流石に関羽でも引いてしまうほどである。

そして半刻が過ぎようとしたとき、

「来たぞぉ…。来たぞォ!!!!」

先ほどまで座っていた老人が急に立ち上がった、と思ったら急に老人が話しかけてきた。

「お主、食事は好きかな?」

老人の考えもしなかった言葉に関羽は戸惑いながらも、

「あ、あぁ。食事をとらなければ十二分に力を発揮することはできないからな。」

と答える。老人は、

「そうじゃ。しかし、食事の時は皆、力が抜けておる。そこを狙えば勝機はある。」

続けて、

「わしが見えたのは、空に向かって伸びていく植物。しかし、その背後から迫る炎によって植物は燃え、空に消えていくというものじゃ。詳細はわしにもよくわからん。じゃが、一つだけ言えるとすれば、これをあまりあてにせず己が信じる道を進めばよいということだけじゃ。」

と言った。また、

「背後を取れば炎を消すこともたやすいであろう。」

とも言っていた。

関羽と関平含む兵士たちは、老人が何を言っているのかわからなかった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


戦地へ向かった関羽、それに従う蜀の軍勢は、于禁、曹仁を倒し、だんだんと魏に優勢となっていた。

しかし、関羽はまだ老人の言葉が引っかかっていた。

「むぅ…。」

関羽は悩んでいた。すると、関平が隣に来て何かを察したかのように聞いてくる。

「どうしたのですか?何か気にかかることでもあるのですか?」

関羽の様子がいつもと違うと感じたのだろう。関羽は息子である関平に、今考えていたことについて話し始めた。

「いや、すまない。大将がこのような姿を見せては士気が落ちるというのに。…先日、占いを老人にしていただいただろう?あの時の言葉が少し引っかかっているのだ…。」

(老人が言っていた、食事を狙うとはどういうことなのだろうか…。城の中に入るにしても、食事中であれ警備は厳しい。内側から崩壊させる?どのように…。)

食事中を狙うという方法は主に3通りある。

1つ目は、敵陣に工作員を送り込み、食事中に背後から切りかかるというもの。しかし、今から工作員に対して話をする場面を作るとその工作員が疑われることになり、作戦は失敗する。

