第14.5話 望月
目を覚ました時、私は学校でも家でもない、そんな天井を見た。
どうしてこうなったんだっけ…よく覚えていない。
「いてて…」
思わず私は、痛む後頭部を抑えた。そうだ、思い出した。大空市に、ミサイルが飛んできて、それで、私は恐怖で動けなくて…
駆けつけてくれたひかりって人が、助けてくれて…それで…
それで…?
あの人はひかりさんは、どうなった?
第14.5話 望月
それは三月たちが旅立ってから一月ほどが経った頃だった。
そして、佐野明と天音の戦闘から、一週間が経った頃でもあった。
佐野明は、何を言うでもなく大空市から離れ、どこかへ去っていっていた。天音に対しての悔しさがあったのか、校長に対する不信感が募ったのか、はたまた、愛する息子を探しに行ったのか。
どうしてか、なんてものは誰も知らない。
本題に戻す。大空市がミサイルに撃たれたときに、光はある人物をかばって死んだ。
望月輝子。小学校1年生の、黒髪でかわいらしい少女だ。
ミサイルという言葉に、あまりにも恐怖を覚え、動くことができなかった彼女を、ひかりは救い出した。
自分の命と引き換えに。
今、彼女は目を冷ました。ただ、残念なことに彼女の両親は助からなかった。それに、助けてくれた光は死んだし、その光の家族である晴れ空組は追い出されたし、極めつけは晴れ空組の唯一の味方であり、輝子自身も慕っていた佐野明も、もうこの街にはいない。
彼女はそれを聞いた後、絶望した顔をして三日ほど泣いた。
「強くなろう」
彼女がそう思ったのは泣き終わってから一週間後だった。またいつミサイルが飛んでくるかわからない。そうだ、撃ち落とせるように弓を使えるようになろう。魔法も、鍛えよう。
それができなくても、せめて逃げられるように。ひかりという、私を救ってもらった人の分まで、生きられるように。
彼女の努力が実を結ぶのは、ここから17年後である。
第14.5話 終




