表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/18

うぉんてっど(2)

「……おい、本当にここなのか?」

「あぁ……。情報によればとんでもない魔獣が住み着いているらしい」

「情報っつったって……あいまいすぎるだろ? この手配書だって、まるでラクガキじゃねぇか。一メートル弱の謎の人魔二匹……もしくはそれ以上って……」

「だけど、もう何人も返り討ちにあっているのは確かだぜ。おかげでおいしい賞金額にまで跳ね上がった。高レベル冒険者が出張ってくる前に、俺たちが総取りしてやろうぜ」

「おい、そろそろ警戒しろ。たかが人魔と侮ったやつらみたいにはなりたくねぇだろ」

「ヘッ……油断なんて弱ぇやつらの言い訳だ。いかなる状況だろうと跳ね除けてこそ、本物の冒険しゃ……」


 どぉぉぉーーん。


 ガッシャァァァン。


 パンッ! パンッ、パンッ……!


 ……そして今日も、冒険者さんたちがやってきては、消えてしまいました。

 今回は入り口の土砂崩れトラップにはかかりませんでしたが、続く鉄格子トラップに見事はまってしまった模様。

 逃げ場を無くしたところを、パープルさんの毒キノコをもろに食らっておしまい。


「……記録は?」


 フッ……と、パープルさんが銃口から漂う毒キノコの煙を吹き消しました。


「えっと……土砂崩れから数えれば、一分を切りました……新記録、ですね……」

「……マナは?」

「昨日に比べて、だいぶ少ないかと……」

「…………」

「あっ、でも、一応パープルさんのレベルアップに必要な量は満たせたようです……!」

「…………それは結構」


 垣間見せた露骨なしかめっ面が、どうにか元に戻りました。

 ボクは心の底から胸を撫で下ろし、目線を足元に落としました。

 ……何かを、踏んでいます。

 紙……冒険者たちの持ち物でしょうか……?

 大きな文字で、「うぉんてっど」と書かれています。


「……なんでしょう、これ?]

「私に聞くな。読み書きは君の専門だろ」

「そうでした……」ボクは『たぶれっと』に文面を移して、翻訳しながら読み上げました。「……えっと、突如出没した種族不明の人魔……へぇ、ボクたち以外にも人魔がいるんですねぇ……」

「……続きは?」

「あ、はい……人魔と思われる魔獣により……すでに幾人もの冒険者がたおされ……当ギルドはこれに賞金をかける……なお賞金額は生け捕りの数による……冒険者ギルド、グライド支部……」

「……で、ここに描かれている妙な生き物が、その人魔か?」

「そのようですね……特徴は、一メートル弱……耳が長く、派手な毛並み、主に毒系のスキルを使用……場所は……『魔獣のすみか』……」


 …………。


「……あまり似ていないな」

「他に言うことは無いんですか!」

「安心しろ。この『?』マークがおそらく君だ」

「言わなくていいですよ、分かっていますから!」


 ピンクさん、パープルさんに続いて、ボクだけ居るのか居ないのかよく分からない、ぼんやりとした輪郭だけの『?』になっていることに、喜べばいいのか悲しめばいいのかはさておき。

 ここしばらく、毎日のように冒険者たちがやってくる謎が、やっと分かりました。

 彼らの狙いは、ここに住み着いていた山賊たちではなく。

 ボクたちだったのです――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