2つ目は、相手が食事をとっているときに軍を用いて攻め込むというもの。しかし、必ずしも全員が食事をとっていることはないため、少なからずこちらにも被害が出てしまう。

そして、最後の3つ目は…。

その時、机に目を向けた。そしてそこに置かれていた鴆毒を見た時、点と点が繋がった。

「そうだ…!相手を毒で攻めれば確実にこちらの兵損を減らし、相手を打ち取ることができる…!」

先ほどまで難しい顔をしていた関羽だが、今は自信に満ちた顔つきに変化し、後ろにいた周倉に言う。

「今から隠密行動に適したものを5人ほど連れてこい!良い作戦を思いついた!」

「承知いたしました。」

それから関羽は、周倉が連れてきた隠密行動を得意とする兵士5人に向かって魏の屯営の近くを流れている川に鴆毒を大量に撒くように命じた。

しかし、ここで一つの問題点がある。それは毒見である。

「毒見をどう躱すかだな…。」

関羽が頭を悩ませているが周倉が言う。

「毒見であれば、魏のほうに工作員を送っています。そのものが毒見を担当しているそうなので、鴆毒の件を伝えるように手配してあります。」

「おぉ!でかしたぞ!」

周倉の気の利いた行動により鴆毒の件はどうにかなりそうだ。

関羽は安堵する。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


魏の名将である徐晃は内心焦っていた。勝つと思っていた戦いで于禁と曹仁が負けた。そして、気が付けば自分たちは劣勢になっていた。

この予想していなかった事態に焦らないわけがない。しかし、私が焦っている様子を周りに見せると士気が下がってしまう。

「どうしたものか…。」

徐晃が悩んでいると一人の兵士から朗報が来る。

「徐晃様、呂貢殿が援軍に駆けつけて下さいました!今、屯営の前にきていらっしゃいます!」

思ってもいない事だった。

「呂貢殿が参ったか!すぐにこちらに来るよう伝えてくれ!」

呂貢殿が来てくれたことにより、形勢逆転をすることができる。徐晃はそう確信した。

幕が開き、呂貢が入ってくる。

「失礼する。曹操殿からの命で援軍に参った。こちらの状況は劣勢のようだな。…しかし、我らが駆け付けた!今から関羽率いる蜀の軍勢に勝って見せよう!」

「おぉ!頼もしい!では明日、ぜひとも我らの軍と一緒に戦場へ行ってもらいたい。」

呂貢はとても自信があるようで負けなどあり得ないと話した。

また、呂貢は

「曹操様より、張遼殿がこちらに派遣されるようだ。」

とも言っていて、ますます負けるなどあり得ないと思う徐晃であった。

「これで我らは劣勢から優勢に変わったぞ!蜀に勝つことができそうだ。呂貢殿らはここまでの行軍でさぞ疲れていることでしょう。今日のところは体を休め、明日に備えていただきたい。」

徐晃は翌日から万全の状態で戦いたかったため、呂貢に対して体を休めることを提案した。

「そうだな。ここまでの進軍に疲れ切っている兵も少なくはない。少し休ませてもらうとしよう。ところで、付近に水辺はあるか?汗をかいてしまって少々気分が悪いのだ。」

呂貢は提案を受け入れると同時に、営屯付近に水辺がないか聞いてきた。

この営屯付近の水辺というと、近くを流れている川であった。

また、徐晃自身も汗を流したかったことから、徐晃自ら呂貢を川まで案内することにした。

川に着くと呂貢は、

「この川は流れが穏やかであり、水が透き通っている。徐晃殿、ここの水は素晴らしいな。ちょうど喉が渇いていたのだ。少し飲んでみるとするか。」

と言った。これに対して徐晃は、

「例え透き通っていようとその水が飲めるかどうかは変わってきます。こちらに水を濾すための布があります。こちらをお使いください。」

と言い、自らが持参していた飲み水用の布を呂貢に渡した。

「おぉ。これはありがたい。」

「呂貢殿も持っていたほうが良いかと思います。なにせ、戦地では水は重要ですから。」

などと二人は話した。

そして呂貢は水を飲む。すると、

「徐晃殿!」

と大きな声で呂貢は徐晃を呼ぶ。あまりにも声が大きかったので徐晃は急いで呂貢のもとへ駆けつけ、

「どうなさいましたか。もしや、水に汚物が混ざっていましたか?すべて川には流さないようにしているのですが…。」

と聞くと、まったくの逆の反応が返ってきた。

「いや、ここの水は非常においしい。ぜひ、兵士たちにも飲ませてやりたいほどだ。」

呂貢の言ったその言葉に徐晃は安堵した。その後、

「分かりました。今すぐに動ける兵を集め、水を持っていくよう手配いたします。」

そして兵士達は水の入った樽を屯営野中に運び、呂貢の部隊へと配布した。

その後、徐晃は呂貢と別れ、自分の席へと戻った。

そして数時間後、異変は起きる。徐晃は激しい頭痛、体の痙攣、めまい、息苦しさを覚えた。

「ひぃ……ひぎっ……ぐぅ……!?」

近衛兵を呼ぼうとしたが、息がまともにできないために声を発することさえできない。

徐晃はその日の夜、関羽軍が川に撒いたによってこの世を去った。

しかし、その日この世を去ったのは徐晃だけではなかった。

呂貢もまた同じ激しい頭痛、痙攣、めまい、息苦しさを感じた。そして何より、外から近衛兵が倒れる音がしたのだ。

敵襲かと思い、起き上がろうとしたが、体に力が入らず何もできない。

呂貢はそのまま息絶えた。

翌日、魏の屯営に狼煙が上がる

屯営から離れて蜀の軍と戦っていた魏の兵たちにもそれが見えた。

この狼煙は魏の軍勢に対しては『緊急事態』を意味する。

その場で兵たちは皆一斉に理解する。屯営内で何かあったと。

兵たちは困惑した。しかし、蜀の軍勢に気づかれてはいけない。

ただでさえ、現在押されているというのに、屯営で何かあったと知られると一気に攻められる。

最前線で戦っていた者たちは、相手を一人でも多く削ろうと必死に戦い続けた。

しかし、やはり焦りが出ていたのか、普段ならしないミスをしてしまうなどして、魏の軍勢は徐々に後退していった。



魏の軍勢の中で混乱していたのは、前線の者たちだけではなかった。

屯営内はパニックとなっていた。それもそのはず。屯営内にいた徐晃と呂貢が死んだのだ。また、呂貢が連れてきた兵も大半の息がなかった。その時、徐晃の従者であった者はすぐに理解した。昨日、毒が盛られていた、と。

