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つかれたテディベア

作者: 万月碧
掲載日:2023/01/02

草木が青々と茂っていたその夏の日。

女の子は言いました。


「マイはずっとわたしのともだち!!」


その女の子が両手に持って見つめているのは『マイ』と名付けられたテディベア。

ついこの前にお父さんとお母さんに買ってもらった

かわいいかわいいクマのぬいぐるみ。

マイは黒くてつぶらな瞳で女の子を見つめ返します。

女の子の半分ぐらいの大きさで茶色く光に当たれば金に光る毛並みのマイ。

2人はいつも一緒。

ごはんを食べるときも遊ぶときも寝るときも。

でもお風呂はマイがぬれちゃうからそこだけははなればなれ。

女の子は今日もマイに話しかけます。

「マイがいると、とてもうれしい!ああ、マイとお話できたならぁ…」


草木が赤や黄、やがて茶色に染まりその葉もすべて枯れて雪が降り出しました。

冷たい風が吹いています。

女の子は今日も家の外にいます。

もちろん、女の子の手にはマイ。

女の子は夏よりも少し痩せていました。

相変わらずマイは輝く瞳を持っています。

ですが女の子と沢山遊んだので少しほつれている部分があります。

女の子が今日もマイに話しかけます。

今度はマイの耳に手を当て内緒話をするかのように。

「マイといると楽しいよ。でも、マイとわたし2人きりになっちゃったや…」

そう嬉しそうに小さな声で言いました。

「うん。」

マイは返事をします。

女の子はびっくりしました。

「え?マイってお話できるの?」

口をあんぐりと開けて目を大きく開いています。

「うん。君はいつも話しかけてくれてただろう?

それにこれからは自分で動くこともできるよ。」

かわいいテディベアはそう語ります。

「うれしい。マイとおしゃべりできるなんて!」


女の子はとても幸せな時間を過ごしました。

自分の大好きなマイとおしゃべりできたから。


でももうそろそろその時間も終わり。


マイは雪の上で遊んだため濡れてしまいました。

でも今から寝る女の子のためずっとそばにいました。

マイはベットに潜り込みました。

テディベアは女の子の隣に立ちました。

しばらくすると女の子の体の真ん中あたりから光のかたまりがゆっくりと浮かび上がってきました。

その光はとても暖かく柔らかい色でその光のかたまりと女の子は白い糸で繋がっています。

女の子が最後に小さな声でこうつぶやきます。


「マイ、大好き。ありがとう」


テディベアは女の子と光のかたまりをつないでいた白い糸をゆっくりフワフワの手できります。


その光のかたまりはゆっくり天へと登っていきました。


テディベアはその様子をじっくりと眺めます。

テディベアはこう言いました。


「僕はマイじゃない。もうすぐ終わりが来る君を迎えに来ただけ。1人になっちゃった君を支えたかったから、夢を叶えてあげようと思った…。でも君が話したかったのはマイ。これじゃ違う…」


テディベアはしばらく悩み思いつきました。

そうだ!


テディベアは自分の胸を抑えこう問いかけました。


「君の心はこの世に留まれなくなるけど天国で女の子が待ってるんだ。許してくれる?」


マイは音のない声で『いいよ』とつぶやきました。


そしてテディベアからも女の子と同じ色で同じ大きさの光のかたまりが出てきました。


「ああやっぱり。女の子とずっと一緒にいたから同じ色に染まったんだね。君も喜んでいた証拠。」


そう言ってテディベアは自分と光のかたまりをつなぐ白い糸を切りました。


パタリ。


音もない音を立ててすこし儚げに女の子の横に倒れました。光のかたまりは女の子の光のかたまりの後を追うように飛んでいきました。


女の子は安らかな顔で眠っていました。その顔はすこし笑っているようにも見えました。

そして隣にいるマイは女の子とたくさん遊びいろいろなところがほつれ少しくたびれているようにも見えます。ですが瞳はまだ輝いていました。


「天国で君たちが幸せになれますように。」


しにがみは温かい声でそうつぶやきました。




        ―――――――――――――




わかりにくいと思うので少し解説をします。

主人公は女の子とテディベアのマイ。

ふたりはとても仲良く過ごしました。

女の子がこうつぶやいていました、

「でも、マイとわたし2人きりになっちゃったや…」

これは流行病かなにかでテディベアを買ってくれた女の子のお父さんとお母さんがこの世を去ったことを表しています。

やがて女の子もその病にかかりのこりの余命も少なくなってきた頃、空から見守っていた死神が可哀想に思い、テディベアに憑依します。女の子の夢を叶えようとしたのです。

ですが女の子はテディベアと話したいのではなくマイ自身と話したかったことに気づきます。

そこで天国へと旅立ってしまった女の子を気の毒に思いマイに確認を取り、マイの魂も女の子の行く天国へと向かわせました。



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― 新着の感想 ―
[一言] 二人とも天国に行ってしまったんですね。 切ない……。
2023/01/03 11:34 退会済み
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