ぷろろーぐ
ノリと勢いだけですm(_ _)m
お気楽にどうぞ(>_<)
目が醒めると、異世界でした……。
「……あれれ……?」
「……ここは……?」
「……ZZZZZ……」
どこまでも続く天井。
見覚えのない景色。
そして見たこともないような…………ヒト?
「……ねぇねぇ、56番ちゃん。ここってドコ?」
全身ピンク色の毛並みをした、奇妙な生き物がいきなり声をかけてきました。
……というか、近いです。
「だ、誰ですか、あなたは……?」
「ふぇ? やだ56番ちゃん、まだねぼけてるの~? あたちだよ~あ・た・ち」
だから誰なんですか……!
……と、言いかけて気がついた。
姿は全く違うけど、この匂い……。
「……もしかして、55番さん……?」
「あー、それそれ! 56番ちゃんの、おとなりさんの55番ちゃんでーす。キラキラ~」
「……この頭の悪さ……確かに55番さんみたいですね……ということは、あちらで寝ているのは……」
「なになに~57番ちゃんがどうかしたの~?」
「どうかしたって……あなた、今のボクたちを見てどうとも思わないのですか……?」
「…………?」
55番さんはパチパチと目を閉じたり開いたりをしばらく繰り返しました。
10秒くらいはそうしていたでしょうか……。
「……ちょっと背が伸びた?」
いや、確かにサイズも大きくなったのかもしれません。ヒト様がするように、二足で立っているせいでもあります。
でも、ボクが言いたいのはもっと根本的な話……。
「55番さん……ご自分の手をよく見て下さい。どんな色をしていますか?」
「…………え、何これ?」
ピンクの体毛に覆われた、ヒトとウサギの中間のような手を見て、彼女は飛び跳ねてしまいました。
「やだっ、かぁわいい~~!」
驚きではなく、喜びのあまり……。
「……ボクが、間違っているのでしょうか……」
いっそ夢であってほしいと、先ほどから自分の頬をつねったりしているのですが。
未だに醒める予兆すらなく、ただヒリヒリとした痛みだけが現実感を突きつけるのです……。
「よかったね、ブルーちゃん」
「ちっとも良くありませんよ! というか何ですか、その呼び方!」
「だってブルーちゃんは、ブルーちゃんじゃない」
…………そう。
彼女の毛並みがピンク色であるように、ボクの毛並みもいつの間にか真っ青に染まっていたのです。
カラフルな水色でもなく、シックな藍色でもない、ごくごく平凡な青。
ピンク色の生き物の正体が55番さんだったのはショックでしたが、同時に納得もできました。なぜなら、陽気で前向きな彼女にピッタリなカラーだったからです。
それに引きかえ、ボクはというとちょっぴり暗い後ろ向きな青。
「よく似合ってるよ!」
「……そうですね……」
悪気が無いのは知っていますが、さすがに傷つきました。
「……それはそうと……57番さん、全然起きてこないですね」
「じゃ、ピンクちゃんが起こしてあげるね」
「ピンクちゃん……」
ボクが絶句している間に、ピンクさん(55番さん)が57番さんの元へと駆け出しました。
「……あ、待って……!」
「おきてー、パープルちゃ~ん! あ~さだよ~~!」
ボクがブルーで、55番さんがピンクであるように、57番さんも珍妙な毛色の生き物に変わっていました。
この毛色が、多少なりともボクたちの性格を表しているものだとしたら……赤と青が入り混じって出来る紫という色の意味は、おそらく……。
「…………ぃ……」
「おはおはおはろ~ピンクちゃんだよ~ねぇ、見て見て~かわいくない~? ねぇ~、聞いてる~? パープルちゃ――」
「――うるせぇって言ってんだよ、ピンボケェ!」
それはそれは、きれいなまでの後ろ蹴りでした。
おかげ様で、ボクは自分たちが何者だったのかを、はっきりと確信できたのです。
ボクたちは、ウサギでした――。
かんたんプロフィール。
ピンクちゃん:この物語の主人公……と思い込んでいるピンク色のウサギ人魔。呑気でヒロイン願望が強く、ノリと勢いだけで生きている。
この世で自分が一番可愛いと思っているし、そのためなら割と何でもやるクレイジー・ラビット。固有スキルは召喚。
ブルーちゃん:ブルーの毛並みのウサギ人魔。この物語の語り部だが、特に主人公というわけではない。他にまとめ役がいないだけ。
心にメガネをかけ、将来は安定した職に就いて平和な老後を過ごしたいと願う、クレイジー・ラビット。固有スキルは情報。
パープルちゃん:もしかしたら本作のラスボスかもしれない、パープルカラーのウサギ人魔。二重人格…ではなく、すぐキレてすぐ冷める。
おまえのものは、どうやったら私のものになるのか……と常に考えているクレイジー・ラビット。固有スキルは合成。
※転生先の世界ではウサギという生物が存在しないため、3羽はウサギ人魔というヒトと魔獣の中間種族になる。
いわゆる、3頭身のゆるキャラっぽい存在。