しかし、それはあり得ない。すべて毒見をしていたのだから。死ぬのであれば毒見をしたものが真っ先に死ぬはず。

そう思った彼は食事の毒見をしていた者と食事を作った者を探した。

調理場へ行くと、食事を作った者はすぐに見つかった。しかし、毒見をしていた者が見つからない。

近衛兵は食事を作った者に対して聞く。

「昨晩、毒見をしていた者はどこだ?そやつも調理をしていたはずだ!」

しかし、食事を作った者は顔面蒼白で、ただ一言

「わ、私は…知らない。どこに行ったか分からない。私は何も…していないし知らないのだ…。」

と。その者の態度からして、逃げたほうが毒を盛ったと考えられる。

昨晩毒をもったのであれば、もう屯営内にはいないだろう。となればやることは一つ。

「今から私が指揮を執る。皆、我に続いて戦場へ行くぞ!」

そう言って徐晃の従者は戦える人間を集め、前線へと向かった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


関羽率いる蜀の軍勢は魏の屯営方向から狼煙が上がっているのを見た。

関羽は魏の軍勢の兵力を毒で減らすことに成功したと解釈した。

屯営にいる兵全員に関羽は話す。

「今頃、魏の兵は混乱し、焦っているだろう。しかし、油断は禁物である。我らは今から魏の軍勢に勝つ!皆の物、出陣の準備をするのだ!」

これを聞いた兵は皆、出陣の為の準備を始めた。

一刻が過ぎたころにはすべての兵の準備が完了した。

息子の関平と関興、そして従者である周倉と共に営屯へと出陣した。

そして、相手の屯営に徐晃が見当たらないことに気づく。

最初のうちは潜伏をしていて奇襲を仕掛けてくるのかと思っていた。

しかし、実際には徐晃は毒により死んでいた。

そのため、屯営内では士気が下がっており、前線で戦っていた時よりも楽に占領することができた。


しかし、そこで関羽に予想外の出来事が起きる。

魏の営屯を占領した時、

荊州にいた兵が切羽詰まった表情で関羽のいた屯営までやってきた。そして

『呉が荊州に攻めてきて陥落寸前である』

という報告を受ける。

最後のピースがそろった瞬間だった。関羽は老人の占いを思い出した。

『その背後から迫る炎』ということの意味が分かっていなかったが、今回の報告で『炎』が『呉』を示しているということを悟った。

また、『関羽は急いで動かすことのできる兵と一緒に自ら荊州へと向かった。

しかし、時すでに遅く荊州の大半を孫権の手中に収められていた。

魏の軍勢との戦いで体力を消耗していた関羽たちは分が悪いと考え、当陽まで引き返すこととなった。

その後、関羽は孫権が江陵に自ら軍を指揮して向かってきている事を知った。しかし、軍勢の人数に差がありすぎた。そのため、関羽は孫権を奇襲することにする。

関羽は兵たちに言う。

「我らの荊州が孫権の手に渡ってしまった。しかし、その孫権が江陵に自ら軍を指揮して向かってきているという情報を得た。」

兵がざわざわし始めた。しかし、それに構うことなく関羽は続ける。

「この機を逃すといつ孫権に勝つというのか。恨みを晴らすことができるのか。我らは奇襲を仕掛ける。戦場は渓谷。我らは森で忍び、孫権がやってきたところを迎え撃つ!」

「「「「「ウオォーーーー!!!!」」」」」

と兵たちから声が上がる。

決行は明日。これで負ければ次はない。関羽も心を決めた。



翌日、天候は曇りであった。

日の光は雲によって遮断され、渓谷は薄暗くなっていた。

関羽らは両端の森に潜んでいた。孫権が来るのを今か今かと待っていた。

すると馬の足音が聞こえてくる。

孫権が指揮する呉の軍勢の馬の足音だ。

丁度軍勢が渓谷に入りきったとき、関羽軍は奇襲を仕掛けた。

関羽らは死に物狂いで戦った。

だが、関羽は今までの疲れが出たのか、思うように体が動かなかった。しかし、一般の兵と戦うには十分であった。

そして、孫権との戦いになったとき一手遅れて左腕に重傷を負った。

その時だった。

「父上!私たちも加勢します!!!」

「我らはまだ戦えます!父上は見るからに重症です。我らが必ず孫権の首を持ってきます。見ていてください。我らの武勇を!!」

関平と関興が加勢に来てくれた。

そして、戦いが始まった。

最初こそ関平らの優勢のように思えたが、徐々に孫権のほうが優勢となっていた。

やはり、戦での場数が違った。

孫権は一気に攻めにかかる。

「ぐッ…!!カハッ…!!!」

「グフッ…!!!」

関平と関興は腹や足に重傷を負い、孫権に打ち取られてしまった、かのように見えた。

しかし、最期の力を振り絞って、孫策が背中を見せたとたんに後ろから剣で一刺しした。

孫権は口から血を吐き、その場に崩れた。

「ヒュー…。ヒュー…。」

「クッ……。ハァ…。」

孫権を打ち取った後、二人もその場に崩れた。

だが、まだ息がある。関羽は二人に駆け寄った。

「すまない。役に立つことができなかった。息子に助けられるとは…。私は大馬鹿者だ…。」

その眼には涙が浮かんでいた。すると二人は

「父上…気にしないでください。…我々は孫権を打ち取ったのです。それに…私たちから見て、あなたは素晴らしい父親です。」

「…父上は我らにとって目標でした。…そのためこれからもずっと…我らの先に立っていてください。」

その言葉を放つと二人は息を引き取る。

関羽はその見た目に合わず、しばらくその場でオイオイと泣いていた。

孫権を打ち取った代償はとても大きなものだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


孫権を打ち取り、1月が経ったころ。関羽は劉備の元へ行き、今回の件を報告した。

勿論、老人のことは含めずに。

報告が終わると、真っ先に老人がいた所へ向かった。

しかし、そこにいるはずの老人の姿が見えなくなっていた。

関羽は路地を出ると付近を歩いていた青年に聞いた。

「突然呼び止めてしまいすまない。私の名は雲長。先日ここにいた老人について何か知っていないだろうか。」

「ここにいたおじいさんのことですかい?そうだなぁ…。教えてもいいんだが、信じてもらえるかどうか…。」

「構わない。なんでもいいから情報が欲しい。ただ一言、彼に礼を言いたいだけなのだ。」

青年は何故か言いにくそうにしていたが、関羽が教えてほしいと頼んだため、少しずつ話し始めた。

「実は丁度1月前のことなんだけどよ?夜遅くに外からうめき声がするってんだ。ここらはそこまで治安は悪かねぇ。だから襲われるなんてめったにない。よくうめき声を聞くと、最近路地で占いやってた爺さんに声が似てんだって。爺さんのように歳とってる奴は病気になるやつらが多い。だから今回は、病が悪化したのかと思ったらしい。急いで声のほうに駆けつけたんだけどよ、そこには誰もいなかったらしいんだ。攫われたのかと思って周辺探したらしいんだが、見当たらなかったらしい。俺は話を聞いただけだからこれぐらいしか話せねぇがこんなのでよかったか?」

「そうか…。老人はもういないのだな。分かった。情報提供に感謝する。引き留めてすまなかった。」

「いいって、いいって。困ってることはお互い様よ!」

そう言って、青年は町の中心のほうへ歩いて行った。

関羽は老人に合い、礼を言うということができなくなった。

しかし、このままここにいるということはできない。次の戦が始まる。

関羽はそのまま城に戻ろうとした。すると、耳元で

「勝機はあったのぅ」

と、老人の声がした…気がした。

関羽はとっさに振り向くが、そこにはやはり老人の姿はない。

関羽は少しの間、その場に留まり、礼をし、城へと戻った。


この後、関羽は幾つもの戦に出陣していくこととなる。

自分のために戦死した息子たちの目標となれるように。今日も全力で敵と戦っていく関羽であった。


その後の関羽の運命は、また別のお話。


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